相続税の計算では、亡くなった方が持っていた「財産」の価値を正しく評価することがとても大切です。
その中でも、生命保険に関する取り扱いは少し複雑で、FP の試験でもよくひっかけ問題として出されます。
今回は、「相続開始時に保険事故が起きていない生命保険契約の権利」をどう評価するのか?という、まさにミスしやすいテーマについて整理していきます。
⭐️この記事を読んで得られる知識は、以下の3点です。
- 保険事故が発生していない生命保険契約に関する権利の価額ってなに?
→「この契約には今いくらの価値がある?」
という保険契約そのものの値段のことです。 - 既払込保険料相当額とは?
→「これまでに自分が保険会社に支払った保険料の合計金額」のことです。 - よくあるケアレスミスを紹介
→「払った保険料=そのまま財産の価値」と思ってしまう点です。
「払った分がそのまま価値になる」わけではないということを認識しましょう。
前回は同じ「相続財産の評価」の中でも、
土地の評価に関わる「小規模宅地等の特例」がテーマでした。
今回の生命保険の評価と並んで、相続税の計算でよく問われるポイントです。
まだ読んでいない方は、ぜひセットで確認してみてください!
→ 【相続税×不動産】小規模宅地等の特例|居住用と貸付用の2種類を相続した場合の正しい面積計算とは?_間違いから学ぶFP3級_第88回

土地・保険・株式と、評価のルールは財産の種類ごとに全部違います。
ひとつずつ丁寧に押さえていきましょう💪
📘 今回の分野:相続財産の評価(生命保険契約の権利)

今回学習する分野は、相続・事業承継分野における「その他の財産の評価」についてです。
相続において、財産とは現金や土地・家屋・株式などがありました。
これら以外の財産となるものがあるようです。
それは「生命保険」です。

これも個人の財産になるみたいなので、その価値をどうやって決めるのか、今回学んでいこうと思います。
それでは問題文を見てきいきましょう‼️
相続税|相続財産の評価(生命保険契約の権利)
❓️ 問題文の紹介:生命保険契約の権利の価額
相続財産の評価において、相続開始時に保険事故が発生していない生命保険契約に関する権利の価額は、原則として、既払込保険料相当額によって評価する。
◯か✗か?
「既払込保険料相当額」という言葉、聞いただけで「払った保険料のことでしょ?」となりませんか?
問題文もそれなりにもっともらしく読めてしまうので、
「これは〇っぽい…」と感じた方は多いはずです。
でも、相続税の評価の世界では「払った額」よりも「今の価値」が大切。
この感覚の違いがひっかけのポイントです。こんがらがってしまいませんか?🤔
みなさんも意識していきましょう。
それでは解答を確認していきます‼️
✅ 正解と解説の要点:既払込保険料 vs 解約返戻金

相続財産の評価において、相続開始時に保険事故が発生していない生命保険契約に関する権利の価額は、原則として、既払込保険料相当額によって評価する。
◯か✗か?
正解:✘(誤りの文章です。)
正解は✘でした。
やはり、「既払込保険料相当額」がポイントになっています。
既払込保険料相当額が、保険契約の価額(価値)でないのであれば、何が該当するのか。
ポイント解説で確認しましょう‼️
✅️ポイント解説
「既払込保険料相当額」は”払ったお金の履歴”にすぎません。
相続税の評価額はあくまでも
「今この契約には実際どれくらいの価値があるか」
=解約返戻金相当額をベースに判断します。
言い換えると、保険会社に払い込んだ金額は評価には関係ない、ということです。
試験では毎回のように「既払込保険料」という表現でひっかけてくるので、
この感覚をしっかり身につけておきましょう。

“払った額”は過去のこと。
相続税が見ているのは”今の価値”です。
この視点の切り替えができると、ひっかけ問題にぐっと強くなりますよ💡
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生命保険と相続税の関係をもっと深く理解したい方には、こちらの記事もおすすめです。
「保険契約の評価額」を学んだ今だからこそ、
保険金が相続税にどう絡むかを確認しておくと、知識がぐっとつながります!
また、同じ「財産の評価」という切り口では、
不動産(貸家)の評価方法を扱った記事も参考になります。
評価のルールが財産の種類によってどう変わるか、比べて読むとより理解が深まりますよ!
🔍 生命保険の相続財産評価について_深掘り考察!!
今回は、以下の点について解説していきたいと思います。
- 保険事故が発生していない生命保険契約に関する権利の価額ってなに?
→「この契約には今いくらの価値がある?」
という保険契約そのものの値段のことです。 - 既払込保険料相当額とは?
→「これまでに自分が保険会社に支払った保険料の合計金額」のことです。 - よくあるケアレスミスを紹介
→「払った保険料=そのまま財産の価値」と思ってしまう点です。
「払った分がそのまま価値になる」わけではないということを認識しましょう。
保険事故が発生していない生命保険契約の権利の価額:解約返戻金が評価のカギ

