【住宅ローン控除】返済期間は20年以上必要?正しい年数を解説_間違いから学ぶFP3級_第44回

FP

住宅ローンを使ってマイホームを購入すると、一定の条件を満たせば「住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)」が受けられます。

この控除は税金が戻ってくるため、多くの人にとって大きな節約効果がありますが、適用を受けるためには細かな条件があります。

今回は、「返済期間は20年以上じゃないとダメ?」という、試験でも出やすいポイントについて解説します。

⭐️この記事を読んで得られる知識は、以下の3点です。

  • 住宅ローン控除の適用条件とは?
    →4つの要件(①住宅、②居住、③ローン、④所得)があります。
  • 住宅ローン控除の控除率について
    →控除率は0.7%_年末のローン残高に控除率を掛けた金額が控除額です。
  • 住宅ローン控除適用条件以外のポイント
    →計算ルール、控除期間、借入金の上限、繰上返済の注意点、控除を受けるための手続きなどについて注意が必要です。

📘 今回の分野:タックスプランニング/税額計算と税額控除【住宅ローン控除】

今回学ぶ範囲は、タックスプランニング分野の「住宅ローン控除」についてです。

「住宅購入」は人生の中で一番高い買い物です。

住宅購入の際に住宅ローンを利用する場合、住宅借入金等特別控除(住宅ローン)というお得な制度があります。

この制度がどういったものなのか、しっかり理解していこうと思います。

❓️ 問題文の紹介

問題文の要約

住宅ローンを利用してマンションを取得し、所得税の住宅借入金等特別控除の適用を受ける場合、借入金の償還期間は、20年以上でなければならない。

◯か✗か?

さて、今回の要点は借入金の償還期間が何年なのかという点ですね。

問題文は「20年」とあります。

私の今回の思考回路は、

こいちろ
こいちろ

借入金(住宅ローン)って35年とかよく聞くよね。
だから20年くらいあるんじゃない?

という感じでした。

住宅ローンを何年借りるかと、住宅ローン控除を受けるための条件(償還期間)は違うということを理解していなかったため、不正解となりました。

正しい知識を身につけるため、正解を確認しましょう‼️

✅ 正解と解説の要点

問題文の要約

住宅ローンを利用してマンションを取得し、所得税の住宅借入金等特別控除の適用を受ける場合、借入金の償還期間は、20年以上でなければならない。

◯か✗か?

→正解:✘(10年)

正解は ✗ でした。

注目すべき点は合っていましたが、償還期間が何年必要なのかまでは理解できていませんでした。

正解のポイントを確認しましょう。

✅️ポイント解説

  • 住宅ローン控除の返済期間要件は 10年以上 が正しい。
  • 20年以上という条件はなく、10年以上あれば適用条件を満たす。
  • この「返済期間10年以上」という条件は、住宅ローン控除が「長期的に住むための住宅取得を対象」にしているから。

🔍 深掘り考察!!

今回は、以下の3点について解説していきたいと思います。

  • 住宅ローン控除の適用条件とは?
    →4つの要件(①住宅、②居住、③ローン、④所得)があります。
  • 住宅ローン控除の控除率について
    →控除率は0.7%_年末のローン残高に控除率を掛けた金額が控除額です。
  • 住宅ローン控除適用条件以外のポイント
    →計算ルール、控除期間、借入金の上限、繰上返済の注意点、控除を受けるための手続きなどについて注意が必要です。

住宅ローン控除の適用条件とは?

①+②対象となる「住宅と居住」の条件

  • 床面積
    原則50㎡以上で、1/2以上が自己居住用であること。
    (令和4年以降、省エネ基準を満たす住宅や一定の中古住宅は40㎡以上でもOK)
  • 居住要件
    購入後6か月以内に住み始め、その年の12月31日まで住み続けること。
  • 中古住宅の場合の要件
    新耐震基準適合住宅であること。

③「ローン」の条件

  • 返済期間:10年以上
  • 対象の借入金:銀行や住宅金融支援機構など、適法な金融機関等からの借入であること
    (親族や知人からの借金は対象外)
  • 返済方法:元金と利息を分割して返済すること

④「所得」制限

  • 年間の合計所得金額が 2,000万円以下
    (超えると控除は受けられません)

その他の注意点

  • 増改築やリフォームも条件を満たせば対象になります。
    (耐震・省エネ・バリアフリー改修など)
  • 控除期間や控除率は取得した年や住宅の性能によって異なります。
  • 繰り上げ返済で期間が10年未満になると、残りの年は控除が受けられなくなる可能性あります。

適用条件のポイントまとめ

  • 面積:原則50㎡以上(条件付きで40㎡以上もOK)、1/2以上を自己居住用とすること
  • 返済期間10年以上
  • 所得:2,000万円以下
  • 所定の居住要件満たすこと
    (購入後6か月以内に住み始め、その年の12月31日まで住み続けること。)

住宅ローン控除の控除率について

住宅ローン控除の控除率とは?

