【誤解しやすい税制】新築戸建ての不動産取得税!課税標準から1,500万円控除は正しい?_間違いから学ぶFP3級_第60回

FP

マイホームを新築するときにかかる「不動産取得税」。

ただし、この税金には住宅取得を支援するための特例が設けられています。

特に新築住宅については、課税標準から一定額を控除できる仕組みがあり、試験でもよく問われる重要ポイントです。

今回は、その控除額に関する問題を見ていきましょう。

⭐️この記事を読んで得られる知識は、以下の3点です。

  • 不動産取得税とは?
    →土地や建物などの「不動産」を 取得したときに一度だけ課される税金 です。
  • 住宅の課税標準の特例とは?
    →住宅を取得する人の負担を軽くするために、一定の条件を満たせば 課税標準から控除できる特例 が用意されています。
  • 課税標準の特例(中古住宅の場合)
    →一定の条件を満たせば 固定資産税評価額から一定額を控除 できます。

📘 今回の分野:不動産の税金

今回学ぶ範囲は、不動産の税金である不動産取得税(地方税法)を取り上げます。

不動産を取得したものに対して、都道府県が課税する税金です。

非課税になる特例もあるので、しっかり把握して損しないようにしましょう‼️

❓️ 問題文の紹介

問題文の要約

新築の戸建て住宅の取得に対する不動産取得税の課税標準の算定上、『不動産取得税の課税標準の特例』の適用を受けることにより、固定資産税評価額から最高で1,500万円を控除することができる。

◯か✘か?

この問題文で問われているのは、おそらく「1500万円」の金額が合っているかどうか。

これらの金額は、FPの勉強をしているといたるところで見られますよね。

私は今回合っている(◯)問題文だと思いましたが、外してしまいました。

こいちろ
こいちろ

「何千万」という金額が色々出てきて、整理されていなかったんだと思います。

このあたりをしっかり理解して、次回は間違えないようにしたいと思います。

✅ 正解と解説の要点

問題文の要約

新築の戸建て住宅の取得に対する不動産取得税の課税標準の算定上、『不動産取得税の課税標準の特例』の適用を受けることにより、固定資産税評価額から最高で1,500万円を控除することができる。

◯か✘か?

正解:✘

正解は✗でした。

つまり、「1,500万円の控除」は間違っているということ。

関連する用語や式、背景も一緒に理解しておけば正答率は上がると思います。

こいちろ
こいちろ

正解のポイントを確認して、内容を理解していきましょう‼️

✅️ポイント解説

  • 新築住宅の不動産取得税については、課税標準の特例があり、固定資産税評価額から控除できる額は最高で1,200万円 です。
  • さらに 認定長期優良住宅の場合には1,300万円 に引き上げられます。
  • 「1,500万円」という数字は存在しないため、この問題文は誤りです。

🔍 深掘り考察!!

今回は、以下の点について解説していきたいと思います。

  • 不動産取得税とは?
    →土地や建物などの「不動産」を 取得したときに一度だけ課される税金 です。
  • 住宅の課税標準の特例とは?
    →住宅を取得する人の負担を軽くするために、一定の条件を満たせば 課税標準から控除できる特例 が用意されています。
  • 課税標準の特例(中古住宅の場合)
    →一定の条件を満たせば 固定資産税評価額から一定額を控除 できます。

不動産取得税とは?

不動産取得税(ふどうさんしゅとくぜい)とは、土地や建物などの「不動産」を 取得したときに一度だけ課される税金 です。

ここでいう「取得」とは、単に「購入」だけでなく、

  • 新築して建てた場合
  • 贈与を受けた場合
  • 相続で取得した場合(一部例外あり)
    も含まれます。

つまり、「不動産を手に入れたときにかかる地方税」なのです。


誰に納めるの?

国ではなく 都道府県 に納めます。

固定資産税が「市町村」に払うのと違って、納税先が「都道府県」になる点が特徴です。


どのくらいの税率?

