「老後は年金が支えになるはず…でも、税金って引かれるの?」
――そう疑問に思ったことはありませんか?
わたしもFP3級の勉強を始めたばかりのころは、
「年金は国からもらうお金だから非課税でしょ?」と当然のように考えていました😅
でも実は、老齢基礎年金や老齢厚生年金にはしっかり所得税がかかるんです。
しかも分類は「雑所得」
――この言葉、聞き慣れない方も多いですよね。
「えっ、年金って雑所得なの?」
「全部税金とられちゃうの?」
――そんな疑問が湧いてきますよね。
実はこの分野、FP3級でも頻出の論点で、
遺族年金との混同や「公的年金等控除」の理解不足で間違える人がとても多いんです。
今回は、老齢年金が課税される仕組みと、65歳以上の「158万円ルール」、そして確定申告の判断基準まで、一級建築士目線で中学生でも理解できるレベルにまでやさしく整理していきます。
⭐️この記事を読んで得られる知識は、以下の3点です。
- なぜ老齢年金は「雑所得」?
課税される理由がスッキリわかる - 65歳以上「158万円ルール」とは?
公的年金等控除の仕組みを具体例で理解 - 確定申告が必要な人・不要な人の違いがわかる
前回(第35回)は、金融資産運用分野の「オプション取引」について、
コール・プットの違いとプレミアムが高くなる条件を解説しました。
今回は分野を切り替えて、タックスプランニング(所得税)へ進みます。
前回が「投資のリスクとリターン」なら、今回は「年金生活者の税金」
――どちらも将来のお金まわりで避けて通れないテーマですね。
前回記事はこちら
▶【オプション取引】コール・プットの違いとプレミアムが高くなる条件を間違えやすいポイントから解説_間違いから学ぶFP3級_第35回
📘 今回の分野:タックスプランニング(所得税の課税対象_老齢年金は雑所得)

今回学ぶ範囲は、タックスプランニングの「所得税の課税対象」、
特に老齢基礎年金・老齢厚生年金がどの所得区分に入り、どう課税されるかがメインの論点です。
年金収入がある方や、将来年金を受け取る予定の方にとって、知らないと損する重要な知識です。
❓️ 問題文の紹介:老齢年金は非課税所得か?
所得税において、老齢基礎年金や老齢厚生年金に係る所得は、非課税所得とされる。
【この記述は○か×か?】
まずこの問題を解く際に、わたしは基礎年金・厚生年金がそれぞれ「雑所得」に該当するという認識がありませんでした。
また非課税となる項目に遺族年金があったため、
混同して思い違いをしてしまったことが、誤答の理由です。

「年金」とひとくくりにせず、種類ごとに分けて覚えるのが大事だね。
✅ 正解と解説の要点:公的年金等は雑所得_一定額までは非課税
所得税において、老齢基礎年金や老齢厚生年金に係る所得は、非課税所得とされる。
【この記述は○か×か?】 → 正解:×
✅️ポイント解説
老齢基礎年金や老齢厚生年金は「公的年金等」として、原則として課税対象です。
ただし、「公的年金等控除」という一定額の控除があるため、
年金収入が一定額以下であれば実質的に非課税になることもあります。
- 老齢基礎年金・老齢厚生年金は「雑所得」に分類されます
- 所得税の課税対象ですが、控除額が設定されています
- 年齢(65歳未満/65歳以上)と年金額により控除額が異なります
「非課税にも見えるけど、実は課税の仕組みの中で守られているだけ」というのが正しい理解です。

控除は”完全な非課税”ではなく、
“一定ラインまで守る盾”だとイメージしましょう。
💡 関連記事のご紹介
公的年金の課税ルールは、所得税の他の控除制度ともつながりがあります。
あわせて読むと、税の全体像がさらに見えてきますよ。
地震保険料控除も「所得税と住民税で扱いが違う」混同しやすい論点。控除制度の整理に役立ちます。

事業所得の「純損失の繰越控除」も、税金が”減らせる仕組み”として理解しておきたいテーマです。


他の控除も合わせて読むと、税の全体像がグッとクリアになります。
🔍 老齢年金の課税の仕組みについて_深掘り考察!!
今回は、以下の3つの視点から深掘りしていきます。
- なぜ課税されるの?
年金が「収入」として扱われる理由 - どれくらい課税されるの?
65歳以上「158万円ルール」と公的年金等控除 - 確定申告は必要?
「400万円ルール」と「20万円ルール」
なぜ課税されるの?:年金は「収入」だから所得税の対象になる

