「死因贈与(しいんぞうよ)」という言葉、初めて聞くとちょっとドキッとしませんか?
わたしも学習中にこの問題に出会ったとき、「死に因(ちな)む贈与……?」と、名前のインパクトに気を取られてしまいました。
しかも問題文には「贈与者の死亡によって効力を生じる」とあって、「死因贈与なんだから、死亡で効力が出るのは当たり前でしょ」と、迷わず◯を選んで……まんまと間違えました😅
実は、この問題のひっかけは“後半”ではなく“前半”に隠れていたんです。
前回の第76回では「定期贈与は、当事者の死亡によって効力を失う」という論点を学びましたよね。
今回はその真逆、「死亡によって効力が“発生”する」死因贈与がテーマです。
「終わる贈与」と「始まる贈与」、似ているようで仕組みはまるで違います。
今回はその謎を一緒に解き明かしましょう!
⭐️ この記事を読むと、こんなことが分かります!
- 死因贈与は、あげる人の意思だけで成立する?
→ いいえ。もらう人の承諾も必要な「契約」です! - 死因贈与と遺贈、何が違うの?
→ 死因贈与は「契約」、遺贈は遺言による「一方的な意思表示」です! - 死因贈与でもらった財産にかかる税金は?
→ 贈与税ではなく「相続税」の対象になります!
前回の第76回では「定期贈与」が当事者の死亡で効力を失うことを学びました。
今回の死因贈与は、逆に死亡で効力が“生まれる”贈与です。
対(つい)で覚えると、両方すっきり整理できますよ。
前回の記事はこちら
▶ 【定期贈与の効力】当事者の死亡で契約はどうなる?暦年贈与との違いも解説_間違いから学ぶFP3級_第76回
📘 今回の分野:相続・事業承継(死因贈与)

今回学習するのは、相続・事業承継分野の「死因贈与」です。
「贈与」と名前についていますが、税金の扱いは“相続”寄り——
この後でその理由がはっきりします。
- 分野:相続・事業承継
- テーマ:死因贈与(しいんぞうよ)
- 出題頻度:★★★☆☆(よく出る)
- キーワード:贈与契約、遺贈、死亡による効力発生、相続税
❓️ 問題文の紹介:死因贈与は“あげる意思だけ”で成立する?
- 対象:死因贈与
- 成立の要件(前半):贈与者が財産を無償で与える意思を表示することのみで成立する
- 効力の発生(後半):贈与者の死亡によって効力を生じる
- 問われている内容:この記述は正しいか?
この記述は◯か✗か?
「あげる」と言えば効力が出そうな気がしますよね。
でも、贈与者が一人で「あげる」と言うだけで成立するのか、それとも「もらう」側の返事がいるのか……ここがこんがらがってしまいませんか?
実はこの一点が、今回の正誤を分けるカギになります。

『贈与』なのに税金は『相続税』、ここも後で大事なポイントです❗
✅ 正解と解説の要点:死因贈与は“契約”だから承諾が必要

- 対象:死因贈与
- 成立の要件(前半):贈与者が財産を無償で与える意思を表示することのみで成立する
- 効力の発生(後半):贈与者の死亡によって効力を生じる
- 問われている内容:この記述は正しいか?
この記述は◯か✗か?
→正解:✘(誤った文章)
正解は✗。
誤りの文章でした。
どこが間違っているのでしょうか。
ポイント解説で確認していきましょう‼️
✅️ポイント解説
ポイントは問題文の前半でした。「贈与者が意思を表示することのみで成立する」——
ここが誤りです。
死因贈与は受贈者(もらう側)の承諾があって初めて成立する「契約」だからです。
- ❌ 贈与者「あげるよ」だけ → 成立しない
- ⭕ 贈与者「あげるよ」+受贈者「もらいます」 → 成立する
一方、後半の「贈与者の死亡によって効力を生じる」は正しい記述。
ここが正しいぶん、つい全体を◯にしてしまう「前半に罠」パターンでした。
なお死因贈与は「死亡で効力発生」の点で遺贈に似ていますが、遺贈は遺言による一方的な意思表示(単独行為)、死因贈与は双方合意の契約——ここが決定的な違いです。
「死因贈与」の漢字のインパクトに引っぱられると後半ばかり見てしまいますが、勝負は前半の「契約かどうか」。
“あげる+もらうの合意=契約”とセットで覚えると迷いません。

“あげる+もらう”がそろって契約成立、と覚えれば迷いません❗
📚 出典・参考
- e-Gov法令検索 民法第554条(死因贈与)
- e-Gov法令検索 民法第964条(包括遺贈及び特定遺贈)
🔗 関連記事の紹介
死因贈与をより深く理解するために、「死亡をきっかけに財産が移る」仲間や、対比になる「生前贈与」の記事もあわせて確認しておきましょう。
死因贈与と同じく「死亡をきっかけに相続税がかかる」のが“みなし相続財産”。
「贈与なのに相続税」の感覚をつかむのにぴったりです。

