間違いから学ぶFP3級_第9回_学生は年金を払わなくていい?納付特例制度を深堀り解説

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学生時代、経済的に余裕がない中でも安心して将来に備えるための制度が「学生納付特例制度」です。

この制度の適用を受けた場合の注意点や老後の年金への影響をしっかり理解しておくことが大切です。

今回はこの制度が国民年金にどう影響するのかを確認していきましょう!

今回の分野:

今回の分野はライフプランニングと資金計画の一部にあたる学生納付特例制度についてです。


公的年金制度(国民年金)/学生納付特例制度の適用と影響の内容を把握して、将来の年金についての理解を深めていきましょう。

問題文の紹介:

問題文の要約

国民年金の被保険者が学生納付特例制度の適用を受けた期間は、保険料を追納しない場合、

  • 老齢基礎年金の受給資格期間【□1】
  • 老齢基礎年金の年金額【■2】

□1:算入されるか?
■2:反映されるか?

保険料を追納しない場合とあるので、一見どちらも算入・反映されないように思いますが、どうでしょう。

こいちろ
こいちろ

こういうときって引っ掛けがありそうですよね。
でも、問題に正解するかどうかではなく、しっかりと中身を理解して活用することが、自分の人生に対して有意義になると思います。

正解と解説の要点:

問題文の要約

国民年金の被保険者が学生納付特例制度の適用を受けた期間は、保険料を追納しない場合、

  • 老齢基礎年金の受給資格期間【□1】
  • 老齢基礎年金の年金額【■2】

□1:算入されるか?
■2:反映されるか? → 正解:□1:算入される。■2:反映されない。

私は□1で「算入されない」を選び、間違えてしまいました。

こいちろ
こいちろ

どうやら「受給資格期間」には算入されるみたいですね。

ポイントを見て、中身をしっかり理解しましょう。

✅ ポイント解説:

  • 学生納付特例制度の適用を受けた期間は「受給資格期間」に算入されます。
    つまり、年金を受け取るための資格(10年の加入期間など)にはカウントされます。
  • 保険料を追納しない場合は、その期間の年金額には反映されません
    将来受け取る老齢基礎年金の額が減額される可能性があります。

深掘り考察!!:

なぜこのような制度設計になっているのでしょうか?

学生は収入が少ない場合が多く、経済的負担を軽減するために保険料納付を猶予する仕組みが用意されています。

しかし、老後の年金は原則「保険料を納めた期間」に応じて計算されるため、追納しないとその分の年金が減ってしまいます。

追納のメリットと注意点

  • 年金額を満額に近づけることができる。
  • 追納する場合は3年以内(状況により最長10年以内)に行う必要がある。

追納を考えるタイミング

  • 就職して安定収入が得られるようになった時
  • 将来の年金額を確認して不足を補いたい場合

「保険料免除制度」と「保険料納付猶予制度」 の違い

保険料には「免除」と「猶予」の2つの制度があるようです。

こいちろ
こいちろ

これらの違いを比較して整理しておきましょう。

🌸 国民年金 保険料免除制度 vs 納付猶予制度 比較表

項目保険料免除制度保険料納付猶予制度
対象者経済的に困難な状況にある人(所得基準あり)50歳未満の人(所得基準あり)
年齢制限制限なし50歳未満のみ
扱い保険料の一部または全額を免除保険料の納付を猶予(後払い可)
将来の年金額への影響免除期間も年金額に一部反映(免除の割合に応じて)猶予期間は追納しない限り反映されない
追納の可否追納可能(免除から10年以内)追納可能(猶予から10年以内)
受給資格期間への算入算入される算入される

「免除制度」と「猶予制度」の違いを比較し、大体の理解は出来たと思います。

では、今回のポイントとなる学生納付特例制度はどちらに分類されるのかも確認し、その他の制度の種類も見ていきましょう。

🌸 保険料免除制度 の種類と特徴

免除区分特徴・内容将来の年金額への反映
全額免除経済的困窮などで全額免除。所得基準あり。1/2(約50%)が年金額に反映される
4分の3免除保険料の4分の3が免除。所得基準あり。5/8(約62.5%)が年金額に反映される
半額免除保険料の半額が免除。所得基準あり。3/4(約75%)が年金額に反映される
4分の1免除保険料の4分の1が免除。所得基準あり。7/8(約87.5%)が年金額に反映される

📝 特徴

  • 所得基準(前年所得が一定以下)。
  • 免除の申請が必要。承認後の期間が対象。
  • 追納可能(免除から10年以内)。

🧾 国民年金保険料の免除区分ごとの所得基準(令和6年度)

所得基準は、以下の算式で求められる 「前年所得」 に基づいて判定されます:

前年所得 ≦ 基準額(以下の計算式)

● 基準額の算式:

免除区分所得基準(前年所得がこの額以下)
全額免除35万円 ×(扶養親族等の数 + 1) + 22万円
4分の3免除35万円 ×(扶養親族等の数 + 1) + 62万円
半額免除35万円 ×(扶養親族等の数 + 1) + 94万円
4分の1免除35万円 ×(扶養親族等の数 + 1) + 126万円

✅ 具体例:単身(扶養親族なし)の場合

免除区分所得基準(前年所得)
全額免除57万円以下(= 35万円×1 + 22万円)
4分の3免除97万円以下(= 35万円×1 + 62万円)
半額免除129万円以下
4分の1免除161万円以下

※「前年所得」は、総所得金額等を基に判断されます(給与収入のみであれば、概ね年収から給与所得控除後の金額が該当)。

📌 補足

  • 上記基準に該当すれば、それぞれの免除区分が適用されます(申請が必要)。
  • 免除区分によって、将来受け取る老齢基礎年金の額に違いが出るため、できるだけ追納を検討することが重要です。

🌸 保険料納付猶予制度 の種類と特徴

猶予制度対象者・特徴将来の年金額への反映
納付猶予制度50歳未満の人で、所得が一定以下。学生以外の若年層向け。追納しないと反映されない(0%)
学生納付特例制度学生(大学・短大・専門学校など)のうち所得が一定以下。追納しないと反映されない(0%)

📝 特徴

  • 「将来収入が増えてから支払う」ことを想定した制度。
  • 猶予・特例ともに 追納すれば年金額に全額反映
  • 追納しないと、その期間分の年金が減る。

まとめ・今回の学び:

  • 学生納付特例制度は 受給資格期間には算入されるが、年金額には反映されない
    (追納しない場合)
  • 追納することで将来の年金額を増やすことができる。
  • 制度の仕組みと影響を正しく理解し、将来のために適切な選択をすることが重要。
  • 免除制度は払わなくても一部は反映。申請時にどれだけ免除されるかが決まる。
  • 猶予制度は「今は払わない」だけで、追納しないと年金が減額される。
  • 学生納付特例制度は猶予制度の一種。対象が「学生」限定。

次回予告:障害基礎年金の受給要件とその金額の算定根拠について

万が一、病気やけがで生活や仕事に支障が出た場合に支えとなる「障害基礎年金」。
次回は、この障害基礎年金を受け取るための受給要件と、実際に支給される金額の算定根拠について詳しく解説します。

「どのような状態で支給対象になるのか?」
「金額はどのように決まるのか?」
制度の仕組みを理解することで、いざというときの備えにもつながります。

✅ 障害等級の基準とは?
✅ 初診日要件や保険料納付要件の意味は?
✅ 年金額に子の加算があるって本当?

こいちろ
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FP試験対策にも役立つ知識をわかりやすくお届けします!

お楽しみに!✨

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