傷病やケガで働けなくなったときに支給される傷病手当金は、FP3級でも頻出の重要テーマです。
しかし実際の試験問題では、「直近の何か月を使うのか」「1日あたりはいくらになるのか」といった計算ルールが分からず、12か月なのか、8か月なのか、あるいは2/3なのか、3/4なのかで迷ってしまう方が少なくありません。
本記事では、傷病手当金の計算問題を題材にしながら、
「なぜ12か月なのか」「なぜ2/3を掛けるのか」
という根拠を、中学生にもイメージできるレベルまで噛み砕いて解説します。
単なる暗記ではなく、仕組みから理解することで、選択肢に惑わされず正解を選べる力を身につけることが目的です。
「数字は覚えたはずなのに、問題になると不安になる」
そんな悩みを感じている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

計算式の中で重要な「12か月」「30日」「2/3」という数字の意味と背景を丁寧に解説しながら、なぜそういう仕組みなのかを一緒に深掘りしていきましょう!
⭐️この記事を読んで得られる知識は、以下の3点です。
- 傷病手当金ってどういうもの?
→病気やケガで仕事を休まなければならなくなり、給料がもらえなくなったときに、生活を支えるために支給されるお金です。 - 傷病手当金の算定式とその根拠は?
→直近12か月の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 2/3
まずはこの式↑を覚えましょう❗️ - 問題に出てくる、よくあるケアレスミスを紹介‼️
→「直近12か月」を「6か月」や「8か月」と勘違いする。
→「30で割る理由」を理解せず、式を丸暗記する。
→「標準報酬月額」と「実際の給料」を混同する。
などがあります。
FP3級では、今回解説した傷病手当金の計算ルールのように、
「数字を覚えるだけでは解けない問題」が数多く出題されます。
同じ考え方が求められるテーマとして、
教育資金に関する代表的な制度である「教育一般貸付」も要チェックです。
特に、融資限度額350万円という数字は覚えていても、
例外を見落として誤答してしまうケースが非常に多く見られます。
前回の記事はこちら
▶ 【教育資金】教育一般貸付の融資限度額350万円は正しい?例外を見抜くポイントとは!_間違いから学ぶFP3級_第3回
こちらの記事では、FP3級で狙われやすいひっかけポイントを、問題文ベースで丁寧に解説しています。

傷病手当金とあわせて学ぶことで、
「制度の数字をどう判断するか」という共通スキルが身につきますので、
ぜひ参考にしてみてください。
今回の分野:傷病手当金とは?

社会保険と公的保障制度:健康保険の給付(傷病手当金)
FP3級で問われる公的医療保険制度の中でも、「傷病手当金」は出題頻度が高く、実生活でも重要な知識です。
会社員や公務員など、被用者が病気やケガで仕事を休んだときに支給されるこの制度。
今回はその算定方法の基本をしっかり押さえましょう。
問題文の紹介:傷病手当金の算出根拠
- 傷病手当金の額は、1日につき、原則として次の手順で計算されます。
- 傷病手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した
【□1】各月の標準報酬月額の平均額を求めます。 - その平均額を 30で除した額 を計算します。
- さらに、その金額に 【■2】 を乗じた額が、1日あたりの傷病手当金の額となります。
問:【□1】と【■2】に入る数値はいくつでしょうか。
選択肢は以下のとおりです。
- □1:10か月 ■2:1/2
- □1:12か月 ■2:2/3
- □1:8か月 ■2:3/4
初見のとき、まず■2の選択肢で迷いました。
しっかり記憶していなかったので、2/3、3/4、1/2…と並ぶと「どれもそれっぽい」みえてしまったのです。
なんとなくですが、
「手当って給与の7〜8割くらいのイメージ」?
だから、3/4かな〜?
っという感じで感覚に引っ張られてしまいました。

まぁ、全体的のぼんやりと覚えていたので、何度も反復して記憶の定着を図りました💧繰り返しが大事です。
今回の傷病手当金の問題は、
「制度の数字を暗記しているか」ではなく、
数字の意味を理解しているかが問われる典型的なFP3級問題です。
同じ考え方が必要になるテーマについては、
以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせて確認してみてください。
正解と解説の要点:傷病手当金の算定式

- 傷病手当金の額は、1日につき、原則として次の手順で計算されます。
- 傷病手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した
【□1】各月の標準報酬月額の平均額を求めます。 - その平均額を 30で除した額 を計算します。
- さらに、その金額に 【■2】 を乗じた額が、1日あたりの傷病手当金の額となります。
問:【□1】と【■2】に入る数値はいくつでしょうか。
選択肢は以下のとおりです。
- □1:10か月 ■2:1/2
- □1:12か月 ■2:2/3
- □1:8か月 ■2:3/4
→正解:2(□1:12ヶ月、■2:2/3)
私は■2の数値を間違えてしまいました。

なんで2/3なんだろう・・・?
今回のポイント解説を以下にまとめましたので、ご確認ください。
✅ ポイント解説:理解すべき項目
- 傷病手当金は、被保険者が連続して3日間休業し、4日目以降も労務不能な場合に支給されます。
- 金額は原則として、支給開始前12か月の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 2/3で算出されます。
- 12か月分の平均をとるのは、月によって報酬に変動があることが理由。
実態に即した金額を反映させるための措置としています。