一言でいえば、

「もし今この保険をやめたら、いくら戻ってくる?」
「この契約には今いくらの価値がある?」
という保険契約そのものの値段のことです。
まだ死亡などの「保険事故」が起きていない状態では、保険金は受け取れません。
でも、保険の契約そのものには途中でやめる(解約する)と戻ってくるお金=解約返戻金などの価値がある ので、それが“相続財産”として評価されるわけです。
貯金箱で考える!生命保険の価値のしくみ
◆例え話
あなたが「毎月1万円を3年間、おこづかいから貯金箱に入れる」という約束の貯金箱を持っているとします。
- 今までに入れた合計:36万円
- でも、この貯金箱にはルールがあり、
「途中でやめたら32万円だけ返すよ」
「満期まで続ければ40万円になるよ」
みたいな仕組みだとします。
この「途中でやめたら戻ってくる32万円」
これが “今の時点の価値” です。
生命保険も同じで、
- 保険料をたくさん払っていても
- 必ずしも払った分がそのまま“価値”になるわけではなく
- 今の時点で契約をやめたときに戻ってくる金額(解約返戻金)などが「契約の財産としての価値」になる
ということです。
具体例:払込200万円でも評価額は120万円になるケース
Aさんの生命保険(終身保険)の状況:
- これまで払った保険料合計:200万円
- 現在の解約返戻金:120万円
- まだ保険事故(死亡)は起きていない
この場合、
相続財産としての価額=120万円 になります。
「200万円払っているのに?」と思うかもしれませんが、“今の契約の価値”は120万円だからです。
逆に、払込が進んでいる終身保険では、
- 払った保険料:200万円
- 解約返戻金:230万円
など、返戻金が上回ることもあります。
この場合、価額は230万円になります。

つまり、払った額ではなく、今の契約の価値で評価するというのがポイントです。
権利の価額まとめ:ポイントを4行で整理
- 生命保険は途中でやめられます。
- やめたら戻ってくるお金があります。(解約返戻金)
- この“今戻ってくる金額=今の価値”が相続財産として扱われます。
- 払った保険料とは関係ありません!
既払込保険料相当額とは:払った合計額と”今の価値”は別物!

一言でいうと、
「これまでに自分が保険会社に支払った保険料の合計金額」
のことです。
これはあくまで
“払ったお金の合計”であって、保険契約そのものの価値とは別物
という点がとても重要です。
毎月500円の貯金箱で考える!既払込保険料のイメージ
●例え話
あなたが「毎月500円を貯金箱に入れる」と決めて、1年間続けたとします。
- 12ヶ月 × 500円 = 6,000円
この 6,000円が「既払込保険料相当額」 に当たるイメージです。
ただし、貯金箱と違って生命保険の契約は、
途中でやめたら そのまま6,000円返ってくるわけではありません。
- 3,000円しか戻ってこないかもしれない
- 8,000円戻ってくることもある保険もある
つまり、
払った金額(既払込保険料)=価値 ではない
ことが大きなポイントです。
具体例:10年間払い込んだ120万円と解約返戻金の関係
Aさんの生命保険の状況:
- 毎月1万円の保険料
- 10年間支払った
- これまで払った総額(既払込保険料):
1万円 × 12ヶ月 × 10年 = 120万円
この 120万円が “既払込保険料相当額” です。
しかし…
- 現在の解約返戻金:80万円
- 将来満期まで続けた場合の返戻金:150万円
といった具合に、
保険の価値(戻ってくる金額)は、払った金額とは違う
というのが普通です。
だから、FP試験では
「価額は既払込保険料相当額で評価する」
という表現は ×(バツ) になることが多いのです。
よくある勘違い:払った金額=相続財産の価値ではない
✖「払った金額をそのまま相続財産にするんだよね?」
→ 違います。
生命保険は“貯金”ではないため、
契約が“今どれくらいの価値を持っているか”(解約返戻金など)
で評価します。
✔正しくは…
「相続開始時点の解約返戻金など、“契約の実際の価値”で評価する」
ここを押さえておくと試験で迷いません。
既払込保険料まとめ:試験で狙われる”払った額≠価値”の感覚
- 既払込保険料相当額=今まで支払った保険料の合計です。
- 上記イコール、それが保険契約の“価値”ではありません。
- 価値は「解約返戻金など」で判断します。
- 試験ではここをひっかけ問題にしてきます!
よくあるケアレスミス:「払った保険料=価値」の思い込みに注意!

