FP試験では、不動産に関する知識もよく出題されます。
特に「地価公示」と「都道府県地価調査」の違いは、ひっかけ問題として狙われやすいポイントです。
今回は「都道府県地価調査」の基準日と公表時期について整理し、試験対策に役立てていきましょう。
⭐️この記事を読んで得られる知識は、以下の4点です。
- 公示価格とは?
→国が示す土地の標準的な価格のことです。 - 基準地標準価格とは?
→都道府県が発表する土地価格の目安のことです。 - 公示価格と基準地標準価格の違いについて
→①公示価格:土地取引の基準価格
②基準地標準価格:公示価格の補完的役割 - その他の土地の公的価格には何がある?
→上記①、②以外に2つあります。
③固定資産税評価額
④相続税路線価
📘 今回の分野:不動産/不動産の基本
今回から不動産分野を学んでいきます。
取り上げる問題は、不動産の基本である土地の公的価格の内容についてです。
不動産関係の仕事をしていない限り、聞き慣れない言葉がたくさん出てきます。
一つ一つ理解して、知識の幅を広げていきましょう。

一つ一つ理解して、知識の幅を広げていきましょう。
❓️ 問題文の紹介
都道府県地価調査の基準地の標準価格は、毎年【□1】を価格判定の基準日として調査され、都道府県知事により毎年【■2】頃に公表される。
【□1:何月何日か? ■2:何月か?】
選択肢としては、□1が1月1日か7月1日、■2が3月か9月でした。
1月1日に調査されて、9月に設定されるというのは遅すぎると思い、一つの選択肢を除外しました。
あとは、「なんで7月?」という考えから1月の選択肢を選びました。

今思えば、公示価格と基準値標準価格との関係性を理解していれば、解けた問題でしたね。
✅ 正解と解説の要点
都道府県地価調査の基準地の標準価格は、毎年【□1】を価格判定の基準日として調査され、都道府県知事により毎年【■2】頃に公表される。
【□1:何月何日か? ■2:何月か?】
→正解_□1:7月1日 ■2:9月
正解は□1が7月1日、■2が9月でした。
基準値評価価格は、公示価格の補完的な役割であるということに起因しています。
ポイントを確認しましょう。
✅️ポイント解説
- 「都道府県地価調査」は、都道府県が行う土地価格の調査で、基準日は7月1日です。
- 調査結果は都道府県知事から毎年9月頃に公表されます。
- 一方で「地価公示(国土交通省が実施)」は、基準日が1月1日で、3月頃に公表されるため、混同しやすいポイントです。
🔍 深掘り考察!!
今回は、以下の点について解説していきたいと思います。
- 公示価格とは?
→国が示す土地の標準的な価格のことです。 - 基準地標準価格とは?
→都道府県が発表する土地価格の目安のことです。 - 公示価格と基準地標準価格の違いについて
→①公示価格:土地取引の基準価格
②基準地標準価格:公示価格の補完的役割 - その他の土地の公的価格には何がある?
→上記①、②以外に2つあります。
③固定資産税評価額
④相続税路線価
公示価格とは?

「公示価格(こうじかかく)」とは、国が示す土地の標準的な価格のことです。
- 正式名称は「地価公示価格」。
- 毎年1月1日時点の土地の値段を、国土交通省が選んだ「標準地」について調べます。
- そしてその結果を3月頃に公表します。
公示価格の目的
- 土地取引の目安
売買のときに「妥当な値段はどのくらいか」を考える基準になります。 - 公共事業の補償額の参考
道路を作るために土地を買い取るときなど、補償額を決める参考になります。 - 税金の算定の基準
固定資産税や相続税などの計算のときに、この公示価格が参考にされます。
公示価格の位置づけ
- 国が公表する「公的な土地価格」の代表格です。
- ただし実際の取引価格とは必ずしも一致しません。
- 取引価格は需要と供給で変動します。
- 公示価格はその指標にすぎません。
- 取引価格は需要と供給で変動します。
基準地標準価格とは?

都道府県が発表する土地価格の目安のことです。
- 正式には「都道府県地価調査による基準地標準価格」と呼ばれます。
- 各都道府県知事が、あらかじめ選んだ「基準地」という代表的な土地について、毎年7月1日時点での価格を調査します。
- その結果を9月頃に公表します。
基準値標準価格の目的
- 公示価格(国が発表)を補完する
→ 公示価格は1月1日時点ですが、それだけだとタイムラグがあるため、年の後半の価格動向を把握するために使われます。 - 土地取引の指標
→ 実際に土地を売買するときの目安になります。 - 公共事業の参考
→ 道路や建物の建設に伴う用地取得の補償額を決める参考になります。
公示価格と基準地標準価格の違いについて

