相続や贈与の学習を進めると、必ず出てくるのが「相続時精算課税制度」。
「なんとなく難しそう…」「暦年課税とどう違うの?」と感じる人も多いですよね。
今回は、その中でも試験によく出る【特別控除額】と【税率】の数値に注目して、
FP3級試験レベルでしっかり整理していきます。
⭐️この記事を読んで得られる知識は、以下の3点です。
- 相続時精算課税制度ってなに?
→生きているうちに早めに財産をわたすときに使える特別なルールです。 - 相続時精算課税制度が出来た理由と背景
→「生きているうちに早めに渡す」ことで経済の流れを良くすることが理由のひとつです。 - 制度を利用する際に注意すべき点
→一度この制度を選んだら、暦年課税制度に戻れなくなります。
📘 今回の分野:相続税の特例

今回取り上げるテーマは、「相続時精算課税制度」についてです。
私はこの勉強をするまで聞いたことがありませんでした。
実際、どういった制度なのか?

用語を噛み砕いて見ると、「相続時に精算して課税する」制度ですね。
まんまですが・・・笑
・・・どういった制度なのかは、これ以降で詳しく解説しようと思います。
- 分野:相続・贈与(贈与税)
- テーマ:贈与税の特例
- キーワード:相続時精算課税、特別控除 等
❓️ 問題文の紹介
本年中に相続時精算課税の適用を受けた場合、受贈者ごとの年間110万円控除後、特定贈与者ごとに特別控除額として累計【□1】までの贈与には贈与税が課されず、その額を超えた部分については一律【■2】の税率により贈与税が課される。
【□1、■2】に入る数値を答えよ。
□1の選択肢は、1500万円と2500万円。
■2の選択肢は15%と20%でした。
この数値については、
完全に覚えるしか無いのかな?
という思いがありました。
全くピンとこなかったので、「これかな〜?」という感じの当てずっぽうで解答しました。
なにか取っ掛かりがあれば、覚えやすいのですが。。。

具体例や背景を確認してイメージできるようにしておきましょう‼️
それでは、まずは正解の確認です。
✅ 正解と解説の要点

本年中に相続時精算課税の適用を受けた場合、受贈者ごとの年間110万円控除後、特定贈与者ごとに特別控除額として累計【□1】までの贈与には贈与税が課されず、その額を超えた部分については一律【■2】の税率により贈与税が課される。
【□1、■2】に入る数値を答えよ。
正解:【□1_2,500万円、■2_20%】
正解は、【□1: 2,500万円、■2: 20%】でした。
なぜ、2500万円なのでしょうか。
参考書を見ても、
「この金額をただ覚えるしかないのかな?」
というくらいよくわからなかったです。
少し調べてみると、住宅購入や教育資金など、子世代の支援に使いやすい金額の上限値としての意味合いがあるようです。

とりあえず、この控除額を覚える取っ掛かりとしては、上記のように関連付けて覚えてはいかがでしょうか。。
改めて、ポイント解説を確認していきましょう‼️
✅️ポイント解説
相続時精算課税とは、
「生前贈与分をいったん贈与税で精算しておき、最終的に相続のときにまとめて再計算する」
仕組みのことです。
この制度を使うと、
- 贈与者(あげる人)1人につき
- 受贈者(もらう人)が累計で 2,500万円 までは非課税となります。
- それを超えた部分には 一律20% の贈与税がかかります。
ポイントは、「110万円の基礎控除」とは別ルールだという点です。

つまり、相続時精算課税を選ぶと、暦年課税の110万円控除は使えなくなるんです。
🔍 深掘り考察!!
今回は、以下の点について解説していきたいと思います。
- 相続時精算課税制度ってなに?
→生きているうちに早めに財産をわたすときに使える特別なルールです。 - 相続時精算課税制度が出来た理由と背景
→「生きているうちに早めに渡す」ことで経済の流れを良くすることが理由のひとつです。 - 制度を利用する際に注意すべき点
→一度この制度を選んだら、暦年課税制度に戻れなくなります。
相続時精算課税制度ってなに?

