「親や祖父母から、家を買うためのお金を援助してもらえる」——
とてもありがたい話ですよね。
でも、お金をもらうと原則として贈与税がかかります。
そこで頼りになるのが「住宅取得等資金の贈与の非課税制度」です。
一定の条件を満たせば、両親や祖父母からの資金援助に贈与税がかからなくなります。
ところが、この「一定の条件」がクセモノなんです。
受贈者(お金をもらう人)の年齢、所得、そして家の床面積——
いくつもの数字が登場します。
特に「床面積が小さいと所得制限はどうなる?」という部分は、わたし自身、試験本番で見事に間違えました。
今回は、その間違いをきっかけに、受贈者の要件を一つずつ整理していきましょう!
⭐️この記事を読んで得られる知識は、以下の3点です。
- 住宅取得等資金の贈与の非課税制度って、誰が使えるの?
→ 親や祖父母(直系尊属)からマイホーム資金をもらった、18歳以上の子や孫が対象です。 - 所得制限はいくらまで?
→ 合計所得金額2,000万円以下。
ただし家が小さい(床面積40〜50㎡未満)と1,000万円以下に厳しくなります。 - いくらまで非課税になるの?
→ 省エネ等住宅なら1,000万円、それ以外の住宅なら500万円まで非課税です。
前回の第77回では、「死因贈与」を取り上げました。
「亡くなったらこれをあげる」という約束(契約)で、相続税の対象になる制度でしたね。
今回も同じ”贈与”の仲間ですが、生きているうちに「家を買うお金」をもらうケースです。
同じ贈与でも、税金の扱いや使える特例がまったく違う——
その違いを感じながら読んでみてください。
前回の記事はこちら
▶【死因贈与とは】遺贈・遺言との違い|相続税がかかる理由を解説(第77回)
📘 今回の分野:贈与税の特例(住宅取得等資金の非課税)

今回取り上げるのは、相続・事業承継分野の中の
「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」です。
名前は長いですが、ざっくり言うと
「親や祖父母から家の購入資金をもらっても、一定額までは贈与税がかからない制度」です。
マイホームの購入を考えている方には、とてもありがたい制度ですね。
ただし、誰でも・いくらでも非課税になるわけではありません。
「お金をもらう人(受贈者)」の年齢や所得、買う家の床面積など、いくつかの条件があります。
そのあたりを、試験で問われるポイントを中心に整理していきましょう。
- 分野:相続・事業承継(贈与税の特例)
- テーマ:直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税
- 出題頻度:高
- キーワード:18歳以上/合計所得金額2,000万円/1,000万円(床面積による違い)/省エネ等住宅1,000万円・それ以外500万円
❓️ 問題文の紹介
- 適用される特例:直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税
- 問われている対象:この特例を受けられる「受贈者(お金をもらう人)」の要件
- 要件①(年齢):贈与を受けた日の属する年の1月1日において【□1】以上であること
- 要件②(所得):その年分の合計所得金額が【■2】以下であること
- 要件③(所得・床面積が小さい場合):住宅の床面積が40㎡以上50㎡未満である場合は【△3】以下であること
【□1】の選択肢:① 18歳 ② 25歳
【■2】の選択肢:① 3,000万円 ② 2,000万円 ③ 1,000万円
【△3】の選択肢:① 1,000万円 ② 500万円
悩みやすいポイント
「成人だから18歳かな」「所得はそこまで高くないはず」——
ここまでは何となく選べても、③の「床面積が小さいとき」で手が止まりませんか?
家が小さいんだから、所得の上限も小さくなる(=500万円)と考えたくなりませんか?
実はこの直感、落とし穴なんです。

わたしも本番で③を『500万円かな〜、家が小さいし』と選んで、見事に外しました。この”小さい家=小さい数字”という思い込みが、今回いちばんのワナです。
✅ 正解と解説の要点:受贈者は18歳以上・所得2,000万円以下が基本

