「配偶者控除」と聞くと、配偶者の年収(103万円の壁・150万円の壁)ばかりに目が行きませんか?
わたしも問題を解くまでは、すっかりそう思い込んでいました😅
でも実は、配偶者控除には「本人の所得が高すぎるとゼロになる」という、
もうひとつの壁が存在します。
そのラインがちょうど――合計所得金額1,000万円。
年収にして約1,220万円のところで、配偶者控除はピタッと姿を消してしまうのです。
「働いて稼ぐほど控除がなくなるって、ちょっと不思議じゃない?」
そう感じるのが普通の感覚だと思います。
今回はその謎を一緒に解き明かしましょう!
⭐️この記事で気になる3つのポイントはこちら
- Q. 配偶者控除って、どんな条件で・いくら受けられるの?
- Q. なぜ「1,000万円」が壁になっているの?
- Q. 「老人控除対象配偶者」だけ別枠なのはなぜ?
前回は損益通算をテーマに、株式の損失が給与や不動産と相殺できない理由を解説しました。
同じタックスプランニング分野でも、所得の「壁」はやはり大切なキーワード。
今回もこの「壁」が主役になります。
前回の記事はこちら
▶【損益通算】株式の損失は給与や不動産と相殺できない?申告分離課税の壁をやさしく解説_間違いから学ぶFP3級_第42回
📘 今回の分野:タックスプランニング/所得控除/配偶者控除

今回学ぶのは、タックスプランニング分野の「配偶者控除」、
特に本人の所得が1,000万円を超える場合の取り扱いです。
控除の二段構造(適用 vs 控除額)と、
なぜ1,000万円という線引きがあるのかを一緒に深掘りしていきます。
❓️ 問題文の紹介
- 納税者の本年分の合計所得金額が1,000万円を超えている場合
- 配偶者の合計所得金額の多寡にかかわらず
- 所得税の配偶者控除の適用を受けることはできない。
◯か✗か?
配偶者控除と聞くと、つい「配偶者の所得がいくらか」だけに目が行きがちですが、
実は「本人の所得」も大きく関わってきます。
条件が二段構えになっていて、こんがらがってしまいませんか?
回答を確認しましょう。

「多寡にかかわらず」という一文で、わたしの思考が止まりました🤔
✅ 正解と解説の要点:本人の所得1,000万円超なら配偶者控除はゼロ
- 納税者の本年分の合計所得金額が1,000万円を超えている場合
- 配偶者の合計所得金額の多寡にかかわらず
- 所得税の配偶者控除の適用を受けることはできない。
◯か✗か?
→正解:◯(正しい)
正解は、◯(正しい)でした。
今回注目すべき点は、『配偶者の合計所得金額の多寡にかかわらず』の一文です。
「適用される/されない」も「控除額の大小」も、どちらも 本人の所得 が大きく関わる
――この点をしっかり把握しておきましょう。
配偶者の所得は「適用」の入口(48万円以下か)でチェックされ、
控除額は本人の所得に応じて段階的に変わる仕組みです。
✅️ポイント解説
- 納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超えると、配偶者控除は適用できない
- 配偶者の所得がゼロであっても、この基準を超えたら控除は受けられない
- これは2018年(平成30年)の税制改正で導入されたルール
- 高所得者への控除制限の一環として、年収約1,220万円超(給与所得者の場合)が対象
📝 補足コメント
ポイントを整理すると、配偶者控除は 「配偶者の所得が48万円以下」かつ「本人の所得が1,000万円以下」 の両方を満たして初めて適用されます。
さらに適用される場合でも、控除額(38/26/13万円)は 本人の所得 に応じて3段階で変わります。
本人の所得が1,000万円を超えてしまえば、配偶者の所得を確認するまでもなく適用は打ち切り
――この 「本人の所得→配偶者の所得」の確認順序 を意識すると、試験で迷いにくくなります。

本人→配偶者の順で確認するのがコツですね📝
関連記事の紹介
配偶者控除の理解を深めるには、所得や課税方式の基本を押さえておくと役立ちます。
「合計所得金額」をしっかり押さえておきたい方は、老齢年金がいくらまで非課税なのかを整理した第36回も合わせて読むと、所得の捉え方が立体的になります。

