「投資信託の分配金って、全部が“利益”だと思っていませんか?」
実は、分配金には種類があって、同じように見えても税金の扱いや意味が異なります。
今回は「基準価額が個別元本を下回ったときの分配金」について、ちょっとややこしいけど大事なポイントを一緒に整理してみましょう。
⭐️この記事を読んで得られる知識は、以下の3点です。
- 追加型の国内公募株式投資信託ってなに?
- 個別元本とは?
- 基準価額との関係で分配金がどう変わるのか?
📘 今回の分野:金融資産運用/金融商品と税金
今回学ぶ範囲は、金融資産運用|金融商品と税金の中の公募株式投資信託の分配金と税金の関係についてです。
漢字ばかりで意味がわからないかと思いますが、一つ一つ噛み砕いて解説していきます。
## ❓️ 問題文の紹介
追加型の国内公募株式投資信託において、収益分配金支払後の基準価額が受益者の個別元本を下回る場合、当該受益者に対する収益分配金は、その全額が普通分配金となるか?
この記述は○か×か?
聞き覚えのない単語がつらつらと並んでいるのを見ると、わけがわからなくなります。
一つずつ単語の意味を理解しながら、問題文を確認しましょう。

今回の問題は、内容が頭に入ってこなかったので、解答しませんでした。
ここで理解していきましょう☺️
✅ 正解と解説の要点
【正解:×(バツ)】
追加型の国内公募株式投資信託において、収益分配金支払後の基準価額が受益者の個別元本を下回る場合、当該受益者に対する収益分配金は、その全額が普通分配金となるか?
この記述は○か×か? →正解:✘
正解は ✘ でした。
どのあたりが間違っているのか、正直初見では検討もつきません。
問題文のポイントを押さえましたので、確認していきましょう。
✅️ポイント解説
- 普通分配金とは、運用で得られた利益から支払われる分配金で、課税対象になります。
- 【元本払戻金(特別分配金)】とは、投資したお金(元本)の一部が戻ってくるイメージで、非課税です。
- 問題のケースでは、「基準価額」が「個別元本」を下回っている=元本が削れている状態です。
- そのため、分配金は“元本を取り崩している”とみなされ、普通分配金ではなく、特別分配金となることがあります。
以上が問題文を解くポイントになります。
今回の問題文には、正誤以外にもわからないことがあると思います。
その点を深堀りしていきます。
🔍 深掘り考察!!
今回は、以下の点について解説していきたいと思います。
- 追加型の国内公募株式投資信託ってなに?
- 個別元本とは?
- 基準価額との関係で分配金がどう変わるのか?
追加型の国内公募株式投資信託ってなに?
🧩 まず「投資信託」とは?
投資信託(とうししんたく)とは、
たくさんの人からお金を集めて、専門家(ファンドマネージャー)がまとめて運用してくれる仕組みです。
- 例えば、100人がそれぞれ1万円ずつ出して、合計100万円を運用します。
- そのお金で株や債券などを買って増やすことを目指します。
- 利益が出たら、それぞれの出資割合に応じて分配金がもらえることもあります。
📦「追加型」ってなに?
「追加型」というのは、
いつでも新しく買い足す(追加購入する)ことができるタイプの投資信託のことです。
- たとえば、「この投資信託、よさそうだから今からでも買いたい!」というときに買えます。
- 一方、「単位型」というタイプもあり、これは一定期間だけしか買えない投資信託です。
つまり、追加型=いつでも参加OKの“自由参加型の運用チーム”のようなイメージです。
🏠「国内公募」ってどういう意味?
- 国内:日本国内で運用されることが前提です。買っているのは主に日本の株式など。
- 公募:誰でも買えるよ、という意味です(証券会社や銀行などで広く販売されます)。
反対に「私募(しぼ)」というのは、特定の人だけが買えるもので、一般には出回りません。
📈「株式投資信託」とは?
投資信託には、運用する内容によっていくつか種類がありますが、
「株式投資信託」は、主に株式をメインに運用する投資信託です。
- 株価の上昇による利益(キャピタルゲイン)を狙います。
- 価格の変動が大きめなので、リスクもあるけどリターンも狙えるタイプです。
🔎 「追加型の国内公募株式投資信託」とは_まとめ
つまりこの言葉をバラして組み立て直すと、こうなります:
✅ 日本国内の株式を中心に運用し、
✅ 誰でも購入できて、
✅ いつでも追加で買うことができる投資信託。
個別元本とは?
🧩 まず「元本」ってなに?
「元本(がんぽん)」とは、
簡単に言うと、自分が投資に使った“もともとのお金”のことです。
たとえば、
- あなたが投資信託を 1万円 で買ったとします。
- その「1万円」があなたの元本です。
🧮 じゃあ「個別元本」ってなに?
「個別元本」とは、
あなた個人が、その投資信託にいくらで投資しているかを計算した金額のことです。
たとえば、
- 最初に「1万口」を10,000円で購入(=1口あたり100円)
- 次に同じ投資信託を、「1万口」を12,000円で追加購入(=1口あたり120円)
👉 このとき、あなたの個別元本は次のように計算されます:
(10,000円 + 12,000円) ÷ (1万口 + 1万口)= 22,000円 ÷ 2万口 = 110円
つまり、あなたがこの投資信託を1口あたり110円で持っているということになります。
💡 なぜ「個別元本」が大事なの?
個別元本が重要なのは、分配金の課税区分(税金がかかるかどうか)を判断するときの基準になるからです。
- 投資信託の「基準価額(きじゅんかがく)」が、あなたの「個別元本」より高いとき
→ 利益が出てる状態なので、分配金は「普通分配金(課税)」 - 「基準価額」が「個別元本」より低いとき
→ 元本を取り崩してる扱いになるので、分配金は「特別分配金(非課税)」
📝 個別元本とは_まとめ
用語 | 意味 |
---|---|
元本 | 自分が投資に使ったお金 |
個別元本 | 自分が投資信託を買った平均単価(口あたり) |
基準価額 | 投資信託のその日の価値(市場価格) |
✅ 最後にひとこと
投資信託の「分配金」を見たとき、「得した!」と思うだけではなく、
「それは“普通分配金”なのか? “特別分配金”なのか?」を知るには、
自分の“個別元本”をちゃんと確認することが大事です。
基準価額との関係で分配金がどう変わるのか?
🧩 まずキーワードを整理
用語 | 意味 |
---|---|
基準価額 | 投資信託のその時点の価格(時価)です。1万口あたりの価格で表示されます。 |
個別元本 | あなたがその投資信託を「1万口あたりいくらで買ったか」の平均値です。 |
分配金 | 運用で得た利益の一部などを、定期的に受益者(投資家)に支払うお金のことです。 |
🔍 分配金は2種類ある
分配金には次の2種類があります:
種類 | 内容 | 税金 |
---|---|---|
普通分配金 | 運用で利益が出た場合の分配金 | 課税される(所得税・住民税) |
特別分配金(元本払戻金) | 利益ではなく、元本の一部を返しているだけ | 非課税(でも元本が減る) |
🔁 分配金の課税判断は「基準価額」と「個別元本」の差で決まる!