- 適用される特例:直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税
- 問われている対象:この特例を受けられる「受贈者(お金をもらう人)」の要件
- 要件①(年齢):贈与を受けた日の属する年の1月1日において【□1】以上であること
- 要件②(所得):その年分の合計所得金額が【■2】以下であること
- 要件③(所得・床面積が小さい場合):住宅の床面積が40㎡以上50㎡未満である場合は【△3】以下であること
【□1】の選択肢:① 18歳 ② 25歳
【■2】の選択肢:① 3,000万円 ② 2,000万円 ③ 1,000万円
【△3】の選択肢:① 1,000万円 ② 500万円
→正解:【□1_18歳、■2_2,000万円、△3_1,000万円】
正解は次のとおりです。
- 【□1】… 18歳以上
- 【■2】… 2,000万円以下
- 【△3】… 1,000万円以下
整理すると、受贈者の要件はこうなります。
- 贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上であること
- その年の合計所得金額が2,000万円以下であること
- ただし、住宅の床面積が40㎡以上50㎡未満のときは、所得制限が1,000万円以下に厳しくなること
✅️ポイント解説
ポイントは3番目【△3】です。
床面積が小さい(40〜50㎡未満)と、所得制限は「ゆるく」なるのではなく、2,000万円の半分の1,000万円まで「厳しく」なります。
「小さい家だから数字も小さい」と引っぱられると、500万円を選んでしまいます。
正しくは「ベースの2,000万円が、小さい家のときは半分の1,000万円になる」と覚えるのがコツです。

面積が小さいと所得の上限も下がるのは合っているんですが、下がり方は『半分(2,000万→1,000万)』。『500万』ではありません。
“半分”でセットで覚えておけば、もう間違えません!
📚 出典・参考
- 国税庁タックスアンサー No.4508「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」
- 国土交通省 「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」
関連記事の紹介
住宅資金の贈与は、ほかの「贈与・相続のしくみ」とセットで理解すると頭に残りやすくなります。
以下の記事もあわせて読むと、贈与税まわりの全体像が整理できますよ。
同じ”床面積”が判定を左右する論点として、不動産取得税の特例も確認しておくと、面積基準の感覚がつかめます。

「同じ家のお金でも所得制限のしくみが共通する」例として、配偶者控除の所得制限も比べてみると理解が深まります。


『所得制限』や『床面積の基準』は、いろんな制度で顔を出します。
1つの制度で仕組みをつかむと、ほかの制度もスッと入ってきますよ。
🔍 住宅取得等資金贈与の非課税について_深掘り考察!!
今回は、以下の点について解説していきたいと思います。
- 受贈者の3つの要件(年齢・所得・床面積)を整理する
- なぜ床面積が小さいと所得制限が「厳しく」なるのか
- 非課税になるのはいくらまで?(省エネ等住宅とそれ以外の違い)
受贈者の要件は3つ:年齢・所得・床面積をまとめて整理

この制度は「条件をぜんぶ満たした人だけ」が使えます。
受贈者(お金をもらう人)に求められる主な要件を、表で整理してみましょう。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 誰からもらう? | 親・祖父母などの直系尊属から |
| 年齢 | 贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上 |
| 所得 | その年の合計所得金額が2,000万円以下 |
| 床面積(小さい家) | 40㎡以上50㎡未満なら、所得は1,000万円以下 |
| お金の使いみち | 自分が住むための家の新築・取得・増改築 |
🎢 身近な例え話:
🎢 身近な例え話:
遊園地の「絶叫マシン」をイメージしてください。
乗るには「身長◯cm以上」「年齢◯歳以上」といった条件が、
全部そろって初めて乗れますよね。
1つでも欠けると乗れません。
この制度も同じで、「直系尊属から」「18歳以上」「所得2,000万円以下」
などの条件をすべて満たして初めて非課税が使えます。

