マイホームを建てるとき、「土地代」や「建築費」のほかにも、実はさまざまな税金がかかります。
その代表格のひとつが「不動産取得税」です。
ただ、この税金には住宅を取得する人の負担を軽くするための特例が用意されていて、新築住宅なら課税標準から大きな金額を控除できます。
FP3級の試験では、この「控除できる金額がいくらなのか」がとてもよく狙われます。
「たしか何千万円か控除できたはず…でも、いくらだったかな?」と、数字があいまいになっていませんか?
今回はその控除額の正体を、計算の具体例とあわせて一緒にスッキリ整理していきましょう!
⭐️ この記事を読むと、こんな疑問が解決します。
- 不動産取得税って、どんな税金?
→ 土地や建物などの不動産を「取得したとき」に1回だけかかる地方税です。 - 新築住宅の課税標準の特例って何?
→ 一定の条件を満たせば、課税標準から一定額を控除できる、
税負担を軽くする仕組みです。 - 控除できる金額はいくら?
→ 一般の新築住宅は「最高1,200万円」、認定長期優良住宅は「最高1,300万円」です。
前回は、農地を宅地などに変える「農地転用」の手続きについて学びました。
農地転用が「不動産を使うときのルール」だとすれば、
今回の不動産取得税は「不動産を手に入れたときにかかるお金」の話。
同じ不動産分野でも切り口が変わります。
前回の記事もあわせて読むと、不動産分野の全体像がつかみやすくなりますよ。
前回の記事はこちら
▶【農地転用の手続き】許可と届出はどっちが必要?市街化区域の特例をやさしく解説_間違いから学ぶFP3級_第59回
📘 今回の分野:不動産にかかる税金(不動産取得税)

今回学ぶのは、不動産に関する税金のうち「不動産取得税」です。
これは地方税法にもとづく税金で、土地や建物などの不動産を取得した人に対して、
都道府県が課税します。
住宅を取得する人向けに大きな特例が用意されているので、
しっかり理解して損をしないようにしましょう‼️
❓️ 問題文の紹介
新築の戸建て住宅の取得に対する不動産取得税の課税標準の算定について、次の記述は正しいでしょうか?
- 「不動産取得税の課税標準の特例」の適用を受けることにより、
- 固定資産税評価額から、
- 最高で1,500万円を控除することができる。
◯か✘か?
不動産の特例は、「○○万円控除」という金額がそのまま正誤のポイントになることがよくあります。
数字がたくさん出てくると、「この制度はいくらだったか…」と迷ってしまいませんか?
うろ覚えのままだと、ありそうな数字につい引っかかってしまいます。

わたしも「何千万円」という数字がたくさん出てきて、
頭の中で整理しきれていませんでした。
今回をきっかけに、不動産取得税の金額をしっかり固めておきたいと思います。
✅ 正解と解説の要点:1,500万円控除は正しい?

新築の戸建て住宅の取得に対する不動産取得税の課税標準の算定について、次の記述は正しいでしょうか?
- 「不動産取得税の課税標準の特例」の適用を受けることにより、
- 固定資産税評価額から、
- 最高で1,500万円を控除することができる。
◯か✘か?
正解:✘
正しくは、一般の新築住宅で控除できるのは 最高1,200万円 です。
✅️ポイント解説
- 一般の新築住宅 … 課税標準(固定資産税評価額)から 最高1,200万円 控除
- 認定長期優良住宅 … 最高1,300万円 控除(令和8年3月31日までの取得)
- 「1,500万円」という控除額は存在しません
つまり、問題文の「1,500万円」という数字が間違っているため、答えは✘になります。
試験では「1,200万円」と「1,300万円」を入れ替えてくる出題や、
今回のように「ありそうでない数字(1,500万円)」を混ぜてくる出題が定番です。
「一般=1,200万円/長期優良=1,300万円」とセットで覚えておくと、
ひっかけにも対応しやすくなります。

数字をひとつ覚えるだけでなく、「なぜその金額なのか」「どう計算に使うのか」まで理解しておくと忘れにくくなります。一緒に深掘りしていきましょう‼️
📚 出典・参考
- 総務省 地方税制度|不動産取得税
- 国土交通省 住宅:不動産取得税に係る特例措置
関連記事の紹介
不動産取得税は「不動産にかかる税金」の入り口です。ほかの不動産・税金の論点とあわせて学ぶと、知識が体系的につながっていきます。
土地の評価額がどう決まるのかを知っておくと、課税標準の理解が深まります。