不動産取得税の税率は次の通りです。

  • 土地・住宅用の建物:3%
  • 住宅以外の建物(店舗・事務所など):4%

(ただし、特例や軽減措置が適用されることが多いです。)


計算の仕組み

計算式はシンプルで、

👉 固定資産税評価額 × 税率 = 不動産取得税

となります。

ただし、住宅を取得した場合には、課税標準(計算のもとになる金額)から 1,200万円(長期優良住宅なら1,300万円)を控除 できる特例があります。


不動産取得税_具体例

例えば:

  • 新築の戸建住宅を建てた
  • 固定資産税評価額:2,500万円
  • 認定長期優良住宅ではない(一般の新築住宅)

この場合の計算はこうなります。

  1. 課税標準の特例を適用:
     2,500万円 − 1,200万円 = 1,300万円
  2. 税率をかける:
     1,300万円 × 3% = 39万円
こいちろ
こいちろ

この人が納める不動産取得税は 39万円 です。

もし長期優良住宅なら、控除額が1,300万円になるので、
2,500万円 − 1,300万円 = 1,200万円
1,200万円 × 3% = 36万円
となり、税額は少し安くなります。


不動産取得税_ポイントのまとめ

  • 不動産取得税は「不動産を手に入れたときに1度だけ払う税金」。
  • 納める先は 都道府県
  • 計算は「固定資産税評価額 × 3%(住宅の場合)」。
  • 新築住宅なら課税標準から 1,200万円(長期優良住宅は1,300万円)控除

住宅の課税標準の特例とは?

「課税標準(かぜいひょうじゅん)」とは、税額を計算するための 基準となる金額 のことです。

不動産取得税の場合は 固定資産税評価額 が課税標準になります。

しかし、住宅を取得する人の負担を軽くするために、一定の条件を満たせば 課税標準から控除できる特例 が用意されています。

これが「住宅の課税標準の特例」です。


控除できる金額

住宅の新築または取得の際に適用される控除額は次の通りです。

  • 一般の新築住宅:固定資産税評価額から 最高1,200万円 控除
  • 認定長期優良住宅:固定資産税評価額から 最高1,300万円 控除
こいちろ
こいちろ

この控除後の金額を基準にして、不動産取得税を計算します。


適用の条件

この特例を使うためには、次のような条件があります。

  1. 自分や家族が居住する住宅であること(投資用や事業用はNG)
  2. 床面積が50㎡以上240㎡以下(マンションの場合も同じ)
  3. 新築または取得から一定の期間内に入居すること

具体例

例1:一般の新築戸建て住宅

  • 固定資産税評価額:2,500万円
  • 控除額:1,200万円
  • 課税標準:2,500万円 − 1,200万円 = 1,300万円
  • 税率3%を適用 → 1,300万円 × 3% = 39万円

例2:認定長期優良住宅

  • 固定資産税評価額:2,500万円
  • 控除額:1,300万円
  • 課税標準:2,500万円 − 1,300万円 = 1,200万円
  • 税率3%を適用 → 1,200万円 × 3% = 36万円

ポイントの整理

  • 課税標準の特例は「固定資産税評価額から控除できる制度」。
  • 一般住宅は 1,200万円、長期優良住宅は 1,300万円
  • 条件は「自己居住用」「床面積50~240㎡」。
  • 控除による税負担を大幅に軽減できる。

この「課税標準の特例」は不動産取得税の一番重要なポイントのひとつです。

こいちろ
こいちろ

試験でもよく「1,200万円か1,300万円か」「長期優良住宅はどうか」などが問われます。

課税標準の特例(中古住宅の場合)

