間違いから学ぶFP3級_第12回_将来の年金額は増減する?国民年金基金の正しい知識を深堀り解説!

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将来の年金額に不安を感じていませんか?

自営業者やフリーランスなど、第1号被保険者の方が公的年金に上乗せして備える手段のひとつが「国民年金基金」です。

今回は、その国民年金基金に関する誤解されやすい点を問題形式で確認しながら、しっかりと理解を深めていきましょう。

今回の分野:

ライフプランニングと資金計画分野の「企業・個人事業主の年金」が今回学習する範囲になります。

公的年金制度(国民年金基金)に関する基礎知識と制度の仕組みについて、じっくりと確認していきましょう。

こいちろ
こいちろ

それでは問題文の確認からやっていきましょう!

問題文の紹介:

問題文の要約

国民年金基金は、加入員自身で掛金を運用するため、その運用実績により将来受け取ることができる年金額が増減する。

〇か✗か?

こいちろ
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ちなみに私は◯と回答しました。
特に深く考えたわけではなく、なんとなく投資信託での運用をイメージしました。

それでは正解を見てみましょう。

正解と解説の要点:

問題文の要約

国民年金基金は、加入員自身で掛金を運用するため、その運用実績により将来受け取ることができる年金額が増減する。

〇か✗か? 正解:✗

正解は✗。

誤っているところはどこなんでしょう?

やはり「増減する」という点が一番の争点になるかと思います。

それではポイント解説を見てみましょう。

✅ ポイント解説:

国民年金基金は、いわゆる「確定給付型」の年金制度です。
これは、加入時に選択した年金の種類(終身年金・有期年金など)と掛金に基づいて、将来の受給額があらかじめ決まっている制度です。
したがって、加入者自身が運用リスクを負うことはなく、運用実績によって年金額が変動することはありません。


深掘り考察!!:

一見すると「基金」と聞くと投資信託やiDeCoのように、運用成績によってリターンが変わるイメージを持たれがちです。

しかし国民年金基金は公的制度の一部であり、厚生労働省の監督のもと、基金全体で資金運用を行い、その結果が加入者に影響を及ぼさないように設計されています。

個人でリスクを負わず、将来の年金額があらかじめ決まっている安心感が大きな特徴です。

🔍 国民年金基金が「確定給付型」であるとは?

✅ 用語の意味

確定給付型(Defined Benefit, DB)年金」とは、将来受け取る年金額があらかじめ 固定 されており、加入時に選んだ給付の種類や支払う掛金額に応じて、受給額が計算式により確定している年金制度のことです。

これに対して、運用成績によって将来の受給額が変動するものは「確定拠出型(Defined Contribution, DC)年金」と呼ばれます(例:iDeCoなど)。


🏛 国民年金基金の仕組み

国民年金基金は、自営業者やフリーランスなどの「国民年金第1号被保険者」が老後の年金を補完するために利用できる制度です。

特徴:

  • 終身年金が基本(年金が一生支給される)
  • 掛金は選択した年金種類によって決まり、月々一定額を納付
  • 将来の年金額は加入時に確定し、運用実績で変わらない

つまり、国民年金基金に加入した時点で、将来どれだけの年金を受け取れるかが「契約ベースで決まっている」ので、金融商品とは異なり、市場の上下や投資の成功・失敗に左右されません


💡 具体例(年金の種類)

国民年金基金には以下のような給付タイプ(年金A型~I型)があります。

タイプ内容例給付期間遺族給付
A型終身年金(15年保証)本人が生きている限り+最低15年保証あり
B型終身年金(保証なし)本人が生きている限りなし
D型有期年金(10年)10年間固定あり

これらの選択によって、将来受け取れる年金額が決まり、加入者の年齢や掛金によって計算されます。


🧮 年金額の決まり方(概算)

年金額は以下の要素で計算されます:

  • 加入年齢
  • 加入時点の給付型の種類(A型・B型など)
  • 月額掛金(例:1万円)
  • 加入期間(例:20年間)

仮に35歳でA型(月額1万円)に加入し、65歳から受給を開始した場合、毎月約22,000円の終身年金が支給される、といった計算結果が事前に提示されます。(モデルケースによる)


❗ なぜ運用実績で受給額が変わらないのか?

国民年金基金は、個人ごとの運用ではなく、「基金全体で一括運用」されます。
加入者のリスクを避けるために、保守的で安定的な運用を行い、将来の給付に備える準備金を積み立てています。

そのため、たとえ運用実績が多少上下しても、年金額が変動しないよう制度設計されているのです。

📊 確定給付型 vs 確定拠出型 年金制度の比較表

項目確定給付型(DB)確定拠出型(DC)
将来の年金額あらかじめ決まっている(給付額が確定)運用成果により変動する(給付額は未確定)
運用の主体主に制度を運営する団体(企業や基金)が行う原則として加入者本人が運用指図
リスクの負担者団体(企業や基金)が運用リスクを負担加入者本人が運用リスクを負担
代表的な制度国民年金基金、厚生年金、企業年金(確定給付型)などiDeCo、企業型DC、401kなど
年金額の安定性高い(制度上の破綻がなければ、変動しない)低い(元本割れや市場変動により変動する)
メリット・将来の収入が見通しやすい
・老後の生活設計が立てやすい
・自己運用で資産形成できる
・資産が移管しやすい
デメリット・制度運営側の財政負担が大きい
・柔軟性が低い
・運用知識が必要
・運用成績によって年金額が減る可能性
加入者の関与度低い(加入後にすることはほとんどない)高い(投資商品選びや運用管理が必要)

この表のとおり、【国民年金基金は「確定給付型」】に該当するため、将来の受給額があらかじめ固定され、運用リスクは加入者ではなく制度側が担保しています。

まとめ・今回の学び:

  • 国民年金基金は「確定給付型」の制度であり、将来の受給額はあらかじめ決まっている。
  • 運用は個人ではなく基金が一括して行い、その結果で年金額が上下することはない。
  • 自営業者やフリーランスなど厚生年金に加入していない人の老後資金対策の一手段として、堅実な選択肢となりうる。

次回予告:第3号被保険者とiDeCo(個人型確定拠出年金)の関係とは?

年金制度に関する理解を深めるには、被保険者の区分ごとの取り扱いを正しく把握することが大切です。
次回は、「国民年金の第3号被保険者は、確定拠出年金の個人型年金の加入者となることはできない。」という記述が正しいのかを検証します。

専業主婦(主夫)などが該当する第3号被保険者は、老後資金をどのように備えるべきなのか?

こいちろ
こいちろ

iDeCoとの関係や今後の制度見直しの動向も含めて、深掘り解説していきます。
どうぞお楽しみに!

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