「生前贈与」は生きている間の贈与。死亡時に発動する死因贈与との“時間軸の違い”を整理できます。

通常の贈与でかかる「贈与税」の基礎控除110万円。死因贈与の「相続税」と対比すると、税金の全体像がくっきり見えてきます。


死亡で財産が動く仲間を並べて覚えると、相続税の理解が一気に進みます❗
🔍 死因贈与と遺贈の違いについて_深掘り考察!!
今回は、以下の点について解説していきたいと思います。
- 死因贈与とは? → 「死んだらあげる」という“契約”のこと
- 死因贈与と相続、何が違うの? → 相続人以外にも財産を渡せるのが特徴
🎁 死因贈与とは?「死んだらあげる契約」をやさしく解説

「死因贈与」とは、かんたんに言うと「自分が亡くなったときに財産をあげる約束」のことです。
ここで大事なのが「約束(契約)」という点。イメージはレストランの予約です。
お店が「席を用意しますよ」と言い、お客さんが「予約します」と返事をして、はじめて予約が成立しますよね。
どちらか一方だけでは予約になりません。
死因贈与もこれと同じで、「あげる」と「もらう」の両方がそろって成立します。
🏡 たとえばこんなケース
おじいちゃん(Aさん)が孫のBくんに「私が亡くなったら、この土地をあげるよ」と伝え、Bくんが「うん、ありがとう!」と承諾した——
この2つがそろうことで死因贈与契約が成立し、Aさんが亡くなったとき、土地はBくんのものになります。
📜 死因贈与と遺贈・遺言の違いをわかりやすく整理
死因贈与とまぎらわしいのが「遺贈(いぞう)」「遺言(いごん)」です。
違いは握手と置き手紙でイメージできます。
死因贈与は「握手」——お互いが手を出してはじめて成立する双方向の約束。
遺贈は「置き手紙」——書いた人の一方的な意思だけで成立します。
| 用語 | 成立のしかた | ひとことで言うと |
|---|---|---|
| 死因贈与 | あげる人+もらう人の両方の合意(契約) | あげる「約束」 |
| 遺贈 | 遺言書によって財産をあげること(相続の中身) | あげる「内容」 |
| 遺言 | あげる人の一方的な意思表示だけでOK(手段) | 言い残す「手段」 |
🧾 死因贈与に「相続税」がかかる理由
死因贈与でもらった財産には、贈与税ではなく相続税がかかります。
ポイントは「いつ財産が渡るか」。
イメージは宅配便のお届け日です。
「今すぐ送る」便(=生きている間に渡す通常の贈与)は贈与税、
「私が亡くなったら届く」便(=死因贈与)は受け取るタイミングが相続と同じなので相続税——
というように、“いつ届くか”で扱いが変わります。
死因贈与は亡くなったときに財産が渡るので、性質が相続と同じ——
だから相続税の対象になるのです。
「贈与」という名前なのに税金は相続税、これが試験で狙われる定番の引っかけです。
🆚 死因贈与と相続の違い|相続人以外にも渡せる仕組み

【画像②挿入:fp3-death-gift-vs-inheritance.jpeg】
死因贈与と相続は、どちらも「人が亡くなったときに財産を受け取る」点では似ています。
違いは自動仕分けと指名買い。相続は「法律が決めた順番で自動的に配分される」(自動仕分け)。
死因贈与は「あげたい相手を自分で指名できる」(指名買い)。
だから、相続人以外(お世話になった友人など)にも財産を渡せるのが死因贈与の特徴です。
| 比べるポイント | 相続 | 死因贈与 |
|---|---|---|
| 財産のもらい方 | 自動的に受け継ぐ | 生前に交わした契約に基づく |
| 決める人 | 法律で決まっている | 贈与者が自分で決められる |
| 受け取る人 | 法律上の相続人 | 贈与者が指定した人 (相続人以外もOK) |
| 受け取るとき | 死亡した時点 | 死亡した時点 |
| 税金 | 相続税 | 相続税(贈与税ではない) |
💡 ここまでで押さえておきたいキーワード
- 死因贈与は「契約」:
あげる人の意思+もらう人の承諾で成立。
一方的な意思表示だけの遺贈とはここが違う。 - 税金は「相続税」:
死亡をきっかけに財産が渡るため、性質は相続と同じ。 - 相続人以外にも渡せる:
法律で決まる相続と違い、あげたい相手を自分で指名できる。
⚠️ よくあるケアレスミス:死因贈与で間違いやすい3パターン
死因贈与は「贈与」「遺贈」「相続」と似た言葉が入り乱れるので、取り違えが起きやすいテーマです。
試験で引っかかりやすい3つを整理します。
ミス①:「あげる意思だけ」で成立すると思い込む
なぜ間違えるのか?
「贈与=あげること」というイメージが強いと、贈与者が「あげる」と意思表示しただけで成立する気がしてしまうからです。
今回の問題文の罠もまさにここでした。
正しい考え方
死因贈与は契約。
もらう側の承諾があって初めて成立します。
「あげる」+「もらう」の両方がそろって成立、と覚えましょう。