「相続時精算課税制度(そうぞくじせいさんかぜいせいど)」は、FPの勉強でもとても大事なテーマの一つです。
少し名前がかたくて難しく感じるかもしれませんが、考え方はとてもシンプルです。

学生でもイメージできるように、かみくだいて説明しますね。
🏡相続時精算課税制度とは?
「相続(そうぞく)」とは、人が亡くなったときに財産(お金や家)を家族などが引きつぐことです。
一方「贈与(ぞうよ)」は、生きているうちに財産を人にあげることです。
この制度は、生きているうちに早めに財産をわたすときに使える特別なルールです。
💰制度のざっくりイメージ
たとえば、
お父さん(60歳)が、息子さん(30歳)に 3,000万円 をあげたいとします。
普通の贈与(暦年課税)だと、
1年に110万円までは非課税ですが、それ以上は贈与税がかかります。
👉つまり、3,000万円を一気にあげたら、すごく大きな税金がかかる可能性があります。
でも「相続時精算課税制度」を使うと……
- まず 2,500万円までは非課税(税金がかからない)
- 超えた金額(今回は500万円)に 20%の贈与税 がかかる
つまりこの場合、
500万円 × 20% = 100万円 の贈与税で済みます。
📅「相続時に精算」とはどういうこと?
制度の名前にもある「精算(せいさん)」という言葉がポイントです。
この制度は、
「生きているうちにあげた分を、相続のときにいったん合計して、もう一度きちんと税金を計算し直す」仕組みです。
つまり、
お父さんが亡くなったときに、すでにあげた3,000万円も相続財産に足して、
相続税を計算し直します。

だから「税金がゼロになる」制度ではなくて、「先にあげるけど、あとでちゃんとまとめて計算するよ」という制度なんです。
⚠️注意すべきポイント

- いったんこの制度を選ぶと、元の暦年課税(110万円の控除)には戻れません。
→ あとで「やっぱり普通の贈与がよかった…」と思っても取り消しできません。 - 使える人が決まっています。
- 贈与する人(あげる側):60歳以上の父母または祖父母
- もらう人(受ける側):18歳以上の子や孫
- 相続のときにもう一度まとめて税金を計算します。
→ だから「早めに財産を移す」人に向いた制度です。
表でまとめて、もう一度おさらい
| 内容 | 暦年課税 | 相続時精算課税 |
|---|---|---|
| 1年間の非課税枠 | 110万円 | 2,500万円(累計) |
| 税率 | 累進税率(多くなると高い) | 一律20%(超えた分) |
| 相続時 | 関係なし | あげた分も足して再計算 |
| 元に戻せる? | ― | 戻せない ❌ |
🌱相続時精算課税制度_内容まとめ
- 相続時精算課税制度は、「生きているうちに早めに財産を渡すための特別ルール」です。
- 2,500万円までは非課税で、超えた分は20%で贈与税がかかります。
- 相続のときにまとめて精算するので、あとで税金は再計算されます。
- 一度使うと暦年課税には戻せないので、利用には注意が必要です。
相続時精算課税制度が出来た理由と背景
「制度そのもの」を覚えるだけでなく、なぜその制度ができたのかを理解しておくと、FPの試験でも実務でもグッと強くなります。
相続時精算課税制度ができた背景には、日本の「お金の流れ」に関する大きな社会の変化がありました。

イメージできるように、やさしく・例をまじえて説明しますね。
🏡相続時精算課税制度ができたのはいつ?
この制度は、2003年(平成15年) にスタートしました。
つまり、まだ20年ちょっとの比較的新しい制度なんです。
では、なぜこのときに始まったのでしょうか?
🧓高齢者にお金がたまって、若い世代にお金が回らなくなった
日本では、
「お金をたくさん持っているのは高齢者世代」
「若い世代はなかなかお金がたまらない」
という状況が長く続いていました。
たとえば…
- おじいちゃん世代 → 退職金・貯金・家がある(資産が多い)
- 息子・孫の世代 → 子育てや住宅ローンでカツカツ(お金が少ない)
こうなると、若い人たちが
- 家を買う
- 子どもを育てる
- 新しいことにチャレンジする

