間違いから学ぶFP3級_第6回_いざというときの生活支援「雇用保険 基本手当」の基礎知識〜更に深堀り〜

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失業したとき、次の仕事が見つかるまでの間に生活を支えてくれるのが【雇用保険の基本手当】です。
しかし、この給付を受けるためには一定の条件があり、誰でもすぐに受け取れるわけではありません。

今回は、FP3級試験でもよく問われる「受給要件」について詳しく解説し、数字の意味や背景を深掘りして理解を深めていきます。
いざというときに備え、正しい知識を身につけておきましょう!

今回の分野:

公的保険制度(雇用保険)|リスク管理分野

FP3級の試験では、公的保険制度の基本的な仕組みと受給要件が問われます。
中でも雇用保険は「いざというとき」に身近な制度のひとつ。基本手当の受給要件・受給日数・給付制限など、知識として押さえておくべきポイントが多い分野です。

問題文の紹介:

問題文の要約

雇用保険の基本手当を受給する場合、原則として、離職の日以前【□1】に被保険者期間が通算して【■2】以上あることを満たす必要がある。

□1:何年間か?
■2:何ヶ月以上か?

  1. □1:1年間、■2:6ヶ月
  2. □1:2年間、■2:6ヶ月
  3. □1:2年間、■2:12ヶ月

この選択肢の数値、実はどれも参考書に書いてあって、「このパターンはそれ。」「そのパターンはアレ。」と決まっているようです。

今回は「原則として」の部分に注目しましょう。

また、「原則をはずれた場合」はどうなるのか、こちらもしっかりと確認していきましょう。

正解と解説の要点:

まずは正解の確認です。

問題文の要約

雇用保険の基本手当を受給する場合、原則として、離職の日以前【□1】に被保険者期間が通算して【■2】以上あることを満たす必要がある。

□1:何年間か?
■2:何ヶ月以上か?

  1. □1:1年間、■2:6ヶ月
  2. □1:2年間、■2:6ヶ月
  3. □1:2年間、■2:12ヶ月   正解:3

原則としては、「離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12ヶ月以上あることを満たす必要がある。」となりました。
では、この「2年間」「12ヶ月」という期間に込められた意味をもう少し深堀りしていきましょう。

その前に解説のポイントをまとめましたので、ご確認ください。

✅ 解説ポイント

  • 原則、離職の日以前2年間に被保険者期間が12ヶ月以上あることが受給要件となります。
  • 被保険者期間とは、雇用保険料が徴収されていた月(賃金支払基礎日数が11日以上ある月)を指します。
  • 倒産・解雇等の特定受給資格者や特定理由離職者の場合は、離職日以前1年間に6ヶ月以上の被保険者期間でも受給可(例外的扱い)。

「1年間」と「6ヶ月」という期間も全くの無関係というわけではなかったですね。
この辺を覚えるのもごちゃごちゃしそうです。
3つめの解説ポイントを見ると自己都合ではなさそうな要件なので、とりあえずはこのように覚えておこうと思います。

【自己都合の場合】x1/2=【自己都合以外の場合】

【2年間、12ヶ月】x1/2=【1年間、6ヶ月】

深掘り考察!!:

さて、もう少し深堀りしてみていきましょう。

◆ どうしてこの要件があるのか?

  • 雇用保険制度は、安定的な雇用に一定期間就いていた労働者の生活を支援することを目的としています。
    したがって、制度の趣旨から「短期就労での受給乱用」を防ぐ意味で一定の【就労歴(被保険者期間)】を求めています。

🔎 どうして「2年間」と「12ヶ月」なのか?(制度趣旨の解釈)

📅 「2年間」の意味

  • 通算12ヶ月の被保険者期間を満たすための【観察期間(計算期間)】として「2年間」が設定されている。
  • これは就労状況に変動があるケース(たとえば非正規雇用、派遣社員、産休・育休など)でも柔軟に対応する意図がある。

⏳ 「12ヶ月以上」の意味

  • 雇用保険制度は短期的な労働による濫用防止が目的。
  • 原則として1年以上の安定的な雇用関係があった場合に支給対象とする考え方。
  • 12ヶ月という区切りは「一定の社会的貢献(保険料納付)」と「雇用の継続性」を満たす合理的な基準として定められている。

📘 まとめ

要件根拠
2年間雇用保険法施行規則 第9条(観察期間)
12ヶ月以上の被保険者期間同上(賃金支払基礎日数11日以上の月×12ヶ月)

◆ 例外的な取り扱い

  • 倒産や解雇など本人責任以外の離職は社会的救済の観点から要件が緩和されています(1年以内に6ヶ月以上の被保険者期間)。
  • 【正当な理由のある自己都合退職】に該当するケースもあり、正しい自己申告と確認が重要です。

◆「正当な理由のある自己都合退職」:具体例

「正当な理由のある自己都合退職」について、具体例を挙げて説明します。
これは、自己都合退職の中でもやむを得ない事情が認められ、通常の給付制限(2〜3ヶ月の待期期間)が免除されるケースです。FP3級でも問われやすい部分です。

健康上の理由による退職

  • 本人が疾病・負傷により就労が困難となった場合。
  • 医師の診断書などで労働継続が難しいことが証明できれば、正当な理由と認められる。
    例)うつ病、腰痛、過労による体調悪化など。

家族の介護や看護のため

  • 家族(配偶者、父母、子、配偶者の父母など)に介護や看護が必要になり、就労継続が困難になった場合。
  • 介護保険の要介護認定などが目安になることが多い。
    例)要介護2の母親を介護するため離職

配偶者の転勤による退職

  • 配偶者の転勤や移転により、通勤が困難・不可能となった場合。
  • 片道2時間以上の通勤になる等、現実的な通勤不可が条件。
    例)夫の海外赴任に同行するため退職。

◆ 実務での留意点

  • 受給要件に該当するかどうかは、離職票や被保険者期間の確認が不可欠。
  • 短期間の非正規雇用や転職が続いた場合、空白期間により要件を満たさないこともあります。

まとめ・今回の学び:

今回は「雇用保険の基本手当の受給要件」について学びました。
数字そのもの(2年間/12ヶ月)を暗記するだけでなく、なぜこうした要件があるのかという背景を理解しておくと、試験本番でも迷いません。

また、実務的にも離職者のライフプラン設計に関わるFPは、こうした制度知識が重要なアドバンテージになります。
「数字と意味をセットで覚える」ことを、ぜひ意識して学びを深めていきましょう。

次回予告:「雇用保険の教育訓練給付金について」

次回のテーマは、スキルアップや資格取得をサポートする「教育訓練給付金」を取り上げます。
働きながら学び直したい方、転職やキャリアチェンジを考えている方にとって、知っておくと非常に役立つ制度です。

FP3級の試験でも【「対象者の条件」や「給付内容」】が問われるポイント。
どんな講座が対象になるの? どれくらいの金額が支給される? 知っておきたい制度のしくみと活用法を、わかりやすく深掘り解説します。

お楽しみに!

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