相続税の勉強をしていると、「小規模宅地等の特例」の面積制限がとてもややこしく感じませんか?
特に、特定居住用宅地等や貸付事業用宅地等など、複数の宅地が関わるケースでは「面積の調整が必要なのか?」という疑問がよく出てきます。
今回は、2つの種類の宅地を相続した場合、それぞれの特例を限度面積まで使えるのか? というポイントを、問題形式でわかりやすく解説していきます。
⭐️この記事を読んで得られる知識は、以下の3点です。
- 貸付事業用宅地等とはなにか?
→「人に貸してお金(家賃など)をもらうために使っている土地」のことです。 - なぜ面積調整が必要なのか?
→「優遇できる土地の“合計の範囲”が決まっているから」です。 - よくあるケアレスミスについて紹介
→①「種類が違う=別枠でフル適用できる」と思い込む傾向があります。
②「特定事業用宅地等」(400㎡)と混同してしまうケース。
などがあります。
📘 今回の分野:

今回学習する分野は『貸付事業用宅地等』についてです。
『貸付事業用宅地等』も『小規模宅地等の特例』の項目のひとつです。

『特定居住用宅地等』や『特定事業用宅地等』の記事を併せて読むことで、理解が深まると思います。
よろしければ、ご確認ください。
それでは今回の問題文を見ていきましょう。
相続・事業承継(小規模宅地等の特例)
❓️ 問題文の紹介
相続により特定居住用宅地等と貸付事業用宅地等の2つの宅地を取得した場合、適用対象面積の調整はせず、それぞれの適用対象面積の限度まで「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けることができる。
◯か✗か?
小難しい単語が羅列していますね。
こーゆーの見ると嫌になります。😅

こういうときは、文章を分解して、何を問われているのか把握することをおすすめします。
求めることは何なのか、理解できると思いますよ。
今回の問題文で引っかかる文章は「適用対象面積の調整はせず」という点でしょうか。
この問題を回答するときに考えていたことは、『特定居住用』と『貸付事業用』の2つの宅地を別々に取得した場合なので、特に調整はいらないのではないかと思い、◯にしました。
さて、正解を確認してみましょう‼️
✅ 正解と解説の要点

相続により特定居住用宅地等と貸付事業用宅地等の2つの宅地を取得した場合、適用対象面積の調整はせず、それぞれの適用対象面積の限度まで「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けることができる。
◯か✗か?
→正解:✘(誤りの文章)
正解は✘。
誤りの問題文でした。
前章で考えていたことやポイントは、どうやら合っていたようです。
ただ、考えていたことがズレていたので、正解ではありません。

正しい考え方を理解して、知識を深めましょう〜‼️
✅️ポイント解説
小規模宅地等の特例では、宅地の種類ごとに限度面積が決まっています。
- 特定居住用宅地等(自宅)
限度面積:330㎡ - 貸付事業用宅地等(アパート・駐車場など)
限度面積:200㎡
この2つは「種類が違う」ので、一見すると
“別枠だからそのまま両方MAXまで使えるのでは?”
と思いがちです。

しかし、実際は 面積調整(按分)が必要な組み合わせ に該当します。
● 結論
特定居住用(330㎡枠)と貸付事業用(200㎡枠)は調整対象の組み合わせ
→ そのまま両方満額で使えない
→ 面積を案分して適用する必要があります。
→ したがって問題文の「調整しない」は誤りです。=✗
🔍 深掘り考察!!
今回は、以下の点について解説していきたいと思います。
- 貸付事業用宅地等とはなにか?
→「人に貸してお金(家賃など)をもらうために使っている土地」のことです。 - なぜ面積調整が必要なのか?
→「優遇できる土地の“合計の範囲”が決まっているから」です。 - よくあるケアレスミスについて紹介
→①「種類が違う=別枠でフル適用できる」と思い込む傾向があります。
②「特定事業用宅地等」(400㎡)と混同してしまうケース。
などがあります。
貸付事業用宅地等とはなにか?