乗じる数値が「2/3」であることにまだ疑問が残っています。
もう少し深堀りしていきましょう‼️
傷病手当金について_深掘り考察!!
今回は、以下の点について解説していきたいと思います。
- 傷病手当金ってどういうもの?
→病気やケガで仕事を休まなければならなくなり、給料がもらえなくなったときに、生活を支えるために支給されるお金です。 - 傷病手当金の算定式とその根拠は?
→直近12か月の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 2/3
まずはこの式↑を覚えましょう❗️ - 問題に出てくる、よくあるケアレスミスを紹介‼️
→「直近12か月」を「6か月」や「8か月」と勘違いする。
→「30で割る理由」を理解せず、式を丸暗記する。
→「標準報酬月額」と「実際の給料」を混同する。
などがあります。
傷病手当金ってどういうもの?

傷病手当金とは、
👉 病気やケガで仕事を休まなければならなくなり、給料がもらえなくなったときに、生活を支えるために支給されるお金です。

簡単に言うと、
「働けなくなったときのお給料の代わり」のようなものです。
どんなときにもらえるの?
次のような場合が対象になります。
- 病気やケガで仕事ができない
- 会社を休んでいて給料が出ない
- 健康保険(会社の保険)に入っている
つまり、
自分の不注意ではなく、体の調子が悪くて働けない人を助ける制度となっています。
具体例で考えてみましょう

たとえば、こんなケースです。
- 会社員のAさん
- 月給:30万円
- 病気で入院し、1か月間まったく働けなくなった
- 会社からは給料が支給されない
このままだと、
👉 家賃や食費が払えなくなってしまいますよね。
そこで登場するのが傷病手当金です。

Aさんは、
「働けなかった期間について、1日ごとに一定額のお金」
を健康保険から受け取ることができます。
いくらくらいもらえるの?
ポイントはここです。
- 傷病手当金は
お給料の満額(100%)ではありません - 原則として
👉 給料のおよそ3分の2(2/3) が支給されます
これは、
「最低限の生活を守るためのお金」
という位置づけだからです。
どうして100%じゃないの?
理由はシンプルです。
- 給料と同じ額をもらえると
👉 「働かなくても同じ」状態になってしまう - そこで、
👉 生活は守るけど、働けるようになったら復帰しやすい金額
に設定されています
このバランスを取った結果が、「およそ2/3」という数字です。
まとめ_とりあえずここだけ覚えよう❗️
- 傷病手当金は
👉 病気やケガで働けない人を支える制度 - 給料が出ない期間に
👉 1日ごとにお金が支給される - 金額は
👉 給料の約2/3 - 目的は
👉 生活を守ること
傷病手当金の算定式とその根拠は?
傷病手当金の1日あたりの金額は、次の式で決まります。
直近12か月の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 2/3

いきなり見ると難しそうですが、
実は「意味のある3ステップ」を順に並べただけです。
ステップ① なぜ「直近12か月の平均」なの?

理由:その人の“普段の給料レベル”を公平に見るため
- 病気になる直前の1か月だけ
- たまたま残業が多かった月
を基準にすると、不公平になります。
そこで、
- 直近の
- 継続した
- 12か月分
を平均して、
👉 「この人は普段、これくらいの給料で生活している」
という基準を作る必要があります。

これは、
テストを1回の点数ではなく、1年間の平均点で評価する
のと同じ考え方です。
ステップ② なぜ「30で割る」の?
理由:1日あたりの金額に直すため
標準報酬月額は、
👉 1か月分の給料を表しています。
でも、傷病手当金は
👉 1日ごとに支給されます。
そこで、
1か月 ≒ 30日として、
👉 30で割って「1日分の給料」に直すのです。
ステップ③ なぜ「2/3を掛ける」の?
理由:生活は守るけど、給料そのままにはしないため
傷病手当金は、
- ボーナス
- フル給料
ではありません。
なぜなら、傷病手当金の目的は、
最低限の生活を守ることにあるからです。
もし100%もらえると、
- 働かなくても同じ
- 制度が重くなりすぎる
という問題が出てきます。
そこで、
- 生活はできる
- でも給料よりは少ない
という働かないと自分の好きなことが出来ないというちょうどいいバランスとして、
2/3(約67%)が採用されています。
具体例で計算してみましょう
例:会社員Aさんの場合
- 標準報酬月額:30万円
- 直近12か月すべて同じと仮定
計算例↓
- 30万円 ÷ 30 = 1万円(1日分)
- 1万円 × 2/3 = 約6,667円
👉 Aさんは、
1日あたり約6,667円の傷病手当金を受け取れます。
なぜこの算定式はよく出題されるの?

