「贈与税は、現金で一度にまとめて払うのが当たり前」——そんなふうに思っていませんか?
でも実は、事情があれば分割して少しずつ払う方法も認められています。
さらにややこしいのが、「お金の代わりにモノで納める方法」もあるという話。
「じゃあ贈与税も、分割でもモノでも、好きな方法で納められるのかな?」と感じた方は要注意です。
ここには、FP3級でくり返し問われるひっかけがかくれています。
わたし自身、最初にこの問題を見たときは「現金で払えないなら、どっちの方法も使えそうだな」と素直に思ってしまい、まんまと引っかかりました。
今回は、贈与税の「延納」と「物納」の違い、そしてなぜ贈与税では物納が認められないのかを、その失敗もふまえて一緒にやさしく解き明かしていきましょう!
⭐️ この記事を読んで得られる知識は、以下の3点です。
- 延納(えんのう)ってなに?
→ 税金を一度に払えないときに、分けて少しずつ払う方法のことです。 - 物納(ぶつのう)ってなに?
→ お金の代わりに、モノ(財産)で税金を納めることです。 - なぜ、贈与税では「物納」が認められないの?
→ 贈与税は生きている人が払う税金だから。
働いて収入があるのが普通なので、「分割(延納)でなら払えるはず」と考えられているのです。

むずかしそうに見えますが、一つずつ整理すれば必ずスッキリ分かりますよ。
焦らず一緒に進めましょう☺️
前回の第81回では、贈与税の「課税方法」のひとつ、相続時精算課税制度(特別控除2,500万円)を取り上げました。
「どう課税されるか」を押さえたうえで、今回の「どう納めるか(延納・物納)」を学ぶと、贈与税の全体像がぐっとつながって見えてきます。
前回の記事はこちら
▶【相続時精算課税】2,500万円まで非課税の仕組みとは?暦年課税との違い・デメリットを徹底整理_間違いから学ぶFP3級_第81回
📘 今回の分野:贈与税の納付(延納・物納)

今回取り上げるのは、相続・事業承継分野の「贈与税の納付・延納・物納」です。
「納付」という言葉は聞き慣れていても、「延納」「物納」となると、ふだんの生活ではなかなか出てこない言葉ですよね。
わたしも本業は建築の仕事なので、税金の納め方を細かく考える機会はそう多くありませんでした。
この記事では、その聞き慣れない2つの言葉の意味と、「どんなときに使えるのか(使えないのか)」までをセットで理解できるようにしていきます。
- 関連キーワード:延納、物納、相続税との違い、最長5年
- 分野:贈与税
- テーマ:贈与税の納付方法(延納・物納)
- 出題頻度:★★★(よく出る)

試験でも実生活でも、いざというときに慌てないように。
最後まで一緒に見ていきましょう!
❓️ 問題文の紹介
- 対象の税金:贈与税
- 前提となる状況:納期限までに金銭(現金)で納めるのが困難な事情がある
- 満たしている条件:所定の要件はクリアしている
- 問われている内容:この場合、延納または物納の両方によることが認められるか?
◯か✗か?
延納と物納、言葉は似ていますが「両方OK」なのか「片方だけOK」なのか、
こんがらがってしまいませんか?
ここを正しく区別できるかどうかが、この問題の分かれ道です。

次の章で正解を確認して、正しい知識をしっかり身につけましょう☺️
✅ 正解と解説の要点:贈与税は延納はOK・物納はNG

- 対象の税金:贈与税
- 前提となる状況:納期限までに金銭(現金)で納めるのが困難な事情がある
- 満たしている条件:所定の要件はクリアしている
- 問われている内容:この場合、延納または物納の両方によることが認められるか?
◯か✗か?
→正解:✘(誤り)
正解は✘。
誤りの文章でした。
ポイントを整理して、どの部分が間違っているのか確認しましょう。
✅️ポイント解説
ポイントはここです。
贈与税の納付について、「延納」は認められていますが、「物納」は認められていません。
つまり、問題文のように「延納または物納によることが認められている」と書かれていたら、物納が混ざっている時点で誤りになります。
- 延納とは?
納付するお金を一度に用意できない場合に、分割して納める制度です。
利子税はかかりますが、贈与税では最長5年にわたって分けて払うことができます。 - 物納とは?
延納でも納税が難しい場合に、国が認めた財産(不動産・有価証券など)を現金の代わりに納める方法です。
ただし、この物納が認められるのは相続税だけで、贈与税では使えません。
【補足】
「現金で払えないなら、分割でもモノでも、なんでも認めてくれそう」と感じてしまいがちですが、実際には贈与税で使えるのは延納までです。
この「延納はOK・物納はNG」というワンセットが、そのまま試験の正誤判断のカギになります。

「贈与税の物納はナシ」——
ここさえ押さえれば、この問題はもう大丈夫ですよ☺️
📚 出典・参考
- 国税庁タックスアンサー No.4402「贈与税がかかる場合」(贈与税は金銭一括が原則・税額10万円超かつ金銭納付が困難な場合に延納制度あり)
- 国税庁 「延納・物納申請等」(物納は相続税の納付方法)
🔗 あわせて読みたい関連記事
贈与税の「納め方」とセットで、贈与税そのものの仕組みも押さえておくと、理解がいっそう深まります。
贈与税の基本となる「年110万円の非課税ライン」を知っておくと、納付の話も入りやすくなります。