一言でいうと、
「人に貸してお金(家賃など)をもらうために使っている土地」
のことです。
税金の世界では、
“自分が住むための土地”ではなく、
“人に貸して収入を得るための土地”を、特別にこう呼びます。
■ もっと噛み砕いて説明すると…
あなたが土地を持っていたとします。
その土地に──
- アパートを建てて、人に貸す
- 駐車場を作って、車を貸す
- 倉庫を建てて、企業に貸す
など、他の人が使うことでお金が入ってくる状態をつくったら、
その土地は 「貸付事業用宅地等」 になります。

自分で住んだり、自分で商売に使うわけではない、
「人に貸して収益を得るための土地」というイメージです。
■ 具体例で理解しよう
◆ 例①:アパートを建てて家賃をもらっている土地
土地の上にアパートを建て、
住んでいる人から家賃をもらっています。
→ この土地は 貸付事業用宅地等 になります。
◆ 例②:月極駐車場として貸している土地
青空駐車場でもOKです。
車を停めたい人から「月額〇〇円」でお金をもらいます。
→ これも 貸付事業用宅地等 です。
◆ 例③:店舗や事務所を建てて企業に貸している
テナントビルや賃貸オフィスも同じです。
→ 「貸して収入を得ている土地」なので該当します。
■ どんなときに重要になるの?
相続税の計算で「小規模宅地等の特例」を使うときに重要になります。

貸付事業用宅地等は、最大200㎡まで50%減額という優遇を受けられます。
ただし、自宅(特定居住用)とは違う扱いになるため、選択や面積調整のルールが少し複雑になるのがポイントです。
■ 貸付事業用宅地等について_まとめ
- 貸付事業用宅地等=人に貸して家賃などを得るための土地
- アパート、駐車場、テナントなどが典型例
- 相続税の計算で特別な優遇(200㎡まで50%減額)がある
- 自宅用(特定居住用)とは扱いが異なる
なぜ面積調整が必要なのか?

一言でいうと、
「優遇できる土地の“合計の範囲”が決まっているから」
です。
つまり、
“この種類の土地は〇㎡まで優遇しますよ”
という枠に入るように、土地の面積を分けて計算し直す必要があるのです。
■ もっと噛み砕いて説明すると…
相続税の世界では、土地の種類ごとに「優遇できる広さ」が決まっています。
たとえば、
- 特定居住用宅地等(自宅):最大330㎡
- 貸付事業用宅地等(アパートなど):最大200㎡
この2つを同時に使える場合があるのですが、実はこの2つを“そのまま合計”して使ってしまうと、優遇の合計量が大きくなりすぎてしまうことがあります。
国としては、
「優遇の量(節税のしやすさ)」に一定の限界をつくりたい。
だから、種類が違っても、組み合わせによっては調整(按分)して使うルールがあるのです。
■ “水槽”でイメージするとわかりやすい!
土地の優遇枠を、水槽に例えてみましょう。
● 自宅用の水槽(330L)
● 貸付用の水槽(200L)
普通なら、
自宅の水 330L
貸付の水 200L
をそれぞれ満タンにしてOKです。
ただし、この2つの水槽は底のほうで繋がっていると思ってください。
→ つまり、完全な別枠ではないのです。
そのため、どちらかに水(=特例適用面積)を入れすぎると、もう片方の水槽にも影響してしまいます。

なので、2つの土地を合計した広さを一度バケツに入れて割り振ります。
⇨これが「面積調整(按分)」です。
■ 具体例で理解しよう!
◆ 例:
- 自宅の土地:330㎡
- アパートの土地:200㎡
合計:530㎡
本来の優遇枠は
- 自宅:330㎡
- 貸付:200㎡
と決まっています。
しかしこの組み合わせでは、両方を“満額のまま”適用してしまうと、節税効果が大きくなりすぎるため、国はこう考えています。
「530㎡も優遇するなら、種類ごとに均等に分け直して、ほどよく優遇してね。」
この「分け直し」が面積調整(按分)です。
■ なぜ、種類によっては調整不要なの?
実は、
・特定居住用宅地等(自宅)
・特定事業用宅地等(事業)
の組み合わせでは、調整は不要です。
理由は、
国家として特に守りたい“生活の土地”と“事業の土地”は、優遇を最大限にしっかり与えたいと考えられています。
なので、別枠としてフルで使えようになっています。
しかし、貸付事業用宅地等(アパートなど)は、「事業」と言っても自分が働く事業ではなく、比較的“投資寄り”の土地として扱われます。

そのため国としては、
「節税しすぎにならないように、一定の調整をいれておこう」
という考え方になります。
■ 面積調整が必要な理由_まとめ
- 優遇できる面積の“合計の上限”を超えないようにするため
- 種類が違っても、節税メリットが大きくなりすぎないように調整が必要
- 特に「貸付事業用 × 特定居住用」は調整するルール
- 自宅+事業用(自分の商売)は生活・事業のため別枠扱いで調整なし
よくあるケアレスミスについて紹介

この問題(「特定居住用宅地等 × 貸付事業用宅地等 に面積調整は必要か?」)に関して、FP受験生がよくやってしまうケアレスミスを、中学生にも理解できるように噛み砕いて紹介します。
■ よくあるケアレスミス①
「種類が違う=別枠でフル適用できる」と思い込む
多くの受験生は、
- 特定居住用 → 330㎡
- 貸付事業用 → 200㎡
と覚えているため、
「種類が違うから両方ぜんぶ使えるはず」
と早とちりしがちです。