年金というのは、簡単にいうと
「現役のときにコツコツ納めていた保険料を、老後に少しずつ受け取る」仕組みです。
ここでポイントになるのは、年金をもらうとき、それは「収入」として扱われるということ。
たとえば、働いてお給料をもらうと「所得税」がかかりますよね?
それと同じように、年金もお金を受け取るという意味では”収入“なので、税金がかかるのです。
🍱 身近な具体例:お弁当屋さんのバイト代と年金
学生時代にお弁当屋さんでバイトしていた人が、
給料から所得税を引かれていたのを思い出してみてください。
それと同じで、老後にもらう年金も「収入」なので、ルール上は税金の対象になります。
ただし、「現役時代と同じ税負担はキツい」という配慮で、
年金には特別な控除(公的年金等控除)が用意されている
――これが大事なポイントです。
◆ 国の考え方
国の基本スタンスは「収入があるなら、その人の経済力に応じて税金を負担してね」というもの。
年金も生活の柱になる収入だから、課税の対象にする
――その上で、生活への配慮として控除制度を設けている、というわけです。
■ なぜ課税されるか_まとめ
- 年金は「収入」と見なされます
- お給料と同じように、所得税の対象になります
- ただし、少ない年金には「控除」で配慮されています
つまり、「年金は生活のためのお金だから全部非課税」とはならないんですね。
あくまで”もらうお金=収入”という考え方で、税金のルールが決まっているということです。
どれくらい課税されるの?:65歳以上は158万円までは非課税