『どれか1つ満たせばOK』ではなく『全部そろって初めてOK』。
ここを勘違いしないようにしましょう。
なぜ床面積が小さいと所得制限が「厳しくなる」のか

ここが今回いちばんの山場です。
整理すると、床面積と所得制限の関係はこうなっています。
| 床面積 | 合計所得金額の上限 |
|---|---|
| 50㎡以上240㎡以下 | 2,000万円以下 |
| 40㎡以上50㎡未満(小さい家) | 1,000万円以下 |
つまり、家が小さいほど所得のハードルは高く(厳しく)なります。
「小さい家なんだから条件もゆるくなりそう」という直感とは逆ですよね。
🏠 身近な例え話(建築士目線):
これは「そもそも40〜50㎡という狭めの家は、本当に支援が必要な人のための枠」と考えると腑に落ちます。
広い家を買える余裕のある人は、ある程度の収入があるはず。
一方、コンパクトな家を選ぶ人の中には「収入が限られているから無理なく買える範囲にした」という人が多いと想定されます。
だから国は「狭い家の枠は、より収入の低い人(所得1,000万円以下)に絞って使ってもらおう」としているわけです。
支援を”本当に必要な人”に届けるための線引き、と考えると自然な設計です。

『小さい家=ゆるい条件』ではなく『小さい家=より絞り込んだ枠(所得は半分の1,000万円)』。ここだけは理屈ごと覚えてしまいましょう。
非課税になるのはいくらまで?省エネ等住宅とそれ以外の違い

「条件を満たしたら、いくらまで非課税なの?」という肝心の金額です。
非課税限度額は、買う家の性能によって変わります。
| 住宅の種類 | 非課税限度額 |
|---|---|
| 省エネ等住宅(質の高い住宅) | 1,000万円 |
| それ以外の住宅 | 500万円 |
「省エネ等住宅」とは、省エネ性能・耐震性能・バリアフリー性能などの基準を満たした「質の高い住宅」のことです。
🔌 身近な例え話:
スマホの料金プランを思い浮かべてください。
同じ会社でも「上位プラン」だと特典(データ量や割引)が多くつきますよね。
省エネ等住宅は、いわば「上位プラン」。
性能の高い家を選ぶと、非課税の枠も2倍(500万円→1,000万円)に増える、というイメージです。
なお、この制度の適用期限は令和8年(2026年)12月31日まで延長されています。

金額の覚え方は『省エネは1,000万・ふつうは500万』。
所得制限の『2,000万・1,000万』と数字が似ているので、”所得”と”非課税枠”を混ぜないように注意です。
⭐️ この記事で得られる知識(深掘り後・整理版)
- 受贈者の要件:
直系尊属から贈与を受けた18歳以上の人で、合計所得金額2,000万円以下が基本。 - 床面積による例外:
床面積40㎡以上50㎡未満の小さい家は、
所得制限が1,000万円以下に厳しくなる(2,000万円の半分)。 - 非課税限度額:
省エネ等住宅は1,000万円、それ以外の住宅は500万円まで。 - 判定の基準日:
年齢は「贈与を受けた年の1月1日」で判定する。
📚 出典・参考
- 国税庁タックスアンサー No.4508「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」
- 国土交通省 「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」
よくあるケアレスミス:所得制限と非課税限度額のワナ
ここでは、わたし自身もハマった「間違えやすいポイント」を3つ紹介します。
ミス①:床面積が小さいと所得制限が「ゆるくなる」と思い込む
なぜ間違えるのか?
「小さい家なんだから、条件も小さく(ゆるく)なるはず」という直感に引っぱられるからです。
わたしも「500万円かな、家が小さいし」と選んで外しました。
正しい考え方
床面積40㎡以上50㎡未満の小さい家では、所得制限はゆるくなるのではなく厳しくなり、1,000万円以下になります。
「ベースの2,000万円が半分になる」と覚えましょう。

“小さい家=半分の1,000万円”。
500万円ではありません。
ミス②:受贈者の年齢を「20歳以上」と思い込む
なぜ間違えるのか?
昔の「成人=20歳」のイメージが残っているためです。
正しい考え方
要件は18歳以上です。
しかも判定は「贈与を受けた年の1月1日時点」。
年の途中で18歳になっても、その年の1月1日に18歳未満ならアウトです。