給与所得の範囲(どこからが「合計所得金額」に入るのか)を理解するには、通勤手当の非課税ラインを扱った第37回がぴったりです。

所得税の課税方式(総合課税・分離課税)の基本を押さえると、配偶者控除のような「合計所得金額」が絡む論点もすっきり整理できます。


「合計所得金額」の理解は、控除問題を解くカギになります🔑
🔍 配偶者控除の条件と1,000万円の壁について_深掘り考察!!
今回は、以下の点について解説していきたいと思います。
- 配偶者控除の条件と控除額について
→配偶者控除は、「配偶者の所得が低い家庭の税金を軽くするための控除」です。
控除額は900万円〜1000万円の間で徐々に減額されます。 - なぜ「1,000万円」という線引きがあるの?
→「どこまでを高所得者とみなすか」が議論され、年収約1,220万円(給与所得控除
を引くと所得金額1,000万円)以上が【高所得者】として区切りとして妥当と判断されました。 - 「老人控除対象配偶者」が「配偶者控除」と分けて制定されている理由
→高齢の配偶者がいる世帯は生活負担が大きくなりやすいためです。
配偶者控除の適用条件と控除額をわかりやすく整理

配偶者控除は、【納税者と生計を一にする配偶者(民法上の配偶者に限る)】がいて、
その配偶者の所得が少ない場合に、納税者の所得から一定額を差し引ける制度です。
要するに「配偶者の所得が低い家庭の税金を軽くするための控除」です。
適用条件(4つのポイント)
① 配偶者がいること
- 民法上の婚姻関係があること(事実婚は不可)
- 同居・別居は問わないが「生計を一にしている」必要あり
② 配偶者の合計所得金額が48万円以下
- 給与所得者の場合、給与収入103万円以下
(給与所得控除55万円を差し引いた額が48万円) - 年金や事業所得なども含めた合計所得金額で判定
③ 納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下
- 900万円以下 → 満額控除
- 900万円超〜1,000万円以下 → 控除額が減額
- 1,000万円超 → 控除なし
④ 青色申告・白色申告など申告の有無は問わない
- 給与所得者も、事業所得者も利用可
控除額(納税者本人の所得に応じて変わる)
| 納税者本人の合計所得金額 | 控除額 (一般の配偶者) | 控除額 (老人控除対象配偶者) |
|---|---|---|
| 900万円以下 | 38万円 | 48万円 |
| 900万円超~950万円以下 | 26万円 | 32万円 |
| 950万円超~1,000万円以下 | 13万円 | 16万円 |
| 1,000万円超 | 0円 | 0円 |
※老人控除対象配偶者:その年12月31日時点で70歳以上の配偶者
身近な例え:会員ランク制度のスーパーで考える
配偶者控除の仕組みは、会員制スーパーのランクごとの値引きにそっくりです。
- ゴールド会員(〜900万円):満額の値引き(38万円)
- シルバー会員(900〜950万円):値引きが縮小(26万円)
- ブロンズ会員(950〜1,000万円):さらに縮小(13万円)
- 会員資格喪失(1,000万円超):値引きなし(0円)
本人の所得というランクが上がる(高所得になる)ほど、優遇が薄くなる仕組みです。
「配偶者特別控除」との違い
- 配偶者控除は配偶者の所得が48万円以下の場合に適用
- 配偶者特別控除は配偶者の所得が48万円超〜133万円以下の場合に段階的に控除
- どちらも本人の所得が1,000万円超の場合は受けられない
配偶者控除_ポイントまとめ
- 配偶者控除の判断は「配偶者の所得」と「本人の所得」の両方を見る
- 控除額は本人の所得に応じて3段階
- 高所得者は配偶者控除も配偶者特別控除もゼロになる
なぜ年収1,000万円が配偶者控除の境界線になるのか?

