電車やバスで通勤している方、毎日の定期代って結構な金額になりますよね。
「会社から通勤手当をもらってるけど、これって税金かかってるの?」と気になったことはありませんか?
前回は老齢年金の課税ルールについて学びましたが、所得には『課税されるもの』と『非課税のもの』があります。今回は身近な「通勤手当」の非課税ルールについて深掘りしていきますね。
実は通勤手当って、ある一定の金額までは税金がかからない仕組みになっているんです。
ただし、電車・バス通勤とマイカー通勤では非課税の上限額がまったく違うことをご存じでしたか?
知っているか知らないかで、給与明細の見え方も変わってきますよ。
建築士として現場や事務所への移動が多いわたしにとっても、通勤費の話は他人事ではありません。
それでは早速、通勤手当の非課税ルールを一緒に見ていきましょう‼️
⭐️この記事を読んで得られる知識は、以下の3点です。
- 通勤手当の非課税限度額(月額)はいくらなのか?
→ 公共交通機関なら月15万円まで非課税です。 - マイカー通勤では非課税限度額は異なるのか?
→ 異なります。
通勤距離に応じた定額制で、最大24,400円までです。 - 通勤手当の他に、非課税となる所得の種類は何があるのか?
→ 通勤手当を含めて、代表的な5種類を紹介します。
前回(第36回)では、老齢年金が雑所得として課税されるルールを学びました。
老後の生活を支える年金にも、しっかり税金のルールが定められていることを確認しましたね。
年金が「老後のお金」だとすると、
今回のテーマである 通勤手当 は「働いている今のお金」に直結する話です。
毎日の通勤費に税金がかかるのか、それとも非課税なのか
——意外と知られていないルールを掘り下げていきます。
前回の記事はこちら
▶【公的年金 雑所得】老齢年金に税金がかかる仕組みと158万円ルールを徹底整理_間違いから学ぶFP3級_第36回

前回は老後、今回は現役世代の話。
どの世代でも税金のルールは身近にあるんですね‼️
📘 今回の分野:タックスプランニング/税制と所得税の基礎

今回学習する範囲は、タックスプランニングの税制と所得税の基礎になります。
所得を得れば、税金がかかります。
ただし、「非課税となる所得」が存在しています。

今回はこの「非課税となる所得」について、
通勤手当を切り口に掘り下げていきましょう‼️
❓️ 問題文の紹介
- 電車・バス等の交通機関を利用して通勤している給与所得者が、
- 勤務先から受ける通勤手当は、
- 所得税法上、月額10万円を限度に非課税とされる。
この記述は○か×か?

わたしも給与明細を見るたびに
「通勤費って税金引かれてるのかな?」と気になっていました。
今回の問題文の金額、果たして合っているのでしょうか🤔
✅ 正解と解説の要点
- 電車・バス等の交通機関を利用して通勤している給与所得者が、
- 勤務先から受ける通勤手当は、
- 所得税法上、月額10万円を限度に非課税とされる。
この記述は○か×か?
→正解:✘(誤り)
今回の問題文は誤りでした。
どこが誤りだったのか、ポイント解説で見ていきましょう。
✅️ポイント解説
電車やバスなどの公共交通機関を使って通勤している人が、会社から受け取る通勤手当については、
月額15万円までが非課税と所得税法で定められています。
つまり、問題文の「10万円」は誤りで、正しくは「15万円」が非課税限度額です。
📊 ポイントの整理
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 電車・バス等の公共交通機関を利用する給与所得者 |
| 非課税限度額 | 月額15万円まで |
| 15万円超の扱い | 超えた部分のみ課税対象 |
たとえば、月の定期代が13万円なら全額非課税。
月16万円なら、超えた1万円分だけが課税対象になる、というイメージです。

ここで覚えておきたいのは、「15万円を超えた分だけ」が課税対象という点です。
「15万円超えたら全部課税」と勘違いしやすいので注意しましょう⚠️
📚 関連記事のご紹介
今回の「非課税所得」「所得税」のテーマをさらに深めたい方は、以下の記事もあわせてどうぞ。
入院給付金も「非課税」となる代表例の一つです。
健康保険や医療系の給付金がなぜ非課税なのか、深く知りたい方はこちらから。

