贈与税の計算では、「誰から」「いくら」贈与を受けたかによって、税額が変わってきます。
特に注意したいのが、父と母など複数の人から贈与を受けたときの基礎控除の考え方です。
「2人からもらったら、控除も2倍になるのでは?」と考える人も多いところ。
今回は、FP試験でもよく出題される 暦年課税の基礎控除 の仕組みを、具体例をまじえながらわかりやすく解説します!
⭐️この記事を読んで得られる知識は、以下の3点です。
- 贈与税の基礎控除って何?
→1年間(1月〜12月)で 110万円まで の贈与には税金がかからないってことです。 - 110万円の根拠と背景は?
→一般の家庭が普通に助け合うくらいの金額が、『110万円』と国は考えています。 - 贈与税の計算方法
→①その年に貰った金額を合計する。
②その合計から110万円を差し引く。
③合計-110万円で残った金額に税率をかけて税額を算出する。
この3ステップです。
📘 今回の分野:相続・事業承継

今回取り上げるテーマは、相続・事業承継分野の「贈与税の基礎控除」についてです。
他人から金銭をもらうと発生する贈与税。
親からもらう金額についてもかかるって知っていましたか?
でも、普段の生活で贈与税のことなんて考えたことがある人は、少数なのではないでしょうか?
なぜかかると言われている贈与税がかかっていないのか。
この仕組みについて、問題文を通して解説していきます。
- 分野:贈与税
- テーマ:暦年課税と基礎控除額
- 出題頻度:★★★(よく出る)
- 関連キーワード:110万円、基礎控除、複数の贈与者、合算課税
❓️ 問題文の紹介
子が同一年中に父と母のそれぞれから贈与を受けた場合、その年分の暦年課税による贈与税額の計算上、課税価格から控除する基礎控除額は、最高で220万円である。
◯か✗か?
今、立ち返って考えてみると、この問題を間違えるのはマズいよなぁと思います。
「直系尊属からなら重複しても問題ないんではないか?」
と考えたのですが、祖父母や両親が存命かどうかで、大きく基礎控除額が変わってきます。
両親(2人)、祖父母(2人×2世帯)=6人
110万円×6人=660万円が基礎控除となると、流石に不公平感がありますよね。

ということは、解答は誤った文章(✘)ということになりそうです。
正解を確認しましょう‼️
✅ 正解と解説の要点

子が同一年中に父と母のそれぞれから贈与を受けた場合、その年分の暦年課税による贈与税額の計算上、課税価格から控除する基礎控除額は、最高で220万円である。
◯か✗か?
正解:✗(バツ)
正解は✗。
誤った問題文でした。
間違えた時に考えていたことを整理した通りでした。
ポイントを確認しておきましょう‼️
✅️ポイント解説
- 正解:✗(バツ)
- 暦年課税の基礎控除額は、受贈者(もらった人)単位で年間110万円です。
- 父と母など、複数の人から贈与を受けた場合でも、控除は110万円が上限で、220万円にはなりません。
- つまり、「贈与を受ける人」が基準になるのがポイントです。
🔍 深掘り考察!!
今回は、以下の点について解説していきたいと思います。
- 贈与税の基礎控除って何?
→1年間(1月〜12月)で 110万円まで の贈与には税金がかからないってことです。 - 110万円の根拠と背景は?
→一般の家庭が普通に助け合うくらいの金額が、『110万円』と国は考えています。 - 贈与税の計算方法
→①その年に貰った金額を合計する。
②その合計から110万円を差し引く。
③合計-110万円で残った金額に税率をかけて税額を算出する。
この3ステップです。
贈与税の基礎控除って何?

贈与税の「基礎控除(きそこうじょ)」とは、
「この金額までは税金がかかりませんよ」
という税金がかからないボーダーラインのことです。
イメージしやすいように、具体例で説明していきますね!
① 贈与税ってなに?
まず前提として、「贈与(ぞうよ)」とは、人からお金や財産を タダでもらう ことです。
たとえば、
- お父さんからおこづかいとして100万円もらう
- おじいちゃんから土地をもらう
- おばさんから車をもらう
こういったケースです。

このように、人から財産をもらったときにかかるのが「贈与税」です。
② でも少しだけなら税金がかからない!
ただし、ちょっとしたプレゼントやお祝いごとにもいちいち税金がかかってしまったら、大変ですよね。
そこで国は「少しの金額までは税金をかけないルール」を作っています。
それが「基礎控除110万円」です。
③ 1年間で110万円までが非課税!
贈与税の基礎控除は、
1年間(1月〜12月)で 110万円まで の贈与には税金がかかりません。
たとえば…
- お父さんから50万円
- お母さんから60万円
= 合計110万円
この場合、基礎控除額が110万円なので、
110万円 − 110万円 = 0円
贈与税はかかりません!
④ 110万円をこえると税金がかかる
一方で、
- お父さんから100万円
- お母さんから100万円
= 合計200万円
この場合、基礎控除110万円を超えた
200万円 − 110万円 = 90万円 が課税対象です。
つまり、90万円に対して贈与税がかかるということです。
ここで注意してほしいのは、「父から」「母から」といった贈与者の人数は関係なく、
もらった人1人あたりで110万円 という点です!
⑤ お年玉やお祝い金はどうなるの?
「じゃあお年玉も課税されるの?」
と心配になるかもしれませんが、常識的な範囲のお年玉やお祝い金などは、贈与税の対象にならないケースがほとんどです。

