公的介護保険制度では、要介護認定を受けた場合に利用できるサービスが数多く用意されています。
その中でも「住宅改修費」は、自宅での生活を続けるために重要な制度の一つです。
しかし、「住宅改修にかかった費用は公的介護保険で全額支給される」と思い込んでしまう方は少なくありません。
FP試験の問題文でも、この点をあいまいに理解していると、思わず誤った選択肢を選んでしまいがちです。
この記事では、「公的介護保険」「要介護認定」「住宅改修費用」といったキーワードを軸に、住宅改修費がどこまで支給対象になるのか、なぜ“全額支給”と考えるのが誤りなのかを、制度の仕組みから丁寧に整理していきます。
試験対策として正確な知識を身につけたい方はもちろん、将来の介護や自宅改修に備えて制度を正しく理解しておきたい方にも、疑問がスッと解消できる内容をご紹介します。
⭐️この記事を読んで得られる知識は、以下の3点です。
- 公的介護保険制度ってどういうもの?
→高齢や病気で、日常生活が一人では難しくなったときに、社会全体で支える仕組みです。 - 住宅改修費はなぜ全額支給ではないのか?
→「必要な介護を助ける制度」であって「家を全部きれいにする制度」ではないからです。 - 問題に出てくる、よくあるケアレスミスを紹介‼️
→「要介護認定を受けている=全部OK」と思い込む。
→「住宅改修=リフォーム全部」と思ってしまう。
などがあります。
公的介護保険の住宅改修費のように、FP試験では
「制度そのものは知っているのに、数字や条件の違いで間違えてしまう」
という問題が数多く出題されます。
特に「全額」「必ず」といった言葉や、期間・割合・上限といったルールは、理解があいまいだと一気に失点につながりがちです。
実はこうした“ひっかけポイント”は、社会保険分野でも頻出です。
前回の記事では、【傷病手当金】をテーマに、「12か月なのか」「2/3なのか」と迷いやすい計算ルールを、図解レベルで一つずつ整理しました。

今回の住宅改修費と同じく、言葉のイメージだけで判断すると間違えやすい代表例です。
前回の記事はこちら
▶【傷病手当金】12か月と2/3を正しく選べる?計算ルールを図解レベルで整理!_間違いから学ぶFP3級_第4回
制度を“なんとなく覚える”状態から、“根拠をもって判断できる”状態へ進みたい方は、
ぜひあわせてご覧ください。
今回の分野:公的介護保険制度における住宅改修費

公的介護保険制度:サービス内容と費用負担
FP3級の「リスク管理」や「ライフプランニング」分野で出題される、介護保険の基本制度と費用の自己負担割合について学びます。
特に介護をするうえで必要となる住宅改修費用。
この費用が全額支給されるかどうかを、問題文を一緒に解きながら解説していきたいと思います。

特に「住宅改修の支援内容」は出題頻度が高いため、仕組みと条件をしっかり押さえておきましょう。
問題文の紹介:住宅改修費用の限度
公的介護保険において、要介護認定を受けた被保険者が居住で生活するための住宅改修費用は全額支給対象である。
〇か✗か?
今回注目すべきポイントはどこでしょう?
◯ ✗ 問題ですので、文末の「全額か、否か。」という点ですよね。
日本の公的保険制度は手厚いと聞きます。
ということは、全額支給されるのでしょうか?
正解を確認しましょう‼️

正解はどちらか、わかったでしょうか?
公的介護保険の給付は「すべて出る」と思い込むと、今回のような問題で失点してしまいます。
実はこの全額ではないという構造は、社会保険分野全体に共通するポイントです。
たとえば前回の記事では、傷病手当金の「12か月」「2/3」という数字で迷いやすいルールを整理しました。
給付の割合や期間を正しく理解する練習として、ぜひあわせてご覧ください。
正解と解説の要点:全額負担ではないよ!

公的介護保険において、要介護認定を受けた被保険者が居住で生活するための住宅改修費用は全額支給対象である。
〇か✗か? → 正解:✗
正解は✘。
誤りの文章でした。
全額では無いということですが、被保険者が負担する費用はどのくらいになるのでしょうか?

まさか全額負担ってことはないですよね?💦
今回のポイント解説を以下にまとめましたので、ご確認ください。
✅ ポイント解説:押さえるべき項目
- 公的介護保険制度では、要介護・要支援認定を受けた人が居住する住宅を改修する費用の一部を支給する制度があります。
- ただし支給は【原則9割(自己負担1割)】まで(所得により2割・3割負担もあり)。
- また、支給されるのは上限20万円までの住宅改修費のうち、自己負担を除いた部分(最大18万円など)です。
- つまり、全額支給されるわけではありません。
問題文のポイントを押さえることはできました。
以降では、公的介護保険制度とはどういうものか、なぜ住宅改修費が全額支給ではないのかについて、もう少し掘り下げてみたいと思います。

イメージしやすいよう、具体例をいれて解説していきますね‼️
公的介護保険制度について_深掘り考察!!
今回は、以下の点について解説していきたいと思います。
- 公的介護保険制度ってどういうもの?
→高齢や病気で、日常生活が一人では難しくなったときに、社会全体で支える仕組みです。 - 住宅改修費はなぜ全額支給ではないのか?
→「必要な介護を助ける制度」であって「家を全部きれいにする制度」ではないからです。 - 問題に出てくる、よくあるケアレスミスを紹介‼️
→「要介護認定を受けている=全部OK」と思い込む。
→「住宅改修=リフォーム全部」と思ってしまう。
などがあります。
公的介護保険制度ってどういうもの?