外貨預金の為替差益は「雑所得」として課税されます。
所得区分や課税のされ方を比較したい方はこちらの記事もぜひ。

死亡保険金は契約者と受取人の関係で税区分が変わります。
所得税の世界の「税区分」をもう少し広く知りたい方にオススメ。


「非課税」「所得区分」のテーマは、他の回でも繰り返し出てきます。
横のつながりで読むと、FP3級の知識がグッと立体的になりますよ‼️
- 【入院給付金は非課税!?】死亡保険金との違いも解説(第23回)
- 【外貨預金の為替差益】雑所得として課税される理由(第32回)
- 【死亡保険金の税区分】契約者と受取人で変わる課税ルール(第22回)
🔍 深掘り考察!!
ここから深掘り考察に入ります。
今回深掘りするのは以下の3点です。
- 通勤手当の非課税限度額(月額)はいくらなのか?
- マイカー通勤では非課税限度額は異なるのか?
- 通勤手当の他に、非課税となる所得の種類は何があるのか?
一つずつ見ていきましょう‼️
通勤手当の非課税限度額(月額)はいくらなのか?
▶ 公共交通機関(電車・バス等)を利用する場合
月額15万円までが非課税です。
たとえば、定期代が月に13万円かかる場合、それは全額が非課税。
でも、月に16万円かかる場合は、「超えた1万円分」だけが課税されるというルールです。
💡 イメージで理解しよう:「プロジェクト予算」のような考え方
建築の世界では、プロジェクトごとに予算枠が決まっています。
たとえば「設計費は500万円まで」と決められていれば、
500万円を超えた分は別途請求になりますよね。
通勤手当の非課税ルールも同じ仕組みです。
- 通勤手当の「非課税予算枠」は月15万円。
- 13万円の定期代なら予算内に収まるので全額非課税。
- 16万円かかれば、予算超過分の1万円だけが課税対象。
国が「ここまでは税金をかけませんよ」と決めた予算枠、というイメージです。
✅ なぜ15万円まで非課税なの?(意図と背景)
「会社に行くのに自腹切るのってどうなの?」
「全額出してくれてもいいじゃん!」
という声が聞こえてきそうですね。笑
私も人ごとではないので笑ってられないのですが、ルールなのでしようがないです。
しっかりルールを把握して、損しないよう行動しましょう‼️
以降に意図と背景をまとめていますので、一緒に確認していきましょう。
■ 1. 通勤は”仕事をするための必要経費”だから
毎日職場に行くためには、電車やバス、場合によっては自家用車を使う必要がありますよね。
つまり、通勤費は仕事の一部にかかるコストです。
もしこの費用にまで税金がかかってしまうと、働く人の負担が増えてしまうんです。
そこで「ある程度までは税金をかけないようにしよう」という配慮がなされました。
■ 2. 実際の交通費の高騰に対応するため
以前は月額10万円が上限でしたが、都市部での交通費の高騰や、長距離通勤の増加に対応するため、2016年(平成28年)に15万円へ引き上げられました。
今では、郊外から都心への通勤にかかる定期代が10万円を超えるケースも珍しくありません。
そういった現実に即した見直しが行われたわけです。
■ 3. 社会的な公平性の確保
たとえば、家の近くで働ける人と、
遠くまで通勤しなければならない人では、通勤費がまったく違います。
でも、それは個人の努力や選択ではどうにもならない場合もありますよね。
だからこそ、通勤距離の違いで税負担に差が出すぎないように、非課税枠が設けられているんです。
🎓 非課税限度額_まとめ
- 公共交通機関を使う場合、通勤手当は月15万円まで非課税
- 「通勤は仕事に必要なコスト」という考え方が背景にある
- 社会的な公平性や現実の通勤事情に対応するための制度
マイカー通勤では非課税限度額は異なるのか?