「贈与税がかからない特例」の代表例もあわせて読むと、課税と非課税の線引きが体系的に整理できます。

「贈与なのに相続税がかかる」ケースを知ると、今回の「物納は相続税だけ」という話ともつながってきます。


1本ずつ読みつないでいくと、「贈与税と相続税の関係」が自然と頭に入ってきますよ☺️
🔍 贈与税の納付について_深掘り考察!!
ここからは、次の3点をやさしく掘り下げていきます。
- 延納とはなにか?
→税金を一度に払えないときに、分けて少しずつ払う方法のことです。 - 物納とはなにか?
→お金の代わりに“モノ(財産)で税金を納める”ことです。 - なぜ、贈与税での「物納」が認められないのか?
→贈与税は生きている人が払う税金だから。
もらった本人は生きていて、働いているのが普通だから、分割払い(延納)でも払えるはず、という理屈です。
延納とは?贈与税は最長5年で分割払いできる仕組み

「延納」とは、税金を一度に払えないときに、分けて少しずつ払う方法のことです。
ひとことで言えば「税金の分割払い制度」です。
贈与税は、原則として「金銭(お金)」で一度に全額納めます。
たとえば贈与税が100万円なら、納期限までに100万円をまとめて払うのが基本です。
でも、「土地はもらったけれど、手元の現金は少ない…」という人もいますよね。
そんなときに「分割で払ってもいいですよ」と認めてくれるのが延納です。
ただし、ポイントが2つあります。
- 分割にする代わりに、利子税(りしぜい)という利息のようなものがつきます。
- 贈与税の延納で分けて払える期間は、最長5年までです。

ここはFP3級の落とし穴。相続税の延納は最長20年ですが、贈与税の延納は最長5年です。数字がごっちゃになりやすいので要注意ですよ。
🌸 身近なたとえで覚えよう
ほしかった工具やパソコンを買ったら、貯金がゼロに…。
でも「来月から少しずつ返していくね」と約束してローンを組むイメージです。
「すぐ全部はムリだけど、計画的に払います」と国に約束する制度が延納です。
物納とは?相続税だけがモノで納められる理由

「物納」とは、お金の代わりにモノ(財産)で税金を納めることです。
「現金がないので、持っている財産で納めさせてください」という仕組みですね。
たとえば、評価額の高い土地を相続したけれど現金はほとんどない、というケース。
延納(分割)でも払えそうにない場合に、その土地の一部を国に渡して納税する——これが物納です。
ただし、誰でも・どんな財産でもOKというわけではありません。
- 延納でも払えないことが前提(物納は延納よりさらに特別な、最後の手段)
- 納められる財産の種類や順番が決まっている(受け取りやすい順に、①不動産・国債など → ②上場株式など → ③それ以外)
- 申請して審査を受ける必要がある
そして最大のポイントは、この物納が認められるのは「相続税」だけだということです。
贈与税には物納の制度がありません。
🌸 身近なたとえで覚えよう
友だちに「1万円貸して」と言われたけれど現金がなくて、「代わりにこのスニーカーでいい?」と渡すような状況です。
現金がなくても“価値のあるモノ”で支払うイメージ。
ただし相手(国)が「それなら受け取るよ」と認めてくれる場面は限られている、というわけですね。
なぜ贈与税で物納が認められないのか?相続税との違いで理解する

ここが今回いちばんの山場です。「相続税ではOKなのに、なぜ贈与税ではNGなの?」をやさしく整理します。
理由はシンプルで、贈与税は「生きている人」が払う税金だからです。
贈与税は、生前に財産をもらった人が払います。
もらった本人は生きていて、働いて収入があるのが普通ですよね。
だから国は「収入があるのだから、分割(延納)でなら払えるでしょう」と考え、モノで納める特別な救済(物納)までは用意していないのです。
一方の相続税は、「亡くなった人の財産を受け継いだ人」が払います。
受け継ぐ財産は家や土地が中心で、現金が少ないことも多い。
「払いたくても現金がなく、家を売らないと払えない」という事態が起こりやすいため、最後の手段として物納が認められているのです。
| 税金の種類 | だれが払う? | 現金は? | 物納できる? |
|---|---|---|---|
| 贈与税 | 生きている人(もらった人) | ある程度あると想定 | ❌ できない |
| 相続税 | 亡くなった人の財産を受け継いだ人 | 少ないケースが多い | ⭕ できる |
🌸 身近なたとえで覚えよう
あなたが元気に働いているなら、お金を「少しずつでも」払えますよね(=延納でOK)。
でも、急に大きな家を受け継いで「現金はないのに税金だけ来た」となると、家の一部で払わせてほしい、となる(=物納の出番)。
物納は“現金で払えない事情が特に強い相続税”のための制度、と覚えましょう。
⭐️ 【ここまでの知識を整理】
- 延納=税金の分割払い。贈与税でも相続税でも使える(ただし贈与税は最長5年・利子税あり・申請が必要)。
- 物納=モノ(財産)で納める最後の手段。相続税だけに認められ、贈与税では使えない。
- 違いの根っこは「誰が払う税金か」。働いて現金を用意できる前提の贈与税には物納がなく、現金が乏しくなりやすい相続税にだけ物納がある。
⚠️ よくあるケアレスミス:贈与税の延納・物納で間違えやすい3つ
ミス①:「延納も物納も、両方OK」と思い込んでしまう
なぜ間違えるのか?
「現金で払えないなら、分割でもモノでも認めてくれそう」という“なんとなくの感覚”で◯を選んでしまうからです。
正しい考え方
贈与税で使えるのは延納まで。
物納は相続税専用です。「延納または物納」と書かれていたら、物納が混ざった時点で✗、と反応しましょう。