不動産にかかるルールという意味では、建物を「建てるとき」の制限も知っておくと、不動産分野の出題パターンが見えてきます。

不動産を「売ったとき」にかかる税金も、あわせて確認しておくと税金の全体像がつかめます。

▶ 課税標準のもとになる「固定資産税評価額」とは
不動産取得税の課税標準は、原則としてこの「固定資産税評価額」です。
評価額がどう決まるか(3年ごとの評価替え・公示価格の70%)を押さえると、取得税の計算もブレなくなります。


一気に全部読まなくて大丈夫です。
気になった回から、ゆっくり覗いてみてくださいね☕
🔍 不動産取得税のしくみについて_深掘り考察!!
ここからは、不動産取得税の中身をもう少し詳しく見ていきます。
今回は次の3つを順番に解説します。
- 不動産取得税とは?
- 新築住宅の課税標準の特例とは?
- 課税標準の特例(中古住宅の場合)
不動産取得税とは?基本のしくみをやさしく解説

不動産取得税とは、土地や建物などの「不動産」を 取得したときに1回だけ課される税金 です。
ここでいう「取得」には、お金を払って買う場合だけでなく、
- 自分で家を新築した場合
- 贈与で不動産をもらった場合
- 増築・改築をした場合(増えた部分)
なども含まれます(なお、相続による取得は非課税です)。
例えるなら、お店で買い物をしたときの「レジ」のようなもの。
不動産を手に入れた“その瞬間”にだけ発生する税金で、毎年かかる固定資産税とは性格が違います。
誰に納める?納税先は「都道府県」
不動産取得税は、国ではなく 都道府県 に納めます。
似た名前の「固定資産税」が市町村に納める税金なのと対照的です。
「取得税=都道府県」「固定資産税=市町村」とセットで覚えておくと混同しません。
税率は何%?住宅は3%
不動産取得税の税率は次のとおりです。
| 取得した不動産 | 税率 |
|---|---|
| 土地・住宅用の建物 | 3% |
| 住宅以外の建物(店舗・事務所など) | 4% |
本来の税率(本則)は4%ですが、住宅を取得しやすくするための特例で、土地と住宅用の建物は3%に軽減されています(令和9年3月31日までの取得)。
計算のしくみ|固定資産税評価額がベース
不動産取得税の計算式はシンプルです。
👉 課税標準(固定資産税評価額)× 税率 = 不動産取得税
「課税標準」とは、税金を計算するもとになる金額のこと。
不動産取得税では、原則として 固定資産税評価額 が課税標準になります(実際の購入価格ではない点に注意です)。
そして住宅を取得した場合は、この課税標準から大きな金額を控除できる特例があります。
これが次に説明する「課税標準の特例」です。
新築住宅の課税標準の特例とは?控除額1,200万円のしくみ

「課税標準の特例」とは、税額を計算するもとになる金額(課税標準)から、
一定額を差し引ける制度です。
新築住宅を取得した場合、課税標準である固定資産税評価額から、次の金額を控除できます。
- 一般の新築住宅 … 最高1,200万円
- 認定長期優良住宅 … 最高1,300万円(令和8年3月31日までの取得)
例えるなら、買い物のときに使える「割引クーポン」のようなもの。
1,200万円ぶんのクーポンを評価額から差し引いてから、税率3%をかけるイメージです。
特例を受けるための条件|床面積がポイント
新築住宅でこの特例を使うための主な条件は、床面積です。
- 床面積が 50㎡以上240㎡以下 であること
- (マンションなど一戸建て以外で、かつ貸家用の場合は 40㎡以上 240㎡以下)
ここで、よく誤解されるポイントがあります。
新築住宅の課税標準の特例は、自分で住む家(自己居住用)に限られません。
賃貸用のアパートなどでも、床面積の条件を満たせば適用されます(その場合、床面積の下限が40㎡になります)。
「自己居住用に限る」のは、次に説明する中古住宅のほうです。
具体例で計算してみよう
例:一般の新築戸建て住宅を建てた場合
- 固定資産税評価額:2,500万円
- 控除額:1,200万円
- 課税標準:2,500万円 − 1,200万円 = 1,300万円
- 不動産取得税:1,300万円 × 3% = 39万円
もし認定長期優良住宅なら、控除額が1,300万円に増えるので、
- 課税標準:2,500万円 − 1,300万円 = 1,200万円
- 不動産取得税:1,200万円 × 3% = 36万円
となり、税額が少し軽くなります。
ポイントの整理
- 課税標準の特例は「固定資産税評価額から控除できる制度」
- 一般の新築住宅は 1,200万円、認定長期優良住宅は 1,300万円
- 主な条件は「床面積50㎡(貸家用は40㎡)以上240㎡以下」
- 新築住宅は自己居住用に限らず、賃貸用でも適用される
課税標準の特例(中古住宅の場合)|控除額は新築時期で変わる