といった、人生の大きなイベントにお金を使いにくくなります💦
💰「死んでから相続」では遅すぎる!
日本の相続は、基本的に「亡くなったとき」に財産が子どもへ移ります。
つまり、財産が若い世代に移るのは かなり先のこと になるケースが多いのです。
たとえば…
- お父さん:70歳
- 息子:40歳
もし相続が80歳で発生したら、息子が資産を受け取るのは50歳くらい。
家を買ったり、子どもを育てたりする時期(30代~40代)には間に合いませんよね。

これではお金が「高齢者に貯まったまま」になってしまい、若い人がお金を使うチャンスを失ってしまいます。
🏃♂️💨「生きているうちに早めに渡す」ために作られた制度!
こうした状況を改善するためにできたのが、相続時精算課税制度です!
この制度を使えば、高齢者(父・母・祖父母)が生きているうちに
→ 子や孫に
→ 2,500万円まで非課税で贈与できるようになります。
つまり、
「死んでから渡すんじゃなくて、生きてるうちに使ってもらおう!」
という国の考え方なんです。
📈 たとえばこんなイメージ
- おじいちゃん(70歳)が、孫(25歳)に2,000万円を贈与
- 孫はそのお金でマイホームを買う
- 経済が動いて、建設業や不動産業も潤う
- 国全体も景気アップ!

こうして、ただ“貯めっぱなし”だったお金が、若い人が使うお金になって、経済の流れがよくなるというわけです。
⚠️ ただし、注意点もある
この制度には「いいこと」だけでなく、注意すべき点もあります。
- 一度使うと、暦年課税(110万円の控除)に戻せない
- 相続のときにもう一度精算する必要がある
- 本当に必要かどうか、しっかり考えて使う制度
国としては「世代間のお金の流れをよくする」ことが目的ですが、使うときはライフプランや相続計画も大事になる制度です。
🧭 制度発足の理由と背景_まとめ
- 相続時精算課税制度は、2003年に導入された制度です。
- 高齢者に偏った資産を、若い世代に早く移すために作られました。
- 2,500万円まで非課税で贈与でき、経済の流れを良くする狙いがあります。
- ただし、一度選ぶと戻れず、相続時に精算する必要があります。
制度を利用する際に注意すべき点

制度の内容や背景を理解した上で、「使うときの注意点」を知っておくことはFP試験でも実生活でもとても大切です。

では、「相続時精算課税制度を使うときに注意すべきポイント」を、わかりやすくかみくだいて説明します。
⚠️1. 一度選ぶと、もう元に戻せない!
この制度でいちばん大事な注意点は、
いったん相続時精算課税を選んだら、暦年課税(110万円まで非課税の普通の贈与)に戻れない
ということです。
🔸具体例で考えてみましょう
- お父さん(60歳)→ 息子(30歳)に1,000万円を贈与
- 「相続時精算課税」を選んで申告(2,500万円以内なので非課税)
ここまではOKです。
でもその翌年、もう一度100万円をあげたとしても――
本来なら「暦年課税なら非課税(110万円以内)」のはずですが、もう戻れないので、すべて相続時精算課税の扱いになります。
つまり、
「一度使ったらずっとこのルールのまま」なんです。

軽い気持ちで選ぶと、「あっ、やっぱり普通の贈与の方がよかった…!」と後悔する人もいます。
⚠️2. 贈与した財産は、あとで“相続財産”に足して計算される
この制度の名前の「精算(せいさん)」というのは、
最終的に相続のときにもう一度まとめて税金を計算し直すという意味です。
🔸具体例
- お父さん(生前)→ 息子に2,000万円を贈与(相続時精算課税を利用)
- 数年後にお父さんが亡くなる
このとき、息子がすでに受け取った2,000万円は、
相続税の計算のときに再び「お父さんの財産」として合計されます。
つまり、
「早めにあげたけど、最終的には相続税でまとめて計算しますよ」
というルールです。