しかし実際は、この組み合わせだけは、調整が必要なので注意が必要です。
■ よくあるケアレスミス②
特定事業用宅地等(400㎡)と混同する
本来調整が不要なのは、
- 特定居住用 × 特定事業用
この組み合わせです。
ところが受験生は、
「事業用ってついてるから貸付事業用もOKでしょ?」
と混同しがちです。
でも実際は、
- 特定事業用(自分の事業)=強い優遇、調整なし
- 貸付事業用(アパート経営など)=“投資寄り”、調整あり
と性質が全く違うので、
名前だけで判断すると間違えます。
■ よくあるケアレスミス③

優遇面積の大きさだけに目がいってしまう
受験生が「330㎡と200㎡」という数字だけに気を取られると、
「200㎡は小さいんだから、別枠で使ってもいいのでは?」
と思ってしまいます。
しかし、面積の大小は関係なく、調整ルールが決まっているので、考え方としてはズレてしまいます。
■ よくあるケアレスミス④
調整が必要かどうかの“表”を覚えていない
小規模宅地等の特例は、
「どの組み合わせが調整必要か」を表で覚えるのが近道ですが、
- 調整必要(居住用 × 貸付)
- 調整不要(居住用 × 事業用)
これを覚えていないと、問題文を読むたびに混乱しがちです。

試験では“若干ひっかけ気味の問題”が出やすいので要注意です。
■ よくあるケアレスミス⑤

「貸付事業用」=「事業」と短絡的に考えてしまう
名前に「事業」とついているため、
貸付事業用=事業 → 調整いらない?
と思ってしまうケースが非常に多いです。
しかし、
貸付事業用宅地等は「自分の事業」ではなく、
不動産収益(家賃収入)を得るための“投資的”な土地です。
税制上、優遇が弱く扱われるため、調整が必要になります。
■ まとめ(ケアレスミス対策)
✔ 名称だけで判断しない
「事業」がついていても、貸付は別物。
✔ 面積の大きさに惑わされない
数字の大小は、調整の有無とは関係ない。
✔ 組み合わせの表で覚える
- 居住用 × 事業用(自分の事業) → 調整なし
- 居住用 × 貸付事業用 → 調整あり(今回)
まとめ・今回の学び
- 貸付事業用宅地等とはなにか?
→「人に貸してお金(家賃など)をもらうために使っている土地」のことです。
→相続税の計算で特別な優遇(200㎡まで50%減額)があります。
アパート、駐車場、テナントなどが典型例です。 - なぜ面積調整が必要なのか?
→「優遇できる土地の“合計の範囲”が決まっているから」です。
→特に「貸付事業用 × 特定居住用」は調整するルールになっています。 - よくあるケアレスミスについて紹介
→①「種類が違う=別枠でフル適用できる」と思い込む傾向があります。
②「特定事業用宅地等」(400㎡)と混同してしまうケース。
などがあります。
よくあるケアレスミスを回避するためには、
部分的な名前だけで判断せず、面積の大きさに惑わされないようにしましょう。
組合せ表をまるっと覚えるほうが効率的です。
今回は小規模宅地等の特例の内の、『貸付事業用宅地等』にフォーカスを当てて解説しました。
連続して小規模宅地等の項目を記事にして取り上げてきたので、流石にもうお腹いっぱいになってきたでしょうか。笑
この項目は自営業をされている方、その相続人の方については必見ですので、いつでも確認できるようにしておいてください。

次回は、私の不得意分野『保険』に関わる問題を取り上げます。
意味や意図、その理由について詳しく解説していこうと思いますので、是非ご覧になってください。
次回予告:

次回は、生命保険に関するちょっとややこしい評価のルールを取り上げます。
相続の場面では、生命保険金そのものだけでなく、
**「まだ保険事故(=被保険者の死亡など)が起きていない保険契約の権利」**も相続財産として評価する必要があります。
ここで問題となるのが、
「その価額はいくらで計算するのか?」
という点です。
そこで、今回のテーマはこちらです。
「相続財産の評価において、相続開始時に保険事故が発生していない生命保険契約に関する権利の価額は、原則として、既払込保険料相当額によって評価する。
◯か✗か?」
「保険事故が起きていない保険契約」は、保険金を受け取る前の“途中の状態”なので、どう評価するのか混乱しやすい分野です。

次回は、この評価方法を図解しながら、FP試験でも確実に得点できるようわかりやすく解説していきます。
お楽しみに!


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