中古住宅(既存住宅)を取得した場合でも、
一定の条件を満たせば固定資産税評価額から一定額を控除できます。
ただし、新築住宅のように「一律1,200万円」ではなく、
その住宅が新築された時期に応じて控除額が変わるのがポイントです。
新しく建てられた住宅ほど控除額が大きく、最高で1,200万円です。
中古住宅の特例を受けるための条件
中古住宅でこの特例を受けるには、新築とは少し違う条件があります。
- 取得した人が自分で住む住宅であること(中古住宅は自己居住用が条件)
- 床面積が 50㎡以上240㎡以下 であること
- 一定の 耐震基準に適合 していること
- 昭和57年(1982年)1月1日以降に新築された住宅は、新耐震基準に基づくものとしてそのまま対象になります。
- 昭和56年以前に新築された住宅は、耐震基準に適合していることの証明(耐震基準適合証明書など)があれば対象になります。
「耐震基準を満たすか」と「控除額がいくらか」は別の話
ここは混同しやすいので整理します。
- 特例が使えるかどうか … 耐震基準に適合しているかで決まる
- 控除額がいくらか … その住宅が新築された時期で決まる(最高1,200万円)
たとえるなら、「割引クーポンを使えるお店かどうか(耐震基準)」と
「クーポンの金額がいくらか(新築時期)」は別々のチェック項目、ということです。
FP3級では細かい金額表まで覚える必要はなく、「中古住宅は新築時期に応じて控除額が変わる(最高1,200万円)」と理解できていれば十分です。
具体例で計算してみよう
例1:平成10年に新築された中古住宅を、自己居住用に取得
- 固定資産税評価額:1,800万円
- 新耐震基準に適合 → 特例の対象
- 控除額(新築時期に応じた額):最高1,200万円
- 課税標準:1,800万円 − 1,200万円 = 600万円
- 不動産取得税:600万円 × 3% = 18万円
例2:昭和48年に新築された中古住宅を取得、耐震改修なし
- 耐震基準を満たさず、証明もない → 特例の対象外
- 課税標準:1,800万円(控除なし)
- 不動産取得税:1,800万円 × 3% = 54万円
同じ評価額の住宅でも、特例が使えるかどうかで税額が大きく変わるのがわかりますね。
ポイントの整理
- 中古住宅も課税標準の特例の対象になる
- 控除額は「新築された時期」で変わる(最高1,200万円)
- 特例を使えるかどうかは「耐震基準への適合」で決まる
- 自己居住用であることが条件(新築住宅との違い)
📚 出典・参考
- 総務省 地方税制度|不動産取得税
- 国土交通省 住宅:不動産取得税に係る特例措置
⭐️ ここまでの内容を、もう少し具体的に整理しておきましょう。
- 不動産取得税は、不動産を取得したときに 1回だけ かかる地方税で、納め先は 都道府県。計算は「固定資産税評価額 × 税率(住宅は3%)」。
- 新築住宅の課税標準の特例では、固定資産税評価額から 一般住宅は1,200万円、認定長期優良住宅は1,300万円 を控除できる。
条件は「床面積50㎡(貸家用は40㎡)以上240㎡以下」で、自己居住用に限らない。 - 中古住宅の課税標準の特例では、控除額が 新築された時期に応じて変動(最高1,200万円)。自己居住用 であることと、耐震基準への適合 が条件。
🧐 よくあるケアレスミス:不動産取得税の課税標準の特例
不動産取得税の特例は、数字や条件の「思い込み」でミスしやすい論点です。
よくある3つのパターンを見ておきましょう。
ミス①:控除額を「1,500万円」と覚えてしまう
なぜ間違えるのか?
FPの学習では「1,000万円」「1,200万円」「1,300万円」「3,000万円」など、
似たような金額がたくさん登場します。
記憶があいまいだと、「たしか1,500万円くらいだったような…」と、
実在しない数字を選んでしまいます。
正しい考え方
一般の新築住宅の控除額は 1,200万円、認定長期優良住宅は 1,300万円。
この2つをセットで覚え、「1,500万円という控除額は存在しない」とハッキリ意識しておきましょう。