結論からいうと、年金収入が一定額を超えると、超えた分にだけ税金がかかります。
ただし、「公的年金等控除」という制度があるので、
すべての年金受給者が課税されるわけではありません。
🏠 一級建築士目線の具体例:公的年金等控除は「断熱層」
建物には外気の熱が直接室内に伝わらないように「断熱層」がありますよね。
公的年金等控除も、これと似た働きをします。
- 年金収入 = 外から建物に入ってくる”熱”
- 公的年金等控除 = 一定の熱をカットする”断熱層”
- 課税所得 = 断熱層を通り抜けて室内に届く”熱”
つまり、断熱層(控除)が厚ければ厚いほど、
室内(課税対象)に届く熱(税金がかかる金額)は少なくなるわけです。
そして、この断熱層の厚みは「年齢」と「年金額」によって変わります。
◆ たとえば65歳以上の人の場合
年金だけが収入なら、年間158万円までは非課税になります。
| 年金収入 | 課税の有無 |
|---|---|
| 158万円以下 | 税金なし(非課税) |
| 200万円 | 200万円 − 158万円 = 42万円が課税対象 (さらに基礎控除などが引かれる) |
※ 158万円の内訳:公的年金等控除110万円 + 基礎控除48万円
📚 出典・参考リンク
- 国税庁:高齢者と税(年金と税)
- 国税庁:タックスアンサー No.1600 公的年金等の課税関係
- ※本記事は令和7年分(2025年)税制に基づいています
◆ 公的年金等控除ってなに?
「年金生活者にも生活費がかかるから、ある程度は税金をかけませんよ」という税金の優遇制度です。
年齢(65歳未満/65歳以上)と年金額によって、控除される金額が変わります。
◆ 他にも差し引かれるものがある
年金収入があっても、以下のような控除も使えるので、
実際に課税される金額はさらに少なくなることがあります。
- 基礎控除(48万円)
- 配偶者控除や扶養控除
- 社会保険料控除 など
■ どのくらい課税されるか_まとめ
- 65歳以上なら、年金収入158万円以下は非課税
- それ以上の年金をもらっている場合は、控除後の一部に税金がかかる
- 実際に税金がかかる人は、年金が多めの人や他に収入がある人
つまり、「年金=すべて非課税」ではないけれど、
国は生活の負担を考慮して、多くの人には税金がかからないよう配慮しているということなんです。
確定申告は必要?:「400万円ルール」と「20万円ルール」
結論から言うと、すべての年金生活者に確定申告が必要なわけではありません。
ただし、条件によっては申告が必要になる人もいます。
🏦 身近な具体例:銀行の自動引き落としに似ている仕組み
公共料金が銀行口座から自動引き落としされていれば、自分で振り込みに行く必要はないですよね。
年金の所得税も同じで、年金機構があらかじめ源泉徴収(自動で引いてくれる)仕組みがあります。
だから、条件に当てはまれば自分で確定申告しなくてもOKになっているんです。
◆ 確定申告が【不要】な人
以下の条件をすべて満たしている場合は、確定申告は必要ありません。
- 公的年金等の収入が400万円以下
- 年金以外の所得が20万円以下
- 所得税が年金から源泉徴収されている
つまり、年金だけで暮らしていて、他に大きな収入がほとんどない人は、
原則として確定申告をしなくてもOKです。
申告が【必要】な人は?
次のようなケースに当てはまると、確定申告が必要です。
| ケース | 具体例 |
|---|---|
| 年金が年間400万円を超える | 厚生年金が多い方や、企業年金もある方など |
| 年金以外の所得が年間20万円超 | アルバイト収入、不動産収入、配当収入など |
| 年金から所得税が引かれていない | 国外居住者など |
| 医療費控除や住宅ローン控除を受けたい | 税金を戻してもらうための申告(還付申告) |
◆ 申告しないとどうなるの?
本来申告が必要なのに確定申告をしないと、
税務署からお知らせが来たり、延滞税がかかったりする可能性があります。
また、申告すれば税金が戻ってくる(還付)ケースもあるので、
知らずに損していた…ということにもなりかねません。
■ 確定申告が必要かどうか_まとめ
- 年金収入だけで、400万円以下・他の収入20万円以下なら基本は申告不要
- でも、年金が多い人や副収入がある人は要注意
- 還付(お金が戻ってくる)目的でも確定申告は役立つことがある
年金生活でも「自分は関係ない」と思わずに、一度収入や控除を確認してみると安心ですね。
💥 よくあるケアレスミス:老齢年金の課税ルールでつまずきやすいポイント
ミス①:遺族年金と混同して「年金は全部非課税」と思ってしまう
なぜ間違えるのか?
「年金」とひとくくりにすると、
老齢年金・遺族年金・障害年金がすべて同じ扱いに見えてしまうから。
特に遺族年金は非課税なので、「年金=非課税」というイメージが頭に残りがちです。
正しい考え方
年金の種類によって課税ルールはまったく違います。
| 年金の種類 | 課税の扱い |
|---|---|
| 老齢基礎年金・老齢厚生年金 | 課税対象(雑所得) |
| 遺族基礎年金・遺族厚生年金 | 非課税 |
| 障害基礎年金・障害厚生年金 | 非課税 |
「老齢年金だけは課税」と覚えるのがコツです。
ミス②:老齢年金を「給与所得」や「一時所得」と勘違いしてしまう
なぜ間違えるのか?
「年金もお金をもらうんだから給与みたいなもの?」という直感で給与所得と答えてしまったり、「定期的にもらうけど一時所得かも?」と迷ったりするから。
正しい考え方
老齢年金は雑所得に分類されます。所得区分10種類のうち、どれにも当てはまらないものをまとめる区分が「雑所得」で、公的年金等はその代表例です。
- 給与所得 = 会社などに雇われて働いた対価
- 一時所得 = 懸賞金や満期保険金など、一時的・偶発的な収入
- 雑所得 = 上記9種類のどれにも当てはまらないもの(公的年金等・副業の原稿料など)
「公的年金等は雑所得」とセットで暗記するのが鉄板です。
ミス③:「公的年金等控除があるから、必ず非課税」と誤解してしまう
なぜ間違えるのか?
「控除がある=税金がかからない」と単純に結びつけてしまうから。
正しい考え方
公的年金等控除はあくまで「一定額までは課税対象から外す」仕組みです。
控除額を超える年金収入があれば、超えた分は課税されます。
- 65歳以上:年金収入158万円以下なら非課税(公的年金等控除110万円+基礎控除48万円)
- 65歳以上:年金収入158万円を超えると、超えた分に課税
「控除=必ず非課税」ではなく、「控除=一定ラインまでの守り」と理解しましょう。
📋 ケアレスミスまとめ
| ミスのパターン | 誤解しやすいポイント | 正しい理解 |
|---|---|---|
| ①遺族年金との混同 | 「年金=全部非課税」と思う | 老齢年金だけ課税。 遺族・障害年金は非課税 |
| ②所得区分の勘違い | 給与所得や一時所得と答える | 公的年金等は「雑所得」 |
| ③控除の誤解 | 「控除がある=必ず非課税」と思う | 控除は一定ラインまでの守り。 超えれば課税 |
まとめ・今回の学び:老齢年金の課税ルール総まとめ
今回学んだことを振り返りましょう📝
⭐️今回の学びまとめ
- 老齢基礎年金・老齢厚生年金は「雑所得」として、原則課税対象
- 65歳以上は年金収入158万円までは、公的年金等控除+基礎控除で実質非課税
- 遺族年金・障害年金は非課税――老齢年金とは扱いが違うので注意
- 確定申告が不要なのは「年金400万円以下+他収入20万円以下」の両方を満たすとき
老齢年金は「もらえるけど、税金もかかる」
――これがFP3級でも本試験でも重要なポイントです。
「公的年金等控除」という制度のおかげで、多くの年金生活者は実質的に税負担が軽くなっているわけですが、「控除があるから完全非課税」ではないところが落とし穴。
特に遺族年金との混同は引っかけ問題で頻出なので、
「老齢年金だけは課税、遺族・障害年金は非課税」とセットで覚えておくと安心です。
試験でも実生活でも、長く役立つ知識ですよ。

「老齢年金だけは課税」
――この一言を頭に入れておくと、引っかけ問題でも迷わないね。
次回予告:通勤手当は課税対象?

毎日の通勤にかかる交通費
――会社から通勤手当が出ている方も多いですよね。
でもこの「通勤手当」って、税金の対象になるんでしょうか?
実は、一定の条件を満たせば非課税になる制度があるんです。
- 月額いくらまでが非課税になる?
- 電車・バス通勤と自家用車通勤でルールは違う?
- 通勤手当が高額だと課税される?
次回はこんな疑問に答えながら、
「通勤手当の課税・非課税のルール」について、しっかり解説していきます!
次回の記事はこちら
▶【通勤手当の仕組みを解説】電車・バス通勤の手当、いくらまで非課税なの?_間違いから学ぶFP3級_第37回

通勤手当は給与明細でよく見る項目だから、
ルールを知っておくと役立ちそう!


コメント