ただし、たとえば1人から何百万円ももらった場合は、きちんと贈与税の申告が必要になります。
⑥ まとめ
- 贈与税とは、人から財産をもらったときにかかる税金
- 基礎控除110万円までは税金がかからない
- 複数の人からもらっても、控除額は 1人110万円
- 110万円をこえると、その超えた分に対して贈与税がかかる
💡 ポイント
FP試験でも「父と母の両方からもらった場合は220万円まで非課税」といった“ひっかけ問題”がよく出ます。

正しくは、110万円が上限なので注意しましょう!
110万円の根拠と背景は?

「110万円って、どうしてその金額なの?」と気になりますよね。
実はこれは、なんとなく決められた数字ではなく、「贈与の性質」や「税金の公平さ」を考えた理由があるんです。
やさしく順を追って説明します👇
① 贈与税の目的ってなに?
そもそも「贈与税」という税金は、
お金持ちの家だけが、財産をどんどん子や孫にタダで引き継ぐのを防ぐために作られた制度です。
たとえば、お金持ちの親が生きている間に
- 何千万円
- 何億円
と子どもにどんどん贈与していったら、
本来「相続税」でしっかり課税されるはずの財産が、課税されずに移ってしまいますよね。
それでは 税金の公平さ が失われてしまいます。

だから、「生きているうちの財産の移動」にも贈与税をかけることで、相続税とバランスをとっているんです。
② でも少額まで課税すると不便!
ただし、もし1円でも贈与税を取る制度にしてしまうと、
- お年玉
- 入学祝い
- 結婚祝い
- ちょっとした援助
といった身近な贈り物にまで税金がかかってしまいます。
それでは国民生活が窮屈になってしまうので、「ある程度の金額までは課税しない」という 非課税ライン が設けられました。
③ その金額が「110万円」
この非課税ラインが、現在は年間110万円になっています。
この金額には、次のような背景があります👇
- 一般的な家庭での お祝いごとやちょっとした援助 なら、この範囲に収まることが多い
- 生活を助けるちょっとした贈与まで税金を取るのは不公平
- 相続税とのバランスも考えた「ちょうどいい金額」として設定された
つまり、「一般の家庭が普通に助け合うくらいなら税金はいらないよ」という国の考えなんです。
④ 具体例で考えてみよう!
たとえば、高校生のあなたが1年間で…
- お父さんから 50万円(車の免許費用)
- おじいちゃんから 40万円(入学祝い)
- おばさんから 20万円(ちょっとした支援)
👉 合計 110万円 です。
この場合、基礎控除額110万円の範囲内なので、
贈与税はゼロです!
もしこの合計が200万円だったら…
110万円を超える90万円に対して贈与税がかかります。
⑤ なぜ110万円が変わらないの?
「物価が上がってるのに、110万円って昔から一緒?」と思う人もいるかもしれません。
実はこの110万円という基礎控除額は、長い間ずっと同じ金額です。
なぜかというと…
- 税金の仕組みは大きく変えると影響が大きい
- 贈与税と相続税のバランスがとれている
- すぐに変える理由がない
といった事情があるからです。

つまり、「税制上の安定した基準」として使われ続けているのです。
⑥ まとめ
- 贈与税は「財産を生きている間に渡して税金逃れをする」のを防ぐための税
- 生活のちょっとした贈り物には税金をかけないため、非課税ラインがある
- その金額が「110万円」
- 110万円までは贈与税ゼロ! 超えると課税
- 長年変わらない「基準金額」として使われている
💡 ポイント
「110万円」という金額は、
👉「ちょっとした贈り物には税金をかけない」
👉「でも大きなお金の移動にはきちんと課税する」
このバランスをとるためのラインなのです。
贈与税の計算方法