✅ パターン①:基準価額 > 個別元本
- あなたは買ったときより値上がりしています。
- 運用でちゃんと利益が出ている状態です。
- 👉 この場合の分配金は「普通分配金(課税)」
例:
- あなたの個別元本が10,000円
- 今の基準価額が11,000円
- → ちゃんと利益があるので、分配金は「普通分配金」=税金がかかります。
✅ パターン②:基準価額 < 個別元本
- あなたは買ったときより値下がりしています。
- 運用では利益が出ていません(むしろマイナス)。
- 👉 この場合の分配金は「特別分配金(非課税)」
例:
- あなたの個別元本が10,000円
- 今の基準価額が9,000円
- → 実は運用で損している状態なのに分配金が出るということは、元本を削って払っている=特別分配金(非課税)です。
💡 補足:非課税だけど喜んでいいわけじゃない…
特別分配金は一見「税金がかからない」ので得した気がしますが、
実際にはあなたの元本が削られているということです。
将来の資産形成にとっては、「中身が減ってるだけ」の場合もあるので要注意です。
📌 基準価額と分配金の関係_まとめ
基準価額 と 個別元本の関係 | 分配金の種類 | 税金 | 意味 |
---|---|---|---|
基準価額 > 個別元本 | 普通分配金 | 課税される | 運用益からの分配 |
基準価額 < 個別元本 | 特別分配金 | 非課税 | 元本の払い戻し(実質マイナス) |
まとめ・今回の学び
- 「追加型の国内公募株式投資信託」とは
→ 日本国内の株式を中心に運用し、誰でも購入できて、いつでも追加で買うことができる投資信託です。 - 分配金=全部が利益ではありません。
- 「基準価額 < 個別元本」のときの分配金は、特別分配金になる可能性があります。
- 特別分配金は非課税だが、元本が減るという注意点があります。
- 投資信託を正しく理解するには、自分の個別元本と現在の基準価額を比較するクセをつけましょう!
次回予告:オプション取引とはどういうものか?
さて、次回のテーマは、少しレベルアップして「オプション取引」について取り上げます。
「オプション取引において、特定の商品を将来の一定期日にあらかじめ決められた価格で買う権利のことを???オプションといい、他の条件が同じであれば、一般に、満期までの残存期間が長いほど、プレミアム(オプション料)は高くなる?やすくなる?」
聞きなれない言葉が多いですが、仕組みを知れば決して難しくありません。

次回もやさしく・噛み砕いて解説します。お楽しみに!
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