公示価格と基準地標準価格の違いについて、具体例を出して比較してみましょう。

それぞれの価格のイメージがついて、理解できると思います。
公示価格(国土交通省が実施)
- 基準日:1月1日
- 公表:3月頃
- 調査主体:国土交通省(国がやる)
具体例
たとえば石川県金沢市中心部のある土地について、
- 2025年1月1日時点の値段を調べる → 3月に発表
- 「この土地は1㎡あたり50万円が妥当」という基準を出す
→年初の「基準点」となる価格です。
都道府県地価調査(基準地標準価格)
- 基準日:7月1日
- 公表:9月頃
- 調査主体:都道府県知事(地方自治体がやる)
具体例
同じ土地(金沢市中心部)について、
- 2025年7月1日時点の値段を調べる → 9月に発表
- 「この土地は1㎡あたり52万円が妥当」となるかもしれない
→ 半年後の動きを示す「補完的な価格」です。
両者の違いを整理すると…
項目 | 公示価格 | 基準地標準価格(地価調査) |
---|---|---|
調査主体 | 国土交通省 | 都道府県知事 |
基準日 | 毎年1月1日 | 毎年7月1日 |
公表時期 | 毎年3月頃 | 毎年9月頃 |
役割 | 全国の土地取引の基準 | 公示価格を補完、最新動向を把握 |
例(金沢市中心部の土地) | 1月1日時点:50万円/㎡ | 7月1日時点:52万円/㎡ |
試験対策のポイント
- 「1月1日・3月」=公示価格(国)
- 「7月1日・9月」=基準地標準価格(都道府県)

実際の価格差を意識すると覚えやすいです。
その他の土地の公的価格には何がある?
今まで取り上げた公示価格と基準値標準価格以外に、どのような公的価格があるのか、触りだけでも確認しておきましょう。
比較のためにも、公示価格と基準値標準価格について同様にまとめました。
代表的な「土地の公的価格」一覧
① 公示価格(地価公示)
- 調査主体:国土交通省
- 基準日:毎年 1月1日
- 公表:3月頃
- 目的:土地取引の基準、公的な土地価格の代表格
② 基準地標準価格(都道府県地価調査)
- 調査主体:都道府県知事
- 基準日:毎年 7月1日
- 公表:9月頃
- 目的:地価公示を補完、最新の地価動向を把握
③ 固定資産税評価額
- 調査主体:市町村長
- 基準日:3年ごとに見直し(基準年:1月1日)
- 公表:固定資産課税台帳にて縦覧可能
- 目的:固定資産税・都市計画税の課税基準
④ 相続税路線価(路線価)
- 調査主体:国税庁
- 基準日:1月1日
- 公表:7月頃
- 目的:相続税や贈与税の課税評価に利用
- ポイント:公示価格の 80%程度 が目安
公的価格一覧_まとめ(覚え方のヒント)
名称 | 調査主体 | 基準日 | 公表時期 | 主な用途 | 価格水準 |
---|---|---|---|---|---|
公示価格 | 国土交通省 | 1月1日 | 3月 | 土地取引の基準、公的指標 | 100% |
基準地標準価格 | 都道府県知事 | 7月1日 | 9月 | 公示価格の補完、最新動向 | 100% |
相続税路線価 | 国税庁 | 1月1日 | 7月 | 相続税・贈与税の課税評価 | 公示価格の約80% |
固定資産税評価額 | 市町村 | 3年ごと (1月1日) | 4月 | 固定資産税・都市計画税の課税評価 | 公示価格の約70% |
- 公示価格(国・1月1日・3月・土地取引の基準価格)
- 基準地標準価格(都道府県・7月1日・9月・公示価格の補完的役割)
- 相続税路線価(国税庁・1月1日・7月・相続税、贈与税用)
- 固定資産税評価額(市町村・1月1日・不動産取得税、固定資産税用)

このように「誰が」「いつ」「何のために」発表するかを整理すると混乱しません。
まとめ・今回の学び
- 公示価格とは?
→国が示す土地の標準的な価格のことです。
ただし、実際の取引価格とは必ずしも一致しません。
1.取引価格は需要と供給で変動します。
2.公示価格はその指標にすぎません。 - 基準地標準価格とは?
→都道府県が発表する土地価格の目安のことです。
1.実際に土地を売買するときの目安になります。
2.道路や建物の建設に伴う用地取得の補償額を決める参考になります。 - 公示価格と基準地標準価格の違いについて
→①公示価格:土地取引の基準価格
②基準地標準価格:公示価格の補完的役割
→試験対策のポイント
「1月1日・3月」=公示価格(国)
「7月1日・9月」=基準地標準価格(都道府県) - その他の土地の公的価格には何がある?
→上記①、②以外に2つあります。
③固定資産税評価額 → 固定資産税・都市計画税の課税評価
④相続税路線価 → 相続税・贈与税の課税評価
不動産の基本である、「土地の価格」についてまとめました。
イメージがついて、理解出来たかと思います。

これでFP試験もバッチリですね😁
次回予告:相続税路線価について
次回のテーマは 「相続税路線価について」 です。
相続税や贈与税を計算するうえで欠かせない「路線価」は、公示価格や基準地標準価格と混同しやすいポイントです。
「路線価はなぜ公示価格より低いのか?」「相続税を計算するときにどう使うのか?」といった疑問を、具体例を交えてわかりやすく解説します。

FP試験対策としても実務の理解としても重要なテーマですので、ぜひご期待ください‼️
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