住宅ローン控除は、住宅ローン残高の一定割合を『所得税から直接引く(税額控除)』制度です。
つまり、計算で出た金額分、税金が安くなります。

控除率は住宅の取得時期や種類で変わりますが、令和4年以降の新制度ではおおむね次の通りです。

住宅の種類控除率控除期間
認定住宅(省エネ・長期優良など)年末残高の0.7%原則13年間
一般住宅(省エネ基準を満たさない)年末残高の0.7%原則10年間
中古住宅年末残高の0.7%原則10年間

※上限となる借入金残高にも制限があります(例:一般住宅は4,000万円、認定住宅は5,000万円など)。


具体例で計算してみる

条件

  • 一般住宅(省エネ基準なし)を令和6年に新築
  • 借入額:3,500万円
  • 金利:1.0%(35年ローン)
  • 年末残高(1年目):3,400万円
  • 控除率:0.7%
  • 控除期間:10年間
  • 所得税額:25万円/年(住民税額:20万円)

計算の流れ(1年目)

  1. 年末ローン残高 × 控除率
    3,400万円 × 0.7% = 23万8,000円
  2. 所得税から控除
    所得税額(25万円) > 控除額(23万8,000円)なので全額控除可能。
    25万円 − 23万8,000円 = 所得税残額 1万2,000円
  3. 住民税からの控除(※所得税で控除しきれない場合のみ)
    → 今回は所得税で全額控除できたため、住民税控除はなし。

仮に所得税が少ない場合(例:所得税10万円)

  • 所得税で10万円控除
  • 残り 23万8,000円 − 10万円 = 13万8,000円 を住民税から控除可能(上限あり:13万6,500円)
  • 住民税から控除できるのは上限までです。

控除率のポイントまとめ

  • 控除率は原則0.7%(以前は1.0%でしたが、令和4年以降引き下げ)
  • 控除額は年末ローン残高に控除率を掛けて計算
  • 所得税から引ききれない場合は住民税からも控除できる(ただし上限あり)
  • 年末ローン残高が大きい初期ほど控除額も大きく、年を追うごとに減っていく

住宅ローン控除適用条件以外のポイント

住宅ローン控除を利用する際に、適用条件以外で重要となるポイントを以下にまとめました。
「控除額」については前段で触れていますが、おさらいとして再度確認していきましょう。

控除額の計算ルール

  • 計算式
    年末ローン残高 × 控除率(原則0.7%)
  • 控除できるのは所得税額の範囲内(残りは住民税から控除可能、上限あり)
  • 控除額は年々減っていく(ローン残高が減るため)

控除期間と住宅の性能

  • 控除期間は住宅の種類・性能によって変わる
    • 認定住宅(長期優良住宅・ZEH等):最大13年
    • 一般住宅:最大10年
  • 「13年控除」は新築で省エネ性能を満たした場合のみ

控除対象となる借入金の上限

  • 上限額は住宅の性能や取得時期で異なる
    • 認定住宅:5,000万円
    • 一般住宅:4,000万円
  • 上限を超えるローンを組んでも、控除計算に使えるのは上限まで

繰上げ返済の注意点

  • 返済期間が10年未満になると、以後の控除は受けられない
  • 早期完済の予定がある場合は制度のメリットが減る可能性あり

他の税制優遇との併用

  • すまい給付金とは併用可能(ただし収入制限あり)
  • 住宅取得資金の贈与非課税制度とも併用可能(ただし住宅ローン控除額が減る場合あり)

控除を受けるための手続き

  • 初年度は確定申告が必要(給与所得者も)
  • 2年目以降は年末調整でOK(勤務先に必要書類を提出)

中古住宅や増改築の場合の特例

  • 中古住宅でも耐震基準を満たせば適用可能
  • バリアフリー改修、省エネ改修、耐震改修などの増改築も対象(条件あり)

所得税と住民税の関係

  • 控除しきれなかった分は翌年の住民税から引く(上限:13万6,500円)
  • 所得税額が少ない人でも、一定の節税効果は得られる

住宅ローン適用条件以外のポイントまとめ

住宅ローン控除を最大限活用するには、

  1. 条件を満たす住宅・借入期間を選ぶ
  2. 控除額・期間・上限を理解する
  3. 繰上げ返済や他制度との併用の影響を確認する
    が大切です。

まとめ・今回の学び

  • 住宅ローン控除の適用条件とは?
    →4つの要件(①住宅、②居住、③ローン、④所得)があります。
    面積:原則50㎡以上(条件付きで40㎡以上もOK)
        1/2以上を自己居住用とすること
    居住要件:購入後6か月以内に住み始め、その年の12月31日まで住み続けること。
    ローン返済期間10年以上
    所得:2,000万円以下
  • 住宅ローン控除の控除率について
    →控除率は0.7%_年末のローン残高に控除率を掛けた金額が控除額です。
    ①控除額は年末ローン残高に控除率0.7%を掛けて計算
    ②所得税から引ききれない場合は住民税からも控除可能(ただし上限あり)
    ③年末ローン残高が大きい初期ほど控除額も大きく、年を追うごとに減少
  • 住宅ローン控除適用条件以外のポイント
    →計算ルール、控除期間、借入金の上限、繰上返済の注意点、控除を受けるための手続きなどについて注意が必要です。
    ①条件を満たす住宅・借入期間を選択
    控除額・期間・上限を理解
    繰上げ返済や他制度との併用の影響を確認

住宅ローン控除に関する要点をまとめました。

住宅ローン絡みでわからないことがあれば、ここに立ち戻って確認しましょう‼️

次回予告:純損失の繰越控除について

青色申告をしていると、事業で赤字(損失)が出た年でも、他の所得と損益通算して税金を軽くできる場合があります。

しかし、それでも控除しきれない損失が残ったらどうなるのでしょうか?

実は、一定の条件を満たせば、その損失(純損失)を翌年以降に繰り越して、将来の黒字と相殺できる制度があります。

こいちろ
こいちろ

「繰越控除」ができる期間は何年間なのか、次回は詳しく解説します。


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