FP3級では、
- 「12か月」
- 「30で割る」
- 「2/3を掛ける」
この3点セットを理解しているかが問われます。
数字だけ暗記すると迷いますが、
- 平均を取る理由
- 日割りにする理由
- 割合を下げる理由
が分かっていれば、
👉 選択肢に惑わされません。
計算式と根拠_まとめ(とりあえずここを押さえよう‼️)
- 傷病手当金は
👉 給料の代わりに出る生活保障 - 基準は
👉 直近12か月の平均 - 1日あたりに直すため
👉 30で割る - 生活保障なので
👉 2/3だけ支給

この理解があれば、
計算問題は「覚える」ではなく考えて解けるようになります。
よくあるケアレスミスを紹介‼️

ミス①:標準報酬月額何ヶ月分?
「直近12か月」を「6か月」や「8か月」と勘違いする
ミスの内容
- 【□1】に入る数値を
👉 6か月、8か月、10か月などと選んでしまう
なぜ起きる?
- 「直近」「継続した」という言葉があいまいに感じる
- 他の制度(賞与計算など)と混同してしまう
防ぎ方のコツ
👉 傷病手当金は
「直近12か月の平均」
と、1年固定で覚えてしまうのが安全です。
ミス②:分数の取り違い
「2/3」を「3/4」や「1/2」と取り違える
ミスの内容
- 【■2】に入る割合を
👉 3/4(75%)などと選んでしまう
なぜ起きる?
- 「手当=7~8割くらい」という感覚で選んでしまう
- 分数をパッと見て大小を勘違いする
防ぎ方のコツ
👉 傷病手当金は
“給料の満額ではない”=約3分の2
と、意味とセットで覚えましょう。
ミス③:式の丸暗記

「30で割る理由」を理解せず、式を丸暗記する
ミスの内容
- 計算式を途中で崩してしまう
- 割る順番・掛ける順番があやふやになる
なぜ起きる?
- 「30で割る=日割り」という意味を考えていない
- 数字だけを暗記している
防ぎ方のコツ
👉
- 月 → 日に直す → 割る
- 生活保障 → 割合を下げる → 掛ける
と、流れで理解するのが大切です。
ミス④:標準報酬月額で計算
「標準報酬月額」と「実際の給料」を混同する
ミスの内容
- 手取り額や残業代込みの給料を基準に考えてしまう
なぜ起きる?
- 普段の感覚では「給料=もらっている金額」だから
- 標準報酬月額という言葉に慣れていない
防ぎ方のコツ
👉 試験では必ず
「標準報酬月額」という制度上の数字を使う
と意識しましょう。
ミス⑤:「それっぽい」で選ばない
選択肢を「それっぽさ」で選んでしまう
ミスの内容
- 「12か月っぽいから2/3」
- 「10か月なら1/2くらい?」
など、根拠のない組み合わせで判断する
なぜ起きる?
- □1と■2がセットで書かれていて、惑わされる
- 正解を“感覚”で選ぼうとしてしまう
防ぎ方のコツ
👉
- 期間(□1)
- 割合(■2)
は別々に考えると、冷静に判断できます。
よくあるケアレスミス_まとめ
この問題で迷ったら、次の3つを思い出してください。
- 平均期間は 12か月
- 1日あたりにするため 30で割る
- 生活保障なので 2/3

これが揃えば、
選択肢に惑わされることはほぼありません。
まとめ・今回の学び:傷病手当金
- 傷病手当金ってどういうもの?
→病気やケガで仕事を休まなければならなくなり、給料がもらえなくなったときに、生活を支えるために支給されるお金です。
→給料が出ない期間に👉 1日ごとにお金が支給される
金額は👉 給料の約2/3
目的は👉 生活を守ること - 傷病手当金の算定式とその根拠は?
→直近12か月の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 2/3
まずはこの式↑を覚えましょう❗️ - 問題に出てくる、よくあるケアレスミスを紹介‼️
→「直近12か月」を「6か月」や「8か月」と勘違いする。
→「30で割る理由」を理解せず、式を丸暗記する。
→「標準報酬月額」と「実際の給料」を混同する。
などがあります。
傷病手当金の算定方法は、「12か月の標準報酬月額」「30で割る」「2/3を掛ける」という3つのステップで構成されています。
単なる暗記ではなく、なぜそのような算出方法になっているのかまで理解することで、試験でも実務でも役立つ知識になりましたね。
「2/3」の係数の根拠も、社会保険料や税金が引かれた手取り額相当ということで理解できました。
次回予告:公的介護保険の住宅改修費用

高齢社会が進む中で、「介護」は誰にとっても無関係ではいられないテーマになってきました。
次回は、公的介護保険制度における住宅改修の費用負担のしくみについて取り上げます。
- 公的介護保険制度ってどういうもの?
- 住宅改修費はなぜ全額支給にならないのか?
- 問題を解く際のよくあるケアレスミスを紹介‼️
といった基本から、FP3級でよく出題されるポイントを押さえて、「介護とお金」について実務目線でも学べる回にしたいと思います。
▶次回の記事はこちら
【公的介護保険】住宅改修費は全額支給?その思い込みが誤りの原因!_間違いから学ぶFP3級_第5回

介護は突然、しかし確実にやってきます。
だからこそ、「知っておくこと」が最大の備えになります。
ぜひお楽しみに!


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