老後の資産形成を支える「iDeCo(イデコ)」制度。
かつては一部の人しか加入できませんでしたが、制度改正により、専業主婦(夫)などの第3号被保険者にも門戸が開かれました。
今回は、その内容についてチェックしていきましょう。
今回の分野:年金制度と確定拠出年金
今回のテーマは、「公的年金制度の被保険者区分」と「私的年金制度(iDeCo)」との関係についてです。
ライフプランニング分野の「企業・個人事業主の年金」の範囲になります。
第3号被保険者がどのように老後資金を準備できるのかを理解することは、ライフプラン設計の重要なポイントになります。
問題文の紹介:

国民年金の第3号被保険者は、確定拠出年金の個人型年金の加入者となることはできない。
◯か✗か?
確定拠出年金がどういうものか把握していれば解ける問題ですが、ある時期に制度改正があったようです。
そのあたりも一緒に見ていきましょう。
正解と解説の要点:
国民年金の第3号被保険者は、確定拠出年金の個人型年金の加入者となることはできない。
◯か✗か? → 正解:✗
個人的には、専業主婦などの第3号被保険者は、確定拠出年金の税制優遇措置を受けられないような気がするので、◯にしたのですが、誤っていました。

どういった意図があるのか、また、どのようなメリット・デメリットがあるのかも見ていきたいと思います。
まずはポイント解説を確認しましょう。
✅ポイント解説
- 2017年の法改正により、第3号被保険者でもiDeCo(個人型確定拠出年金)に加入可能となりました。
- 配偶者が厚生年金に加入しており、自身が国民年金第3号であっても、所得要件などを満たせば加入できます。
- 加入の際には、配偶者の勤務先による証明(事業主証明書)の提出が必要です。

深掘り考察!!:
- iDeCoの掛金は所得控除の対象になり、節税効果も期待できる一方で、60歳まで引き出せないデメリットも理解しておく必要があります。
- かつては「加入できない」という常識がありましたが、現在では老後資金の自助努力が推奨され、第3号被保険者にも加入が広がっています。
- ただし、所得控除の恩恵が受けにくいケースや、手続きの煩雑さもあるため、実際の活用にはハードルがあることも事実です。

以上より、専業主婦(第3号被保険者)もiDeCoに加入可能 ということはわかりました。
それでは加入するメリットやデメリット、その他に注意する点も見ていきましょう。
✅ 専業主婦がiDeCoを活用する【メリット】
将来の年金に上乗せができる(老後資金の形成)
- 専業主婦(第3号被保険者)は、国民年金のみが基礎年金です。
- 厚生年金がない分、老後の年金額が少なくなりがちですが、iDeCoで上乗せすることで、老後資金の不足を補うことができます。
運用益が非課税
- 通常、金融商品の運用益には約20%の税金がかかりますが、iDeCoでは運用益がすべて非課税です。
- 長期間運用することで、複利効果をより有利に活かせます。
掛金は所得控除(ただし、所得がある場合)
- パートなどで課税所得がある専業主婦の場合、その掛金が全額所得控除になります。
- 結果として住民税・所得税が軽減される可能性があります。
公的制度に左右されない自分専用の資産形成
- 夫(配偶者)の働き方や会社の退職金制度に依存しない、自分の資産形成手段になります。

⚠️ 専業主婦がiDeCoを活用する【デメリット】
60歳まで原則引き出し不可(流動性が低い)
- iDeCoは老後資金専用の制度。60歳まで途中引き出しができません。
- 家計に余裕がない場合は、急な出費に対応できなくなるリスクも。
所得がない場合、所得控除の恩恵はない
- 所得控除は課税される収入がある人のみ有効。
- 完全に無収入の専業主婦には、節税メリットがないことになります。
口座管理手数料がかかる
- iDeCoでは、運営管理機関・事務委託先金融機関などに【毎月手数料(約170〜500円程度)】が発生します。
- 掛金が少額の場合、実質的な利回りを下げてしまう要因にも。
制度理解や運用の手間が必要
- 自分で金融商品(投資信託・定期預金など)を選んで運用する必要があります。
- 投資知識がない場合、損失リスクや選定ミスの可能性も。

🎯 専業主婦がiDeCoを選ぶべきか?検討の視点
判断材料 | チェックポイント |
---|---|
家計の余裕 | 生活に無理なく掛金を支払えるか |
年齢 | 長期運用が可能か(若いほど有利) |
所得の有無 | 控除のメリットを活かせるか |
金融知識 | 自分で商品選定・運用ができるか |
目的 | 確実に老後資金として積み立てる覚悟がある |
まとめ・今回の学び:
- 制度の柔軟性は高まっているものの、「加入できない」は過去の話。
今後の備えとして制度の活用を考えたい。 - 国民年金の第3号被保険者も、2017年以降、条件付きでiDeCoに加入できるようになった。
- 加入には配偶者の勤務先証明が必要であり、実務面での注意点も多い。
- 専業主婦(夫)がiDeCoでの運用をする必要があるか、メリットやデメリットを確認したうえで検討が必要。
次回予告:「確定拠出年金の個人型年金(iDeCo)の老齢給付金は一時所得?」

確定拠出年金(iDeCo)で老後資金を準備する人が増える中、その受け取り方によって所得税の課税方法が異なることをご存知でしょうか?
次回のテーマでは、
「確定拠出年金の個人型年金の老齢給付金を一時金で受け取った場合、当該老齢給付金は、一時所得として所得税の課税対象となるか?」
という問いをもとに、給付金の受け取り方に応じた課税の仕組みを詳しく解説します。
「一時金と年金形式、どちらがお得?」「退職所得と一時所得の違いとは?」など、選び方によって将来の手取り額に大きく影響する重要ポイントを深掘りします。

老後の安心を左右する「出口戦略」、ぜひ一緒に学びましょう!
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