公的介護保険制度とは、
👉 高齢や病気で、日常生活が一人では難しくなったときに、社会全体で支える仕組みです。
ポイントを一言でいうと、
「介護が必要になったとき、介護サービスの費用をみんなで助け合う保険」です。
どうしてこの制度が必要なのか?
もし介護が必要になったら、こんなことが起こります。
- 一人でお風呂に入れない
- トイレまで行くのが大変
- 家の中で転びやすくなる
これを家族だけで全部支えるのは、とても大変ですし、お金もかかります。
そこで国が作ったのが、
👉 公的介護保険制度です。
どんな人が対象になるの?
主に次の人が対象です。
- 65歳以上の人
- 40〜64歳でも、特定の病気がある人
そして、「介護が必要かどうか」を市区町村が判定します。
これを 要介護認定 といいます。
要介護認定ってなに?

要介護認定とは、
「この人には、どのくらい介護が必要か」
を決めるテストのようなものです。
結果は、
- 要支援1・2
- 要介護1〜5
という区分で出ます。
数字が大きいほど、介護の必要性が高い、という意味です。
どんなサービスが受けられるの?

要介護認定を受けると、例えば次のようなサービスが使えます。
- ヘルパーさんが家に来てくれる
- デイサービスで入浴やリハビリができる
- 手すりをつけるなどの住宅改修
- 介護用ベッドのレンタル
ここで大事なのは、
👉 サービス費用の全部を自分で払うわけではない
という点です。
お金はどれくらいかかるの?
原則として、
- 利用者が払うのは1〜3割
- 残りは公的介護保険から支払われます
たとえば、
- 10万円分の介護サービスを使った
- 自己負担が1割の場合
👉 自分で払うのは 1万円
👉 残りの 9万円 は保険から出ます
という仕組みです。
住宅改修の具体例で考えてみる
たとえば、こんなケースです。
- お風呂で転びやすくなった
- 段差があって歩きにくい
そこで、
- 手すりをつける
- 段差をなくす
といった住宅改修を行います。
この費用も、
👉 条件を満たせば公的介護保険の対象になります。

ただし、
「全額が必ず支給されるわけではない」
という点が、FP試験でよく問われるポイントです。
学生向けに一言でまとめると
公的介護保険制度とは、
年をとったり病気になったりして
一人で生活するのが大変になったときに、
介護サービスの費用をみんなで助け合う制度です。
FP試験での注意ポイント

- 「全額支給」「必ず支給」という言葉は要注意
- 要介護認定が前提になる
- 原則は自己負担あり
このあたりを押さえておくと、○×問題で迷いにくくなります。
住宅改修費はなぜ“全額支給”ではないのか?

結論から言うと
住宅改修費が全額支給されない理由は、
公的介護保険は
「必要な介護を助ける制度」であって
「家を全部きれいにする制度」ではないからです。

この考え方が、すべての出発点になります。
そもそも住宅改修費って何のため?
住宅改修費は、
- できるだけ 自宅で安全に生活できるようにする
- 転倒やケガを 予防する
ためのものです。
つまり目的は、
👉 生活の安全を守るための最低限の工事
です。
なぜ「全額支給」ではダメなのか?
もし、住宅改修費が全額支給されたら、こんなことが起こります。
- 高級なリフォームも保険でOK?
- 見た目を良くする工事も対象?
- 本当に必要でない工事まで増える?
これでは、
👉 保険料を払っている みんなの負担が増えてしまいます。

だから国は、
「介護に必要な部分だけ」
「決められた範囲まで」
「自己負担も少しはしてもらう」
というルールを作っています。
具体例①:手すりをつけた場合
ケース
- お風呂場に手すりを設置
- 工事費用:20万円
公的介護保険のルール
- 住宅改修費の支給限度額:20万円まで
- 原則:1割自己負担
結果
- 自分で払う金額:2万円
- 保険から出る金額:18万円
👉 全額は出ていませんよね。
具体例②:限度額を超えた場合
ケース
- 住宅改修費:30万円
ルール
- 支給対象は 20万円まで
- 超えた10万円は 全額自己負担
結果
- 保険対象部分:20万円
- 自己負担:
- 20万円の1割=2万円
- 超えた10万円=10万円
👉 合計12万円は自分で払うことになります。
「介護に関係ない工事」はどうなる?
たとえば、
- 壁紙をおしゃれに変える
- キッチンを最新型にする
こういった工事は、
👉 介護とは直接関係がないため、
👉 支給対象外です。
ここも試験でよく狙われます。
学生向けにたとえると
公的介護保険は、