わたしもこの問題で「1,500万円」を◯にして外しました。
数字は“なんとなく”ではなく、ペアで正確に覚えるのが大事ですね。
ミス②:「新築住宅の特例は自己居住用だけ」と思い込む
なぜ間違えるのか?
「住宅の特例=マイホームのための制度」というイメージが強いため、
「自分で住む家でないと使えない」と思い込みがちです。
正しい考え方
新築住宅の課税標準の特例は、自己居住用に限らず、賃貸用の住宅でも適用されます。
違うのは床面積の条件で、自己居住用などは50㎡以上、
貸家用は40㎡以上(いずれも240㎡以下)です。
「自己居住用に限る」のは中古住宅の特例のほうだと整理しておきましょう。

「新築は用途を問わない・中古は自己居住用」。
この違いは試験でも問われやすいので、要チェックです。
ミス③:中古住宅も「一律1,200万円」と思い込む
なぜ間違えるのか?
新築住宅の「1,200万円」が強く印象に残るため、
中古住宅もまったく同じ金額を控除できると思い込んでしまいます。
正しい考え方
中古住宅の控除額は、その住宅が新築された時期に応じて変動 します(最高1,200万円)。
古い時期に建てられた住宅ほど控除額は小さくなります。
さらに「特例を使えるか」は耐震基準への適合で決まる、という別の条件もあります。

「金額は新築時期」「使えるかは耐震基準」。
中古住宅はこの2点を分けて考えると混乱しません。
📋 ケアレスミスまとめ
| よくある誤解 | 正しい考え方 |
|---|---|
| 控除額は最高1,500万円 | 一般の新築住宅は最高1,200万円 (認定長期優良住宅は1,300万円) |
| 新築住宅の特例は自己居住用だけ | 新築住宅は賃貸用でも適用される (床面積の下限が40㎡) |
| 中古住宅も一律1,200万円 | 中古住宅は新築時期に応じて控除額が変動 (最高1,200万円) |
まとめ・今回の学び:不動産取得税の課税標準の特例
今回学んだことを振り返りましょう📝
⭐️ 【得られる知識】
- 不動産取得税の基本のしくみ
→ 不動産を取得したときに1回だけかかる地方税。
納め先は都道府県で、「固定資産税評価額 × 3%(住宅の場合)」で計算します。 - 用語の違い(新築と中古)
→ 新築住宅の控除額は「一般1,200万円・認定長期優良住宅1,300万円」。
中古住宅は新築時期に応じて控除額が変わります。 - 試験で狙われるポイント
→ 「1,200万円か1,300万円か」
「1,500万円というニセの数字」
「自己居住用に限るのは新築か中古か」が頻出です。 - 実生活への応用
→ マイホームを新築・購入するとき、この特例で不動産取得税が大きく軽くなり、評価額によっては税額が0円になることもあります。
不動産取得税の特例は、「課税標準の特例」という少しかための言葉ですが、中身は「固定資産税評価額から一定額を割り引いてくれる制度」とイメージすればシンプルです。
そして今回いちばん大事なのは、「住宅の特例=マイホーム専用」という思い込みを外すこと。
新築住宅の特例は賃貸用でも使え、自己居住用に限られるのは中古住宅のほうでした。
また、控除額も「新築は1,200万円・中古は新築時期で変動」と、新築・中古で性格が違います。
数字と条件をひとつずつ正確に押さえれば、不動産取得税はむしろ得点源にできる分野です。

数字が多くて大変に感じる分野ですが、「ペアで覚える」「新築と中古を分ける」を意識すれば大丈夫。繰り返し見直して、自分の知識にしていきましょう‼️
次回予告:新築住宅の固定資産税の減額

次回は、不動産を「持っているとき」に毎年かかる 固定資産税 の減額措置を取り上げます。
テーマは 「新築住宅の固定資産税の減額」。
新築住宅は、一定期間、固定資産税が軽くなる仕組みがあります。
次回のポイントは2つです。
- 何㎡までの部分 が減額の対象になるのか
- 税額が どのくらいの割合 まで減額されるのか
「新築したら数年間は固定資産税が安くなる」と聞きますが、
その対象範囲と割合は正確に言えるでしょうか?
次回、具体例とあわせてわかりやすく解説します。
次回の記事はこちら
▶【固定資産税】新築住宅は3年間半額?「120㎡まで・1/2減額」の仕組みを徹底解説!_間違いから学ぶFP3級_第61回

不動産取得税は「取得したとき」、固定資産税は「持っている間」。
税金がかかるタイミングの違いも意識しながら、次回もお楽しみに‼️


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