「贈与税×物納=NG」の組み合わせだけは、反射で出てくるようにしておくと安心です☺️
ミス②:贈与税の延納を「最長20年」と覚えてしまう
なぜ間違えるのか?
相続税の延納(最長20年)と数字がごちゃ混ぜになり、贈与税も20年だと思い込んでしまうためです。
正しい考え方
贈与税の延納は最長5年。
「贈与は5年・相続は20年」とセットで覚えると混同しません。

わたしも最初は数字がこんがらがりました。
「贈与=5(ゴ)年」と語呂で結びつけると忘れにくいですよ。
ミス③:物納を「現金がなければ誰でもすぐ使える」と思ってしまう
なぜ間違えるのか?
「お金がない=物納できる」と短絡的にイメージしてしまうからです。
正しい考え方
物納は延納でも払えない場合の最後の手段で、しかも相続税限定。財産の種類・順番や審査もあり、ハードルは高めです。

物納は“いつでも選べる便利な方法”ではなく、“ほかに手がないときの最終手段”。
ここのニュアンスが大事です。
📋 ケアレスミスまとめ
| よくある誤解 | 正しい考え方 |
|---|---|
| 贈与税は延納も物納も両方できる | 贈与税は延納のみ。物納は相続税だけ |
| 贈与税の延納は最長20年 | 贈与税の延納は最長5年(20年は相続税) |
| 現金がなければ物納はすぐ使える | 物納は延納でも無理なときの最後の手段+相続税限定 |
まとめ・今回の学び:贈与税の納付(延納・物納)
今回学んだことを振り返りましょう📝
⭐️ 【得られる知識・最終整理】
- 基本の仕組み:
贈与税は金銭で一括納付が原則。
ただし一定の要件を満たせば延納(分割払い)が使える。 - 用語の違い:
延納=分けて払う/物納=モノで払う。
物納は相続税だけの制度。 - 試験頻出ポイント:
「延納または物納が認められる」は✗。
贈与税の延納は最長5年(相続税は20年)。 - 実生活への応用:
贈与税を一度に払えそうにないときは、延納という選択肢がある(利子税・申請が必要)。物納はあてにできない、と覚えておく。
問題文は「延納または物納」と、さも当たり前のように書かれていました。
長くて自然な文章ほど、つい「正しそう」と感じてしまいますが、
物納という言葉が贈与税と並んでいたら誤り——
そう判断できればこの問題は得点源になります。
延納と物納の違いの根っこは、「誰が払う税金か」という一点にあります。
働いて現金を用意できる前提の贈与税には物納がなく、現金が乏しくなりやすい相続税にだけ物納が認められている。
この“なぜ”をつかんでおけば、丸暗記に頼らなくても自然と正解を選べるようになります。
そして数字のひっかけ、「贈与は延納5年・相続は延納20年」。
ここをセットで覚えておけば、ケアレスミスもぐっと減らせます。
わたしのように「どっちも使えそう」と直感で答えてしまわないよう、用語の意味から押さえておきましょう。

ここまでお疲れさまでした!「贈与税は延納だけ・物納は相続税だけ・延納は5年」——この3点を押さえれば十分です。あなたなら大丈夫、自信を持って試験に臨みましょう☺️
次回予告:貸家(家屋)の相続税評価額

次回の第83回は、不動産の評価のなかでもよく出題されるテーマ、「貸家(家屋)の相続税評価額」を取り上げます。
たとえば、亡くなった方が賃貸アパートを持っていた場合。
その建物の相続税評価額は、自分で住んでいる家とは違う、特別な計算式で求めます。
ここで登場するのが、聞き慣れない3つの言葉。
- 固定資産税評価額(評価のスタートになる金額)
- 借家権割合(全国一律の数字。いくつでしょう?)
- 賃貸割合(実際に貸している部分の割合)
しかも、よく似た「借地権割合」とどっちを使うのか、試験では取り違えてしまう人がとても多いんです。
次回の記事はこちら
▶【貸家の家屋の評価】賃貸アパートの相続税はいくら?固定資産税評価額から計算する手順を完全整理_間違いから学ぶFP3級_第83回

「家屋」の評価をマスターすれば、相続税の不動産分野がぐっと得意になりますよ。次回も図解を交えてわかりやすく解説します。お楽しみに‼️


コメント