✅ 非課税限度額:通勤距離に応じて金額が決まっている
ガソリン代や車の維持費には個人差があり、実際の支出がつかみにくいため、
片道の通勤距離ごとに定額で非課税限度額が定められています。
📊 距離別・非課税限度額(月額)
| 通勤距離(片道) | 非課税限度額(月額) |
|---|---|
| 2km未満 | 非課税なし |
| 2km~10km未満 | 4,200円 |
| 10km~15km未満 | 7,100円 |
| 15km~25km未満 | 12,900円 |
| 25km~35km未満 | 18,700円 |
| 35km以上 | 24,400円 |
※この金額は、勤務日数が「1か月に15日以上」の場合の目安です。
勤務日数が少ない場合は、金額が按分されることもあります。
💡 イメージで理解しよう:「出張旅費の精算」のような考え方
会社の出張費を思い浮かべてみてください。
- 電車・新幹線代:領収書を提出して実費精算(実際にかかった金額が支給される)
- 食事代・雑費:1日いくらと決まった日当(定額)で支給される
なぜ分かれているのかというと、電車代は誰でも金額が把握できる一方、
食事代や雑費は人によって使い方がバラバラで管理しきれないからです。
通勤手当のルールも、これとそっくりな仕組みになっています。
- 公共交通機関:定期代という明確な実費があるので「実費ベースで月15万円まで」
- マイカー通勤:ガソリン代や車種、メンテナンス費が人それぞれなので「距離別の定額制」
「金額が把握できるかどうか」で精算ルールが変わる、と覚えておくとスッキリ理解できます‼️
❓ なぜ非課税限度額が違うの?
✅ 公共交通機関は「実費ベース」だから
実際にかかった定期券代などが明確にわかるため、
高めの上限(月15万円)が認められています。
✅ マイカーは「実費が人によって違いすぎる」から
ガソリン代や車種、メンテナンス費用などがバラバラなので、
公平性を保つために距離に応じた「定額」ルールが設けられています。
🎓 公共交通機関とマイカーの比較_まとめ
| 通勤手段 | 非課税限度額 |
|---|---|
| 公共交通機関(電車・バス) | 月額 15万円まで実費ベース |
| マイカー・バイク通勤 | 片道距離に応じて 定額制(最大24,400円) |
「マイカーでもバスでも、かかった分は支給してよ。」
と思うかもしれませんが、管理する側の立場から見ると際限がなく、管理しきれないと思います。
第三者的な視点を持って、物事を見ると理解しやすいかもしれません。
通勤手当の他に、非課税となる所得の種類は何があるのか?

🌟 主な非課税所得の例を以下にざっくり紹介していきます。
① 通勤手当(※上限あり)
※今回学んだ範囲です。
電車やバスでの通勤手当は、月15万円まで非課税。
マイカー通勤は距離に応じた定額制ですね(さきほど説明した内容です!)。
② 祝い金・見舞金など(一定の範囲で)
結婚祝いや災害見舞金などは、社会通念上相当とされる範囲内で非課税です。
※高額すぎると課税対象になることもあるので注意!
③ 健康保険や雇用保険からの給付金
- 傷病手当金
- 出産手当金
- 失業給付(失業保険)
これらはすべて非課税です。
困っているときの支援には税金をかけないという配慮です。
④ 遺族年金・障害年金(公的年金の一部)
老齢年金とは違って、遺族や障害に関する年金は非課税となります。
⑤ 学資金や奨学金
文部科学省などから支給される奨学金や、
会社の子ども向け学資援助金なども条件付きで非課税です。
💡 イメージで理解しよう:「電車の優先席」のような考え方
電車の優先席は、お年寄り・妊婦さん・障害のある方など、
配慮が必要な人のために空けておく座席ですよね。
「健康な大人が座っちゃダメ」というルールではなく、
「特に必要な人を優先しましょう」という社会的な配慮です。
税金の世界の非課税所得も、これとよく似た考え方です。
- 病気・ケガ・失業時:傷病手当金・出産手当金・失業給付 → 生活が大変な人への配慮
- 遺族・障害:遺族年金・障害年金 → 困難を抱える人への配慮
- 冠婚葬祭:祝い金・見舞金 → 社会的な慣習への配慮
- 学び:学資金・奨学金 → 教育機会への配慮
- 通勤:通勤手当 → 働く人の必要経費への配慮
「配慮が必要な場面では税金をかけない」という考え方が、
5種類の非課税所得すべてに共通しているんですね。
✏️ ポイント
非課税になるものには、
- 生活支援のための給付
- 社会的な慣習に基づくもの
など、国の「やさしさ」や「配慮」が込められていることが多いんですね。
本格的に学ぶなら「非課税所得の一覧」をじっくり押さえる必要がありますが、まずは「困っているときや、お祝い事には税金がかからないこともあるんだな」という感覚を持っておけばOKです!
⚠️ よくあるケアレスミスを紹介‼️
ミス①:15万円を超えたら通勤手当が全額課税されると思い込む
❌ なぜ間違えるか
「上限15万円」と聞くと、「超えたら全部ダメ=全額課税」とイメージしやすいからです。
日常会話の「上限を超えたらアウト」という感覚に引っ張られてしまいます。
✅ 正しい考え方
課税されるのは 「15万円を超えた部分だけ」 です。
たとえば月16万円なら、超過分の1万円だけが課税対象。
15万円までの部分は非課税のまま守られます。