年齢は18歳、基準は1月1日。
セットで押さえましょう。
ミス③:「所得制限の数字」と「非課税限度額の数字」を混同する
なぜ間違えるのか?
「2,000万円」「1,000万円」「500万円」と似た数字が並ぶため、どれが所得でどれが非課税枠か分からなくなります。
正しい考え方
- 所得制限:2,000万円(小さい家は1,000万円)=もらう人の収入の上限
- 非課税限度額:省エネ1,000万円・それ以外500万円=税金がかからないお金の上限 役割がまったく違うので、「収入の上限」と「非課税の枠」で分けて整理しましょう。

数字が似ていても意味は別物。
“収入”の話か”非課税枠”の話か、いつも確認するクセを。
📋 ケアレスミスまとめ
| よくある誤解 | 正しい考え方 |
|---|---|
| 小さい家は所得制限がゆるくなる (500万円) | 小さい家は所得制限が厳しくなる (1,000万円) |
| 受贈者は20歳以上 | 受贈者は18歳以上 (1月1日時点で判定) |
| 2,000万円=非課税になる金額 | 2,000万円は所得の上限。 非課税枠は省エネ1,000万円・それ以外500万円 |
まとめ・今回の学び:受贈者の要件と数字を整理しよう
今回学んだことを振り返りましょう📝
⭐️ 【得られる知識】まとめ版
- 基本の仕組み:
親・祖父母(直系尊属)からマイホーム資金をもらっても、
一定額まで贈与税が非課税になる制度。 - 用語の違い:
「所得制限(もらう人の収入の上限)」と
「非課税限度額(税金がかからないお金の上限)」は別物。 - 試験頻出ポイント:
年齢は18歳以上(1月1日判定)、所得は2,000万円以下、
床面積40〜50㎡未満なら1,000万円以下。 - 実生活への応用:
省エネ等住宅なら非課税枠が2倍(1,000万円)。
家を建てる前に性能基準を確認するとおトク。
「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」——
名前は長いですが、分解すると「誰から・誰が・いくらまで・どんな家なら」というシンプルな話です。
特に間違えやすいのは、床面積が小さい(40〜50㎡未満)ときの所得制限。
「小さい家=条件がゆるい」ではなく「小さい家=所得は半分の1,000万円まで」と、
直感と逆になる点に注意してください。
また、似た数字(2,000万・1,000万・500万)が並ぶので、「所得の上限」なのか「非課税の枠」なのかを毎回確認するクセをつけると、ケアレスミスが激減します。

数字が多くて大変に見えますが、『18歳・2,000万(小さい家は1,000万)・省エネ1,000万/それ以外500万』の3点セットで攻略できます。
マイホームを考えている方は、実生活でも役立つ知識ですよ。一緒に得点源にしていきましょう!
贈与税の特例は「年齢・所得・床面積」と覚える数字が多く、
ほかの非課税制度とも考え方がつながっています。
こうした制度を体系立てて押さえたい方は、
贈与・相続の特例にも強いFP3級の参考書を選ぶときの参考にどうぞ。
次回予告:「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」

次回は、同じ贈与税の非課税制度の仲間、「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」を取り上げます。
今回の”住宅資金”と並んでよく出るテーマで、こちらも受贈者1人につき非課税となる上限額がカギになります。
次回のポイントは、「非課税上限はいくら?」「対象になる使いみち」「学校以外(塾・習い事)の扱い」の3つ。
数字の上限と、使えるお金の範囲を、今回と同じようにスッキリ整理していきましょう。
次回の記事はこちら
▶【贈与税の特例】直系尊属からの教育資金贈与|非課税上限『1,500万円』を徹底解説!_間違いから学ぶFP3級_第79回

住宅資金の次は教育資金。
“直系尊属からの非課税シリーズ”として、まとめて覚えると一気に得点源になりますよ。次回もお楽しみに!✨


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