以下に、今回扱った問題
「相続開始時に保険事故が発生していない生命保険契約の権利の価額は、既払込保険料相当額で評価するか?」
に関連する よくあるケアレスミス を、中学生にも理解できるよう噛み砕いて紹介します。
ミス①:「払った保険料=財産の価値」の思い込み
「払った保険料=そのまま財産の価値」と思ってしまう
生命保険=“貯金のようなもの”というイメージが強いため、
「払った分がそのまま価値になる」と勘違いするミス が多いです。
しかし、本当は…
- 払った金額(既払込保険料)
- 今の価値(解約返戻金など)
は全く違います。

払った金額=価値 ではありません!
ここを取り違えると、問題文をそのまま○にしてしまいがちです。
ミス②:「保険事故が発生していない」の意味を誤解する
「保険事故が発生していない」の意味を誤解する
「保険事故」が何を指すのか曖昧なまま解答してしまうケースです。
- 生命保険なら 死亡
- 医療保険なら 入院や手術
など、契約で決められた出来事が起きていない状態 を指します。
この理解が曖昧だと、
「保険金はもらえない=価値ゼロ?」
と思い込み、×をつけられず誤答になりやすいです。
ミス③:相続税の評価額を”現金ベース”と思い込む

相続税での“評価額”=現金ベースだと思い込む

相続税の世界では、“現時点で換金したらいくらになるか” が重視されます。
しかし、多くの受験生が「払った額」や「将来受け取れる保険金」を考えてしまい、
“今の契約の価値”に着目できない のが典型的なミスです。
■よくあるケアレスミス④
「保険契約=財産」という感覚が薄い
相続財産といえば
- 現金
- 土地
- 建物
- 株式
といった“形のあるもの”を想像しがちです。

しかし、FP では生命保険の契約そのものも価値を持つという発想が必要です。
この感覚がないと問題文の意図を読み違えます。
ミス⑤:「相続開始時」のタイミングを見落とす

「相続開始時」のタイミングを見落とす
生命保険の評価は、相続が始まった瞬間の“その時点の価値” が基準です。
- 払込中か
- どれだけ返戻金が増えているか
- 事故が起きたかどうか
これらを“その瞬間”で判断します。

問題文の「相続開始時」という言葉を読み飛ばして、過去の払込総額で考えてしまうのがよくある失点ポイントです。
📋 ケアレスミスまとめ:この問題の最大の落とし穴
🔻 「既払込保険料」は“払った額”であって、“価値”ではない!
🔻 評価額は“解約返戻金などの実際の価値”で行う!

これを頭に置いた上で問題を読むと、ひっかけに惑わされずに〇×を判断できるようになります。
まとめ・今回の学び:生命保険の権利は解約返戻金で評価する
- 保険事故が発生していない生命保険契約に関する権利の価額ってなに?
→「この契約には今いくらの価値がある?」
という保険契約そのものの値段のことです。
→解約返戻金などの価値があるため、相続財産として評価されます。 - 既払込保険料相当額とは?
→「これまでに自分が保険会社に支払った保険料の合計金額」のことです。
→保険契約そのものの価値とは別物であることには注意しておきましょう。 - よくあるケアレスミスを紹介
→「払った保険料=そのまま財産の価値」と思ってしまう点です。
「払った分がそのまま価値になる」わけではないということを認識しましょう。
→その他にも- 「保険事故が発生していない」という意味の取り違え
- 相続税の評価額が現金ベースだと思いこむ
などがあります。
今回は相続財産の評価、生命保険の評価について解説しました。
今回取り上げた問題文の争点は、保険契約の価値が何によって決まっているか、です。
✘:既払込保険料相当額
◯:解約返戻金相当額
これさえ覚えれば、とりあえずはOKです。
保険料は手数料も含まれています。
保険契約の価値には手数料は含まれないですよね。

つまり 既払込保険料 ≠ 保険契約の価値 というイメージを持てると思います。
次回予告:取引相場のない株式の評価方式

今回の「生命保険の評価」で“評価の基準”に注目する視点が身についたら、
次は「取引相場のない株式の評価」に挑戦です。
純資産価額方式と類似業種比準価額方式、どちらがどの会社に使われるのか——
今回と同じように「それっぽい表現」でひっかけてくる問題ですので、
ぜひ続けて読んでみてください!
次回の記事はこちら
▶【相続税】純資産価額方式とは?類似業種比準価額方式との違いを徹底整理!_間違いから学ぶFP3級_第90回

相続財産の評価は、財産の種類によって評価方法がガラッと変わります。
次回の株式評価もぜひ流れで読んでみてください!
次回もよろしくお願いします😊




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