「上限を超えたら全部アウト」じゃなくて、「超えた分だけアウト」。
ここは試験でも引っかけやすいポイントなので、しっかり覚えておきましょう‼️
ミス②:マイカー通勤も電車・バスと同じく月15万円が上限と思い込む
❌ なぜ間違えるか
「通勤手当の非課税限度額=15万円」というキーワードだけ覚えてしまうと、
交通手段によって金額が違うことを見落としがちです。
✅ 正しい考え方
公共交通機関とマイカーでは、まったく別のルールが適用されます。
- 公共交通機関(電車・バス):実費ベースで月15万円まで
- マイカー通勤:通勤距離に応じた定額制(最大24,400円)

マイカーの非課税限度額は、距離の長さで段階的に上がっていく仕組みです。
15万円という数字だけ覚えると痛い目を見るので、
「交通手段で別ルール」と押さえておきましょう‼️
ミス③:マイカー通勤なら2km未満でも非課税枠があると思い込む
❌ なぜ間違えるか
「距離別の定額制」と聞くと、距離が短くても多少は非課税枠があるものだと思ってしまいがちです。
「ゼロ円ということはないだろう」と感覚で判断してしまうケースですね。
✅ 正しい考え方
マイカー通勤の場合、片道2km未満は非課税枠がゼロです。
つまり、2km未満で受け取った通勤手当は 全額が課税対象 になります。

2km未満は「徒歩や自転車で行ける範囲だよね」という考え方で、
税制上の優遇がないんですね。
距離別の表で「2km未満=非課税なし」だけは絶対に押さえておきましょう‼️
📋 ケアレスミス比較表
| ケアレスミス | 正しい理解 |
|---|---|
| 15万円超えたら全額課税 | 超えた部分だけが課税対象 |
| マイカーも月15万円が上限 | マイカーは距離別定額制(最大24,400円) |
| マイカーは2km未満も非課税枠あり | 2km未満は非課税枠ゼロ |
まとめ・今回の学び:通勤手当の非課税限度額と非課税所得
今回学んだことを振り返りましょう📝
⭐️ 【得られる知識】:まとめ版
- 電車・バスなど公共交通機関の通勤手当は、実費ベースで月15万円まで非課税。
- マイカー通勤は、片道の通勤距離に応じた定額制(最大24,400円)。
2km未満は非課税枠なしである点も要チェック‼️ - 「上限超えたら全額課税」ではなく「超えた分だけ課税」が正解。
試験での引っかけポイント。 - 非課税となる所得は通勤手当以外にも5種類。
「優先席」と同じく、社会的に配慮が必要な場面で
税金をかけない仕組みが用意されています。
FP3級の試験対策としては、
「公共交通機関=月15万円」
「マイカー=距離別定額制」
の2つの軸をしっかり押さえておけば、
通勤手当の問題はほぼ攻略できます。
そして、深掘り考察③で見た非課税所得5種類の共通点
——「困っているとき・必要なときには税金で追い打ちをかけない」という考え方は、
税法全体に通じる大事な視点です。
この感覚を持っておくと、今後ほかの所得分野を学ぶときも理解がスムーズになりますよ‼️

給与明細の「通勤費」、これからは少し違う目で見られるようになりますよね😊
『なんとなく支給されている』から『意味がわかって支給されている』に変わると、お金との付き合い方も変わってきますよ‼️
次回予告:国債等の特定公社債の利子と課税方式

次回(第38回)は、国債や地方債などの「特定公社債」から受け取る利子の課税方式について深掘りします‼️
「所得税において、国債や地方債などの特定公社債の利子は、総合課税の対象となる?」
今回は「非課税となる所得」について学びましたが、
次回は逆に「課税される所得の中でも、課税のされ方が違うパターン」を取り上げます。
- 総合課税ってなに?分離課税ってなに?
- 国債や地方債の利子は、どっちで課税されるの?
- 株式の配当や預金の利息と何が違うの?
普段あまり意識しない”債券の利子”にも、実はちゃんと税金のルールが定められています。
次回はそのしくみをわかりやすく解説していきますね。
次回の記事はこちら
▶ 【総合課税と分離課税の違い】国債・地方債の利子は20.315%の源泉分離課税_間違いから学ぶFP3級_第38回

今回の「非課税」と次回の「課税方式の違い」をセットで押さえると、
所得税の全体像がぐっと見えてきます。
次回も問題文の単語をしっかり深掘りしていくので、お楽しみに‼️


コメント