“ことのみ”という言葉が出たら、契約なのに片方だけ?と疑ってください❗
ミス②:死因贈与と遺贈を同じものだと思ってしまう
なぜ間違えるのか?
どちらも「死亡によって効力が発生する」ので、効力が出るタイミングが同じだと混同してしまうからです。
正しい考え方
効力発生のタイミングは同じでも、成立のしかたが違います。
死因贈与は双方合意の契約、遺贈は遺言による一方的な意思表示(単独行為)。
承諾が要るのが死因贈与、要らないのが遺贈です。

“契約か単独行為か”が、死因贈与と遺贈を分ける一番の違いです❗
ミス③:死因贈与に「贈与税」がかかると思い込む
なぜ間違えるのか?
名前に「贈与」とついているので、税金も当然「贈与税」だと思ってしまうからです。
正しい考え方
死因贈与でもらった財産にかかるのは相続税です。
死亡をきっかけに財産が渡るため、性質が相続と同じだから——と理由で覚えると間違えません。

名前は“贈与”でも税金は“相続税”。
名前にだまされないように❗
📋 ケアレスミスまとめ:死因贈与でやりがちな誤解
| よくある誤解 | 正しい考え方 |
|---|---|
| あげる人の意思だけで成立する | もらう人の承諾も必要な「契約」 |
| 死因贈与と遺贈は同じもの | 死因贈与は契約、遺贈は単独行為(遺言) |
| 名前が「贈与」だから贈与税 | かかるのは相続税(死亡で財産が渡るため) |
📚 出典・参考
- e-Gov法令検索 民法第554条(死因贈与)
- 国税庁タックスアンサー No.4105「相続税がかかる財産」
まとめ・今回の学び:死因贈与は契約、税金は相続税
今回学んだことを振り返りましょう📝
⭐️ 【得られる知識】まとめ
- 基本の仕組み:
死因贈与は「亡くなったときに財産をあげる約束」。
あげる人の意思+もらう人の承諾で成立する“契約”です。 - 用語の違い:
効力発生は遺贈と同じ「死亡時」でも、死因贈与は契約、遺贈は遺言による単独行為。
承諾が要るかどうかが分かれ目。 - 試験頻出ポイント:
問題文の「意思を表示することのみで成立」は誤り。
前半の“契約性”が狙われます。 - 実生活への応用:
相続人以外(友人・お世話になった人など)にも財産を渡せるのが死因贈与。
税金は贈与税ではなく相続税。
今回の問題は、「死因贈与」という名前のインパクトと、後半の「死亡によって効力を生じる」という正しい記述に気を取られると、つい全体を◯にしてしまう一問でした。
でも本当の勝負どころは前半の「ことのみで成立」。死因贈与は契約なので、もらう側の承諾がなければ成立しません。
そしてもう一つの落とし穴が税金です。
名前は「贈与」でも、死亡をきっかけに財産が渡るため性質は相続と同じ——
だからかかるのは相続税。
前回の第76回「死亡で効力を失う定期贈与」と、今回の「死亡で効力が発生する死因贈与」を対(つい)で覚えておくと、相続・贈与分野がぐっと整理されます。

“契約だから承諾が必要”“贈与でも相続税”——
この2点を押さえれば、死因贈与はもう怖くありません。
試験でも自信を持って答えられますよ‼️
次回予告:直系尊属からの住宅取得等資金贈与の非課税制度

次回は、マイホーム取得のときに使える「住宅取得等資金の贈与税の非課税制度」がテーマです。
親や祖父母(直系尊属)から住宅資金をもらうとき、一定の条件を満たせば贈与税が非課税になる——でも、その「受けられる人の条件」には、年齢や合計所得金額などの細かい数字の要件があります。
ここを正確に押さえられるかが勝負です。
次回学べる内容のキーワードはこちら👇
- 受贈者の年齢要件(贈与を受けた年の1月1日時点)
- 合計所得金額の上限(床面積によって変わる)
- 非課税の適用条件

数字がたくさん出てくる回ですが、
“誰が使えるの?”という条件から押さえれば大丈夫。
次回も一緒にがんばりましょう‼️


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