間違いから学ぶFP3級_第10回_障害年金の落とし穴!?「配偶者加算」がもらえないケースとは?

FP

障害基礎年金は、障害の状態に応じて国から支給される重要な社会保障制度です。


今回のテーマは、「障害基礎年金に配偶者加算があるのか?」という点。

配偶者がいることで年金額が増えるのかどうか、試験でも頻出のポイントを解説します!

今回の分野:

公的年金制度(国民年金)/障害基礎年金
年金制度の理解に不可欠な、受給要件や加算要素に関する知識を深めます。

問題文の紹介:

問題文の要約

障害基礎年金の受給権者が、生計維持関係にある65歳未満の配偶者を有する場合、

その受給権者に支給される障害基礎年金には、配偶者に係る加算額が加算される。

〇か✗か?

この問題文のキーポイントは、【「配偶者」が居るとき、年金が増えるか?】という点です。

配偶者がいるとき、年金が増える仕組みになっているのか。

増える仕組みになっているなら、どのような背景でそのような制度が作られたのか。

こいちろ
こいちろ

問題の正解を導き出すために、これらを理解していきましょう。

正解と解説の要点:

問題文の要約

障害基礎年金の受給権者が、生計維持関係にある65歳未満の配偶者を有する場合、

その受給権者に支給される障害基礎年金には、配偶者に係る加算額が加算される。

〇か✗か?→ 正解:

誤った文章でした。

こいちろ
こいちろ

つまり、配偶者の加算はないってこと?

どこが誤っているのか確認して、正しい知識を身に着けましょう。

正答のポイントを確認していきましょう。

✅ ポイント解説:

  • 障害基礎年金に加算されるのは、18歳到達年度の末日までの子(または20歳未満で障害等級1級・2級の障害のある子)です。
  • 配偶者に対する加算はありません
  • 配偶者加算があるのは「障害厚生年金(2級以上)」であり、「障害基礎年金」では該当しません。

障害「基礎」か「厚生」かで、加算対象が異なるようです。

どうしてこのような制度設計となっているのか、更に深堀りしていきましょう!

深掘り考察!!

  • なぜ配偶者加算がないのか?
    国民年金制度(=基礎年金)の趣旨が「最低限の生活保障」であるため。
     扶養家族の加算は基本的に子に限られる。
  • 一方で、厚生年金(被用者年金)は報酬比例部分を持つため、被扶養者を考慮した配偶者加算が設けられている
  • 「加算=全年金にある」と誤解しやすいので要注意!

🔍なぜ配偶者加算がないのか? ~国民年金の制度趣旨から読み解く~

国民年金制度(=基礎年金)は、「全国民共通の最低限の生活保障」を目的とした制度です。
この「最低限」という性格が、加算の対象が子に限られている理由と深く関係しています。

🧩背景にある制度設計の考え方

  • 国民年金は、すべての人が加入する「基礎」的な年金制度として設計されています。
  • その目的は、自力で生活が困難な状況にある人に対して、最低限の所得保障を行うことです。
  • そのため、「扶養している家族がいるから収入を増やすべき」という加算の仕組みは、限定的にしか取り入れられていません。

👶加算対象が「子」に限られる理由

  • 子どもは自立して収入を得ることができない年齢であり、受給権者の扶養に完全に依存している存在です。
  • そのため、【18歳到達年度末までの子(または障害のある20歳未満の子)】については、障害基礎年金に「子の加算」が認められています。

👩配偶者が加算対象とならない理由

  • 一方で、配偶者は原則として自立可能な大人であり、就労等により生活を営むことができるとされています。
  • そのため、最低限の保障を目的とする国民年金では、配偶者の生活保障まで制度の対象とはしていません。

💼対照:厚生年金制度の場合

  • 会社員などが加入する厚生年金制度は、報酬比例部分を持つ仕組みであり、「生活保障+就労保障」の両方を担っています。
  • そのため、【扶養配偶者に対して加算がある(配偶者加給年金)】など、より手厚い保障設計となっています。

■ 障害基礎年金の計算式(子どもがいる場合)

【対象】障害等級1級・2級
【基礎年金額】2024年度基準(物価等により変動)

◎ 計算式(令和6年度:2024年度)

  • 2級の金額(基本額)
    792,800円
  • 1級の金額
    2級の1.25倍 → 792,800円 × 1.25 = 991,000円
  • 子の加算額(1人あたり)
    • 第1子・第2子:各 229,300円
    • 第3子以降:各 76,400円

◎ 例(2級+子ども2人)

792,800円(基本)+ 229,300円 × 2 = 1,251,400円

✅結論

障害基礎年金には配偶者加算はなく、子どものみが加算対象
これは、国民年金制度があくまでも「すべての国民に対する最低限の保障」というミニマムな理念で成り立っているためです。

まとめ・今回の学び:

  • 障害基礎年金に配偶者加算はない!
    配偶者加算があるのは「障害厚生年金(2級以上)」
  • 加算対象は子のみ(一定の条件あり)
  • 加算の有無は年金の種類によって異なる → 基礎年金 vs 厚生年金をしっかり区別!
こいちろ
こいちろ

障害年金に関わるフレーズは「配偶者と子」です。
正しい理解で引っ掛けに惑わされないようにしましょう。

次回予告:公的年金の基本!遺族厚生年金の額の決まり方とは?

万が一のとき、残された家族の生活を支える「遺族年金」。
その中でも、会社員や公務員など厚生年金加入者に遺された遺族に支給されるのが「遺族厚生年金」です。


しかし、その支給額は一律ではなく、被保険者の報酬や加入期間などによって異なります。

次回は、「遺族厚生年金の額はどのように計算されるのか?」をテーマに、計算方法の基本と注意点をやさしく解説します。

こいちろ
こいちろ

遺された家族を守る大切な仕組みを、ぜひ一緒に学びましょう!

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