税制の公平性の確保
- もともと配偶者控除は、専業主婦(夫)など所得のない配偶者がいる家庭の税負担を軽くするために作られた制度です
- しかし、高所得者も同じ控除を受けられると、税負担の公平性が保ちにくくなります
- 年収が2,000万円ある人が38万円の控除を受けるのと、年収500万円の人が同じ38万円の控除を受けるのでは、家計への影響の大きさが全く違う
- 高所得者への税優遇は「逆進性」が強まり、社会的な不公平感を生む
「逆進性」について
簡単に言うと、お金持ちの人ほど税金を払っても生活にあまり影響がありません。
それなのに、所得が少ない人と同じ金額の控除(税金の割引)をあげてしまうと、
お金持ちのほうが得をしてしまうように見えるんです。
例え話
- 年収2,000万円の人も、年収500万円の人も、
配偶者控除で38万円の所得が引かれるとします。- 38万円の控除で減る税金は、
税率の高い高所得者のほうが金額が大きくなります。- すると、「収入が多い人ほど税金の割引額が大きい」
=税の負担割合が逆さになることがあります。
これを防ぐために、「本人の所得が1,000万円を超える人は控除を受けられない」というルールにして、税の公平さを保っているのです。
身近な例え:建物の高さ制限の都市計画
都市計画の世界では、エリアごとに
「ここまでなら建てて良い/超えたら別ルール」と高さ制限が設けられています。
これは街並みの調和や日当たり、防災のバランスを保つためです。
所得の世界も同じで、「ここまでなら控除あり/超えたら制限」という”高さ制限”があります。
社会全体のバランスを保つために設けられた境界線
――それが1,000万円の壁です。
財源バランスの調整
- 日本は少子高齢化で社会保障費が増加しており、税収確保が重要な課題です
- 高所得者層に対する控除を減らすことで、
財源の一部を確保し、必要な支出(子育て支援や社会保障)に回す狙いがあります - この考え方は「応能負担(所得の多い人ほど多く税を負担する)」
という税制の基本理念に沿っています
なぜ1,000万円なのか
- 政策決定時、国税庁や財務省の試算によって
「どこまでを高所得者とみなすか」が議論されました。 - 年収ベースに換算するとおおむね給与収入1,220万円
(給与所得控除を引くと所得金額1,000万円)あたりが区切りとして妥当と判断された - このラインを超えると、日本国内では上位数%の高所得層に入るため、
「税優遇の対象から外しても社会的合意が得られやすい」とされた背景があります。
制度改正の経緯
- 2018年(平成30年)税制改正で導入されました。
- それまでは高所得者でも満額の配偶者控除が受けられました。
- 改正により、900万円超から段階的縮小、1,000万円超でゼロという形に変更されました。
老人控除対象配偶者の控除額が手厚い理由と適用条件

老人控除対象配偶者とは
- その年の 12月31日時点で70歳以上 の配偶者
- 民法上の配偶者で、生計を一にしていることが条件
- 所得要件(合計所得48万円以下)や、
本人の所得要件(1,000万円以下)は通常の配偶者控除と同じ
控除額が手厚い3つの理由
(1) 高齢者世帯は医療・介護費がかかりやすい
70歳を超えると、病院通いが増えたり、介護サービスが必要になる可能性が高まります。
これらは保険でカバーされない部分も多く、生活費の負担が大きくなりやすいのです。
(2) 働いて収入を得ることが難しい
高齢配偶者は、就業収入を得る機会が限られます。
現役世代のように働いて補うことが難しいため、世帯収入が少なくなる傾向があります。
(3) 税制による生活支援
こうした背景から、税金の控除額を少し上乗せして生活を支えるために、
老人控除対象配偶者には通常より多い控除額(+10万円)が設定されています。
身近な例え:高齢者向けの自治体サービス
バスや電車のシルバー優遇、医療費の自己負担割合の軽減、介護サービスの利用補助
――70歳以上には生活サポートの優遇が用意されています。
配偶者控除の世界も同じ発想で、高齢配偶者がいる世帯は生活負担が重いため、
+10万円の上乗せがあるのです。
控除額の違い(本人の所得900万円以下の場合)
- 一般の配偶者控除:38万円
- 老人控除対象配偶者:48万円(+10万円)
つまり、老人控除対象配偶者は「所得が低い配偶者がいて、しかもその配偶者が高齢で生活負担が重い世帯」に対して、より手厚く税負担を軽くするために区別されている制度なのです。
⭐️ここまでで押さえたい3つのポイント
- 配偶者控除は 「配偶者の所得」と「本人の所得」 の両方で判定される二段構え。
- 本人の合計所得1,000万円超 で配偶者控除はゼロ。
配偶者の所得は問われない。 - 70歳以上の配偶者 は「老人控除対象配偶者」として控除額が+10万円上乗せ。
⚠️ よくあるケアレスミス:配偶者控除と1,000万円の壁
ミス①:「配偶者の所得が低ければ、無条件で配偶者控除が受けられる」と思い込む
なぜ間違えるのか?
「配偶者控除」という名前から、配偶者の所得だけが判定の決め手だと思い込みがち。
103万円・150万円といった有名な「壁」もすべて配偶者側の話なので、
本人の所得への注意が抜けてしまいます。
正しい考え方
配偶者控除は 本人の所得・配偶者の所得の両方 で判定。
本人の合計所得金額が1,000万円を超えれば、配偶者の所得がどれだけ少なくてもゼロになります。

