ファイナンシャルプランナー(以下FP)といえば、お金のプロ!というイメージはありますが、具体的な内容ってみなさん把握されていますか?
3級では”業務の範囲”が出題されますが、みなさんしっかりと理解して解答できているでしょうか?
今回はそういった内容を深堀りしていきたいと思います。
今回の分野:FPってどんなお仕事?
FPとは、顧客の夢や目標の実現のため、将来の資金計画のアドバイスを生業とするエキスパートです!
人生山あり谷あり!
いろんな局面で大きなお金が必要になるタイミングがあります。
例えば、結婚や出産、マイホームの購入、こどもの教育資金、老後の生活等が挙げられます。
そういったライフイベントで困らないように、事前の資金計画を立てるお仕事がFPなのです。
問題文の紹介:要約
ここで、今回私が間違えた問題を紹介します。
2つあります。
- 弁護士資格の無いFPが、顧客に対し、法定相続分や遺留分についての一般的な説明を行うことは可能か?
- FPが顧客と投資顧問契約を締結し、投資助言や代理業を行う際は金融商品取引業の登録が必要か?
ここでFPが出来ることと出来ないことについて、整理しておきましょう。
FPが出来ること・出来ないこと
✅ FPが出来ること:
- 「法定相続分とはこのような割合です」
- 「遺留分にはこういうルールがあります」
などのように、制度全体の一般的説明をすること
🚫 FPが出来ないこと(弁護士法違反になるおそれ):
- 「あなたの相続では、この人がこれだけもらえるはずです」
- 「この遺言書は無効です」などの判断や代理行為
FPが出来ることと出来ないことを整理したおかげで、正解が見えてきましたね。
ここで一旦2つの問題の回答を確認してみましょう。
正解と解説の要点:
2つの問題文の正解の確認です。
- 弁護士資格の無いFPが、顧客に対し、法定相続分や遺留分についての一般的な説明を行うことは可能か?→正解:◯
- FPが顧客と投資顧問契約を締結し、投資助言や代理業を行う際は金融商品取引業の登録が必要か?→正解:◯
まとめの比較表は以下のようになりました。
🔁 まとめ比較表:
項目 | 一般的説明 | 個別具体的な判断・助言 |
---|---|---|
法定相続分・遺留分の説明 | ✅ OK | ❌ 弁護士資格が必要 |
投資商品の助言・売買代理 | ❌ FP資格のみではNG | ✅ 金融商品取引業登録が必要 |
このように、「FPがどこまでできるか、何をするには資格・登録が必要か」を意識することが、試験でも実務でもとても重要です。
深堀り考察!!:
さて、ここからは今回の問題を整理しつつ、FPの業務内容やFPの立ち位置、FP3級の試験対策として意識すべき点の3点を掘り下げていきます。
FP業務の3分類とは?
以下がFPの主な業務です。
- 顧客からの【相談業務】(情報収集・分析・提案)
- 金融商品の販売・媒介(但し、登録が必要)
- 提案に基づく実行支援・手続き補助(税理士や社労士との連携など)
これだけでは少し分かりづらいので、もう少し具体的な例を見てみましょう。
1.顧客からの【相談業務】(情報収集・分析・提案)
内容 | 説明 |
---|---|
✅ 家計の見直し提案 | 収支バランスの分析、生活費や貯蓄額の改善ポイントを助言 |
✅ 住宅取得の資金計画 | マイホームの購入に必要な頭金・ローン・返済計画などをシミュレーション |
✅ 教育資金や老後資金の準備提案 | 時期や目標金額に合わせた積立方法、運用計画の設計 |
2.金融商品の【販売・媒介】(※別途資格・登録が必要)
内容 | 説明 |
---|---|
✅ 生命保険・損害保険の募集 | 保険募集人の登録を持つFPが商品説明と契約手続きを行う |
✅ 投資信託の販売 | 証券外務員資格を持つFPが、証券会社等を通じて商品を販売 |
✅ 銀行・証券会社との媒介 | 資産運用の提案に基づき、金融機関との契約手続きを仲介・補助する |
※いずれも、登録のないFPが個別商品の提案・売買を行うと法令違反になるため注意が必要。
3.【実行支援・手続き補助】(各専門家との連携を含む)
内容 | 説明 |
---|---|
✅ 相続対策における士業連携 | 顧客の相続計画に沿って、税理士・司法書士を紹介し、連携をサポート |
✅ 住宅ローンの借り換え手続き補助 | 金融機関の比較・紹介、必要書類の案内など、実務を支援 |