中古住宅を購入した場合でも、一定の条件を満たせば 固定資産税評価額から一定額を控除 できます。
これが「中古住宅における課税標準の特例」です。

ただし、新築のように一律1,200万円ではなく、築年数に応じて控除額が変動 します。


適用の条件

中古住宅でこの特例を受けるためには、新築とは少し違う条件があります。

  1. 自己の居住用であること
  2. 床面積が50㎡以上240㎡以下であること
  3. 耐震基準に適合していること
    • 昭和57年(1982年)1月1日以降に建築された住宅は「新耐震基準」に基づいているため、そのまま適用OK。
    • 昭和56年以前の住宅は、耐震改修工事を行い、耐震基準適合証明書が必要です。

控除額(築年数に応じたルール)

  1. 昭和57年(1982年)1月1日以降に新築された住宅(新耐震基準適合)
    → 控除額は 最高1,200万円
  2. 昭和56年(1981年)12月31日以前に新築された住宅
    • 原則、控除は受けられない
    • ただし、耐震改修工事を行い、耐震基準適合証明書 を取得すれば、同じく 最高1,200万円の控除 を適用できる
こいちろ
こいちろ

つまり、「古い住宅=控除額が少ない」というよりも、「耐震性が確保されているかどうか」で控除の可否が変わるイメージです。


具体例

例1:築20年(平成10年築)の中古住宅を購入

  • 固定資産税評価額:1,800万円
  • 控除額:1,200万円(新耐震基準のため)
  • 課税標準:1,800万円 − 1,200万円 = 600万円
  • 税率3% → 18万円

例2:築50年(昭和48年築)の中古住宅を購入、耐震改修なし

  • 固定資産税評価額:1,800万円
  • 控除なし(耐震基準を満たさない)
  • 課税標準:1,800万円
  • 税率3% → 54万円

例3:築50年(昭和48年築)の中古住宅を購入、耐震改修済み

  • 固定資産税評価額:1,800万円
  • 控除額:1,200万円(耐震適合証明あり)
  • 課税標準:600万円
  • 税率3% → 18万円

ポイントの整理

  • 築年数=直接控除額が変わるのではなく、耐震基準の適合状況によって控除可否が変わる
  • 新耐震(昭和57年以降):最高1,200万円控除OK。
  • 旧耐震(昭和56年以前):原則対象外。ただし改修+証明で同額控除OK。

まとめ・今回の学び

  • 不動産取得税とは?
    →土地や建物などの「不動産」を 取得したときに一度だけ課される税金 です。
     →納め先は都道府県です。
      固定資産税評価額x3%で計算されます。
  • 住宅の課税標準の特例とは?
    →住宅を取得する人の負担を軽くするために、一定の条件を満たせば 課税標準から控除できる特例 が用意されています。
    →一般住宅は 1,200万円、長期優良住宅は 1,300万円を控除出来ます。
  • 課税標準の特例(中古住宅の場合)
    →一定の条件を満たせば 固定資産税評価額から一定額を控除 できます。
    新耐震かどうかが控除できるかどうかの境界線です。

今回は不動産取得税とそれに関わる特例について解説しました。

具体例も挙げて解説しているのでイメージしやすくなっているのではないでしょうか。

今後不動産を購入予定の方の参考になればと思います。

こいちろ
こいちろ

繰り返し確認して、自分の知識にしていきましょう‼️

次回予告:固定資産税の減税

次回は、固定資産税の減額措置について取り上げます。

テーマは 「新築住宅の固定資産税の減額」 です。

具体的には、認定長期優良住宅ではない2階建ての新築住宅において適用される軽減措置について。問題文は次の通りです。

「認定長期優良住宅ではない2階建ての新築住宅に係る固定資産税については、『新築された住宅に対する固定資産税の減額』の適用を受けることにより、新たに固定資産税が課されることとなった年度から3年度分に限り、床面積【□1】m²までの部分に相当する税額が【■2】に減額される。□1,■2に入る数値はいくらか?」

新築住宅を取得するときに意外と見落とされやすいのが、この固定資産税の減額制度です。

こいちろ
こいちろ

次回は「何㎡までが対象になるのか?」「どの程度の割合で減額されるのか?」を具体例とあわせてわかりやすく解説します。

お楽しみに‼️


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