学校の補助金で
「教科書代は出るけど、ゲーム代は出ない」
のと同じです。
必要なものだけ助ける
これがポイントです。
FP試験で狙われやすい言い回し
次の言葉が出たら要注意です。
- 「全額支給される」
- 「すべて保険でまかなわれる」
- 「自己負担はない」
👉 これらは ×の可能性が高いです。
全額支給でない_まとめ

住宅改修費が全額支給されない理由は、
- 公的介護保険は「助け合いの制度」
- 介護に必要な範囲だけが対象
- 上限額と自己負担が決められている
という理由が挙げられます。
よくあるケアレスミスを紹介‼️

ミス①:オールOKではない
「要介護認定を受けている=全部OK」と思い込む
ミスの内容
要介護認定を受けているなら、住宅改修費は全部保険で出るはず、という思い込み。
なぜ間違える?
「要介護認定」という言葉が強く、
👉 認定=フリーパスのように感じてしまうからです。
正しい考え方
要介護認定は
👉 スタートラインに立てるだけ
であって、
👉 支給額や範囲は別ルールがあります。
ミス②:よく読みましょう!
「全額支給」という言葉を深く考えずに◯を選ぶ
ミスの内容
住宅改修は介護のためだから、全額支給される、という勘違い。
なぜ間違える?
FP試験では、
- 全額
- 必ず
- すべて
といった言葉が出ると、
無意識に読み飛ばしてしまうことが多いです。
正しい考え方
公的介護保険は
👉 原則、自己負担あり
👉 上限あり
「全額支給」と書かれていたら、まず疑うクセをつけることが大切です。
ミス③:改修範囲の勘違い

「住宅改修=リフォーム全部」と思ってしまう
ミスの内容
家を住みやすくする工事なら、どれも対象になる、という思い違い。
なぜ間違える?
「住宅改修」という言葉が広く、
👉 お風呂・キッチン・内装すべてOK
とイメージしてしまうからです。
正しい考え方
支給対象は、
- 手すりの設置
- 段差の解消
など、
👉 介護に直接必要な工事だけです。
ミス④:支給限度額
「支給限度額(20万円)を忘れている」
ミスの内容
工事費がいくらでも、割合分は出る
なぜ間違える?
数字問題ではないため、
👉 金額の上限を意識しなくなるからです。
正しい考え方
住宅改修費には、
- 支給限度額:20万円
- 超えた分は全額自己負担
という、はっきりしたルールがあります。
ミス⑤
「居住で生活するため」という言葉に安心してしまう
ミスの内容
自宅で生活するためなら、全額支給されるはず、という勘違い。
なぜ間違える?
問題文の条件がもっともらしく、
👉 正しそうに見える文章構成だからです。
正しい考え方
FP試験では、
- 条件が正しく書かれていても
- 結論が誤っている
というパターンがよく出ます。
よくあるケアレスミス_まとめ(試験での見抜き方)

この問題文を見たら、次をチェックしてください。
- 「全額支給」という強い言葉はないか
- 自己負担や上限の話が抜けていないか
- 介護に直接関係ない工事まで含めていないか
これができれば、
👉 この問題は ✗ と自信を持って判断できます。
まとめ・今回の学び:公的介護保険制度(住宅改修)
- 公的介護保険制度ってどういうもの?
→高齢や病気で、日常生活が一人では難しくなったときに、社会全体で支える仕組みです。
→要介護認定が大前提です。
原則自己負担ありなので、注意しましょう‼️ - 住宅改修費はなぜ全額支給ではないのか?
→「必要な介護を助ける制度」であって「家を全部きれいにする制度」ではないからです。
→介護に必要な範囲だけが対象。
上限額と自己負担が決められています。 - 問題に出てくる、よくあるケアレスミスを紹介‼️
→「要介護認定を受けている=全部OK」と思い込む。
→「住宅改修=リフォーム全部」と思ってしまう。
などがあります。
公的介護保険の住宅改修費用は、条件付きで一部支給される制度であることを学びました。
「全額支給される」という誤解は多く、FP3級の試験でも狙われやすいポイントです。
特に自己負担割合の比較で、理解が深まったのではないでしょうか。
大切なのは、対象者・対象工事・支給上限・申請手続きの4点をしっかり押さえること。

制度のしくみを理解することで、試験対策はもちろん、身近な家族やクライアントの将来設計にも活かせる知識になります。
次回予告:「雇用保険の基本手当の受給要件」

次回のテーマは、働く人のセーフティネットとして知られる「雇用保険」の基本手当について取り上げます。
転職や離職の際に支給される「基本手当」には、どのような受給条件があるのでしょうか?
被保険者期間や離職理由による違い、給付制限の有無など、知っておきたいポイントを丁寧に整理し、試験対策にも役立つ形で深掘りします。
次回記事はこちら
▶【雇用保険】“2年/12か月”を覚えるだけでは不十分?間違える人の共通パターンとは!_間違いから学ぶFP3級_第6回

「いざというとき」のために、自分の権利をしっかり理解しておきましょう!
お楽しみに!


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