✅ 年金請求やiDeCo申請サポート | 制度の説明や申込書類の記入支援、公的窓口の案内などを行う |
つづいて、FPの立ち位置について見てみましょう。
FPの立ち位置
- FPは「総合的な相談窓口」+「専門家との橋渡し役」
- 金融商品販売をする場合、保険募集人・証券外務員などの登録が必要
つまり、出来ることと出来ないことを明確に線引して、FP業務にあたらなければならない。ということでしょうか。
上記について、もう少し深堀りしてみましょう。
✅ FPが配慮すべき主なポイント
- 無資格業務に該当しないように注意
FPには幅広い知識が求められますが、他の士業の独占業務に踏み込むことは違法になります。
🔒 FPはあくまで「制度の一般的な説明」や「必要書類の案内」「専門家への橋渡し」までにとどめることが大切です。 - 金融商品を扱う場合の登録要件を理解する
🚫 FP資格だけで個別商品への「買うべき」「売るべき」といった助言をするのは、金融商品取引法違反になる恐れがあります。 - 顧客本位の業務運営
FPは中立・公正な立場でアドバイスを行うことが求められます。
自分の利益(販売手数料など)を優先して顧客に不利な提案をすることは、倫理違反となります。 - 守秘義務と個人情報保護の徹底
顧客の家計、資産、保険、借入れなど、非常にプライベートな情報を扱う職業です。
相談内容を第三者に漏らさないこと、適切な情報管理を行うことが基本姿勢です。
結構深堀りできたかと思いますが、基本的には倫理観や士業の業務範囲を守りましょうということのようですね。
試験対策として意識すべき視点:
基本的には上記に挙げた項目になると思いますが、要点を短くまとめるとこんな感じでしょうか。
- 職業倫理(誤解を招く表示は禁止)
- 守秘義務
- 無資格で税務相談・診断行為をするのはNG
- 提案書を作っても、最終判断は顧客
深堀りをしたおかげで、かなりFPというものを知れたのではないでしょうか。
これで試験もバッチリですね!!
まとめ・今回の学び:
FP(ファイナンシャル・プランナー)は、お金に関する幅広い知識を活かして、お客様の暮らしと将来に寄り添う「人生の伴走者」です。
ただしその業務範囲には明確なルールと限界があります。
まとめ
✅ FPができること
- 家計管理、保険、税金、年金などの制度の一般的な説明
- ライフプランの作成や資金計画の立案
- 住宅購入や老後資金、相続対策などにおける中立的なアドバイス
- 実行支援として、専門家や金融機関との橋渡し・情報提供
❌ FPができないこと(要注意)
- 個別の法律判断(→弁護士法違反の恐れ)
- 税額の計算や申告書の作成(→税理士法違反)
- 投資商品の売買・助言(→金融商品取引業の登録が必要)
- 不動産の契約説明(→宅地建物取引士の専任業務)
🎯 試験対策のポイント
- 「FPができる/できないこと」の線引きを理解することが重要
- よく出る論点:「法定相続の説明はOKか?」「投資助言は登録が必要か?」など
- 問題では「一般的説明ならOK」「個別判断・勧誘ならNG」が鉄則!
🌱 今回の学びを通して
FPはすべてを一人で解決する“万能な専門家”ではなく、総合案内係としての立ち位置にいる職業だということが改めて分かりました。
大切なのは「中立性」と「法令遵守」。その上で、お客様の将来を一緒に考え、必要な専門家につなげることでこそ、FPとしての価値が発揮されます。
試験対策だけでなく、実務に役立つ知識としても、このテーマはしっかり押さえておきたいですね。
次回予告:教育費ってどこまで借りられる?
「人生の3大資金」といえば、住宅資金・教育資金・老後資金。
その中でも、特に子どもの将来に直結する「教育資金」は、早めに計画しておきたいテーマです。
次回はその中から「教育ローン」に注目し、どのくらい借りられるのか?
公的ローンと民間ローンの違いや、融資限度額の目安について、問題を交えながら深掘りしていきます。
🧭 こんな方におすすめ!
- 教育資金の実情を数字でつかみたい
- 「教育ローンっていくらまで借りられるの?」と気になっている
- 試験でよく出る金額や制度名をサクッとおさえたい
それでは、次回もどうぞよろしくお願いします。
一緒にコツコツ、FP3級合格に向けてがんばりましょう!
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