「配偶者」が名前にあるからって、配偶者ばかり見ていたら足元をすくわれます💦
ミス②:「年収」と「合計所得金額」を混同する
なぜ間違えるのか?
「1,000万円」という数字が目立つあまり、
「年収1,000万円」と「合計所得金額1,000万円」が頭の中でごちゃ混ぜに。
実際のラインは合計所得金額1,000万円で、給与収入だと約1,195万円相当です。
正しい考え方
配偶者控除の所得制限は 「合計所得金額」が基準。
給与所得控除を差し引いた後の金額で判定するため、
年収そのものではない点を押さえておきましょう。

年収と合計所得金額は別モノ。
給与所得控除を引いた後で勝負です📝
ミス③:「103万円の壁」と「1,000万円の壁」を一緒に考えてしまう
なぜ間違えるのか?
配偶者控除の話には「壁」がいくつも出てくるため、
誰の収入・所得についての話なのかが混ざりがち。
「壁=配偶者の話」と短絡的にひとまとめにしてしまうと、1,000万円の壁を見落とします。
正しい考え方
103万円・150万円の壁=配偶者の収入の話、1,000万円の壁=本人の合計所得金額の話。
視点(誰の話か)を切り替えて整理するのがコツです。

「壁」が出てきたら、まず「誰のどの数字?」を確認しましょう👀
📋 ケアレスミスまとめ
| よくある誤解 | 正しい考え方 |
|---|---|
| 配偶者の所得が低ければ 控除は無条件で受けられる | 本人の合計所得が 1,000万円を超えるとゼロになる |
| 「年収1,000万円」が判定ライン | 判定は「合計所得金額1,000万円」 (給与収入で約1,195万円) |
| 103万円も1,000万円も同じ 「配偶者控除の壁」 | 103万円=配偶者の収入/1,000万円 =本人の合計所得 |
まとめ・今回の学び:配偶者控除と1,000万円の壁
今回学んだことを振り返りましょう📝
⭐️ 今回の振り返りまとめ
- 基本の仕組み:
配偶者控除は「配偶者の所得が低い世帯」の税負担を軽くする制度。 - 用語の違い:
「適用される/されない」は本人の所得、「控除額の大小」は配偶者の所得で決まる。 - 試験頻出ポイント:
本人の 合計所得金額1,000万円超 で配偶者控除はゼロ。配偶者の所得は問われない。 - 実生活への応用:
共働き・パート世帯では「配偶者の年収」だけでなく「本人の所得」もチェックする習慣を。
「配偶者控除」という名前を見ると、つい配偶者の所得ばかり気にしてしまいますが、実は 本人の所得 も大きな決め手でした。
しかも、ややこしいのは「適用そのもの」と「控除額」が別の論理で動いている点。
本人の所得が壁を超えたかどうかは「適用」の判定に、
配偶者の所得は「控除額」の判定に使われます。
試験ではこの順番を意識すると、引っかけ問題でも迷いにくくなります。
1,000万円という線引きは「税の公平性」と「財源バランス」
を保つために設けられた制度上の決まり。
ふだんの家計でも、配偶者の年収だけでなく自分の所得状況にも目を向けると、
控除や手当の動きがクリアに見えてきます。

「壁」が出てきたら 「誰の・どの数字?」 を最初に確認しましょう✊
配偶者控除は「所得1000万円の壁」など数字の線引きが命です。
こうした“境界線”を正確に覚えるには、まず1冊の教科書で全体を通しておくのが近道。
独学用の選び方はFP3級の教科書(独学者向け)にまとめています。
📚 独学でFP3級に挑戦中の方へ
所得控除は「条件と金額の暗記」が多い分野なので、参考書の一覧表で整理するのが近道です。独学でFP3級に合格したわたしが実際に使った参考書を、本音でまとめました。
次回予告:住宅ローン控除について

次回は、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の適用条件を取り上げます。
マイホーム購入のときに大きな味方になるこの制度ですが、借入金の返済期間 に関する要件があるのをご存知ですか?
10年・15年・20年のうち、本当に適用できるのは何年以上のローンなのか
――数字を間違えると控除そのものが受けられなくなるため、しっかり押さえておきたいポイントです。
次回学べる内容のキーワードはこちら👇
- 間違えやすい年数の落とし穴
- 住宅ローン控除の返済期間要件
- マンション購入時の適用条件
次回の記事はこちら
▶【住宅ローン控除】返済期間10年以上って本当?適用条件・控除率・上限まで完全解説_間違いから学ぶFP3級_第44回

マイホーム購入を考えている方は必見です✨


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