なので、「贈与税がかからなかった=税金ゼロ!」というわけではありません。
⚠️3. 相続税が高くなることもある
この制度を使うと、もらった人がたくさん先にもらっていることになるので、結果的に相続税の課税対象額が増えることもあります。
🔸例
- お父さんが生前に3,000万円を息子に贈与(2,500万円+超過500万円)
- 相続のときに、他の財産(家・預金など)も合わせて計算
このとき、すでにあげた3,000万円も合計に入るので、相続税の金額が上がる場合もあります。

「生前にあげれば税金が減る」と思いがちですが、この制度ではいったん後回しにして精算するだけです。
⚠️4. 申告が必要!「勝手に使える制度」ではない

相続時精算課税は、自分で申告しないと使えません。
つまり、贈与を受けた年の翌年の3月15日までに、税務署に「相続時精算課税を使います」と申告する必要があります。
🔸もし申告しないとどうなる?
→ 自動的に「暦年課税(110万円控除)」として扱われます。
なので、「あとでまとめて精算したい」と思っても、申告を忘れていたらもう使えません。
とても大事な“申告制”の制度なんです。
⚠️5. 家族みんなで使えるわけではない
この制度は、だれとだれの間でも使えるわけではありません。
使えるのは次の関係だけです。
| 贈与する人(あげる側) | 贈与を受ける人(もらう側) |
|---|---|
| 60歳以上の父母・祖父母 | 18歳以上の子・孫 |
たとえば、叔父さん→甥っ子には使えません。

「直系」の親子・祖父母と孫の関係だけが対象です。
⚠️6. 住宅や教育の資金に使うときは要チェック!
住宅資金や教育資金の贈与には、それぞれ別の「非課税制度」があります。
これらを同時に使うときは、どちらを優先するかをよく確認する必要があります。
たとえば「住宅取得資金の贈与の非課税」と組み合わせるときは、条件の重なり方に注意が必要です。
🧭注意点_まとめ
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| 戻せない | 一度選ぶと暦年課税には戻れない |
| 精算あり | 相続のときにまとめて再計算される |
| 税金が増える場合も | 結果的に相続税の対象が増える |
| 申告が必要 | 翌年の3月15日までに手続きが必要 |
| 使える人が決まっている | 親・祖父母 → 子・孫だけ |
| 他制度との重複注意 | 教育資金・住宅資金制度と混乱しやすい |
つまり、「相続時精算課税制度」はとても便利だけど、使い方をまちがえると、あとで思わぬ税金がかかることもある制度ということです。
まとめ・今回の学び
- 相続時精算課税制度ってなに?
→生きているうちに早めに財産をわたすときに使える特別なルールです。
→「税金がゼロになる」制度ではなくて、
「先にあげるけど、あとでちゃんとまとめて計算するよ」という制度なので注意⚠️ - 相続時精算課税制度が出来た理由と背景
→「生きているうちに早めに渡す」ことで経済の流れを良くすることが理由のひとつです。
→高齢者に偏った資産を若い世代に早く移すために作られました。 - 制度を利用する際に注意すべき点
→一度この制度を選んだら、暦年課税制度に戻れなくなります。
その他に
→相続税が高くなる場合もあります。
→申告が必要で、「勝手に使える制度」ではないということにも注意が必要です。
今回は、相続時精算課税制度について解説しました。
制度の背景や意図についても具体例を交えて解説したので、イメージがついたのではないでしょうか。
この制度には、いくつかの注意点があります。
安易に活用して、「やっぱりこっちのほうがよかった」と後悔しないような選択をするために、慎重な対応が必要です。

デメリットばかりを強調しましたが、2500万の控除は大きいので、自分のライフプランを見つめ直したいところですね。
続いて次回予告です。
次回予告:贈与税の納付方法

次回は、贈与税の納付方法について取り上げます。
原則として贈与税は「金銭で一括納付」する必要がありますが、一定の条件を満たすと「延納」や「物納」が認められるケースもあります。
試験でもよく問われるポイントです👇
「贈与税の納付については、納期限までに金銭で納付することを困難とする事由があるなど、所定の要件を満たせば、延納または物納によることが認められている。◯か✗か?」
このテーマを通して、延納・物納の意味や条件をしっかり整理していきましょう!💡

次回もお楽しみに♪

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