贈与税の計算方法は、一見むずかしそうに見えますが、実はたった3ステップでできます✨
順番にやさしく説明していきますね!
① 贈与税ってそもそもなに?
前にも触れましたが、おさらいです。
「贈与税(ぞうよぜい)」は、
👉 人からお金や財産をもらったときにかかる税金です。
ただし、少しだけもらっただけでは税金はかかりません。
年間 110万円までは非課税(=税金がかからない)です。
② 贈与税の計算はこの3ステップ!
贈与税の計算は、次のように進めます👇
- その年にもらった金額を 合計する
- そこから 基礎控除(110万円) を引く
- 残った金額に 税率をかけて 税額を出す
③ 具体例で見てみよう!
たとえば、あなたが2025年に…
- お父さんから 100万円
- お母さんから 150万円
👉 合計 250万円 をもらったとします。
このときの贈与税はどうなるかを、ステップごとに計算してみましょう。
STEP 1:もらった金額の合計
100万円 + 150万円 = 250万円
STEP 2:基礎控除(110万円)を引く
250万円 − 110万円 = 140万円
👉 この140万円が、贈与税の対象になる金額(課税価格)です。
STEP 3:税率をかける
贈与税は、金額が多くなるほど税率も高くなる「超過累進課税」という仕組みを使っています。
たとえば140万円なら、「一般贈与財産用」の税率表でみると…
| 課税価格 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 200万円以下 | 10% | 0円 |
なので👇
140万円 × 10% = 14万円
👉 この年の贈与税額は 14万円 になります!
④ 贈与税の速算表ってなに?

実際の税率は、金額によって変わります。
これは「速算表(そくさんひょう)」という一覧表があるからです👇
| 課税価格(基礎控除後) | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 200万円以下 | 10% | 0円 |
| 300万円以下 | 15% | 10万円 |
| 400万円以下 | 20% | 25万円 |
| 600万円以下 | 30% | 65万円 |
| 1000万円以下 | 40% | 125万円 |
| 1500万円以下 | 45% | 175万円 |
| 3000万円以下 | 50% | 250万円 |
| 4500万円以下 | 55% | 400万円 |
👉 この「税率」と「控除額」を使えば、大きな金額でもかんたんに計算できます。
⑤ ちょっと大きい金額の例(300万円)
たとえば、もらった金額が 300万円 だったとき👇
- 300万円 − 110万円 = 190万円(課税価格)
- 190万円は「200万円以下」の区分 → 税率 10%、控除額 0円
- 190万円 × 10% = 19万円
👉 贈与税は 19万円 になります!
⑥ さらに大きい金額の例(500万円)
もらった金額が 500万円 のとき👇
- 500万円 − 110万円 = 390万円(課税価格)
- 390万円は「400万円以下」の区分 → 税率 20%、控除額 25万円
- 390万円 × 20% − 25万円 = 53万円
👉 贈与税は 53万円 になります!
⑦ まとめ
- 贈与税の計算は 「合計 → 110万円控除 → 税率をかける」 の3ステップ
- 110万円までは非課税
- 税率は「速算表」で確認
- もらう金額が大きくなると、税率も上がる
💡 ポイント
・110万円を超える贈与があると、申告が必要です。
・複数の人からもらっても、「もらった人」の合計で計算します。
・税率が高いので、計画的に贈与するのが節税のコツです✨
まとめ・今回の学び
- 贈与税の基礎控除って何?
→1年間(1月〜12月)で 110万円まで の贈与には税金がかからないってことです。
→複数の人からもらっても、控除額は 1人110万円です。
→110万円をこえると、その超えた分に対して贈与税がかかります。 - 110万円の根拠と背景は?
→一般の家庭が普通に助け合うくらいの金額が、『110万円』と国は考えています。
→生活のちょっとした贈り物には税金をかけない配慮がなされています。 - 贈与税の計算方法
→①その年に貰った金額を合計する。
②その合計から110万円を差し引く。
③合計-110万円で残った金額に税率をかけて税額を算出する。
この3ステップです。
→税率をかけたあとの税額(課税価格)から、控除額を差し引くことが出来ます。
控除額は、課税価格の金額によって変わってきます。(速算表を参照。)
今回は問題を通して、贈与税の仕組みについて解説してきました。
やっていることは単純なので、「もらっている(あげている)金額が110万円を超えないようにする」という行動を取っている方が多いのではないでしょうか。

今まで意識していなかった方は、大きな金額を貰った時に税金がかかるので、使いすぎないようにしましょうね。
続いて次回予告です。
次回予告:相続時精算課税制度

次回は、贈与税の中でもよく出題される 「相続時精算課税制度」 をテーマに取り上げます。
この制度は暦年課税とちがい、ある程度まとまった金額を非課税で贈与することが可能です。
本年中に相続時精算課税の適用を受けた場合、受贈者ごとの年間110万円控除後、特定贈与者ごとに特別控除額として累計【□1】までの贈与には贈与税が課されず、その額を超えた部分については一律【■2】の税率により贈与税が課される。【□1、■2】に入る数値を答えよ。
相続時精算課税は、特別控除額や税率の仕組みを正確に理解しておくことが、合格へのカギです。

次回はこの制度の特徴と計算の流れを、具体例を交えながらわかりやすく解説していきます。
お楽しみに!


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