「一時所得って結局いくらが課税対象になるの?」
宝くじや懸賞金、保険の満期金など、人生のなかで“たまに”あるような特別な収入は、一時所得として扱われます。
でも、もらった金額すべてがそのまま課税対象になるわけではありません。一時所得には特有の計算ルールがあるのです。
今回はそんな「一時所得の計算方法」について、FP試験の問題をもとにわかりやすく解説します。
⭐️この記事を読んで得られる知識は、以下の3点です。
- 一時所得とは何か?
→「たまに」「偶然に」得られる特別なお金のことです。
例えると一度きりのボーナスみたいなお金です。 - 総所得金額とは何か?
→1年間に得たすべての所得(もうけ)を合計した金額のことです。 - 「一時所得の金額」と「総所得金額に算入される一時所得の金額」は違うのか?
→違います。
「一時所得の金額」÷2 = 「総所得金額に算入される一時所得の金額」
📘 今回の分野:タックスプランニング/一時所得
今回学ぶ範囲は、タックスプランニング分野の「所得の10分類と計算/一時所得」についてです。
特に、一時所得とはそもそも何が含まれるのか、税金はいくら掛かるのか、という点を解説していきます。
主な一時所得は以下のとおりです。
- 契約者が受け取る生命保険の満期保険金や解約返戻金
- 懸賞金や賞品
- 競馬や競輪の払戻金 など
❓️ 問題文の紹介
所得税における一時所得に係る総収入金額が1,200万円で、その収入を得るために支出した金額が500万円である場合、総所得金額に算入される金額はいくらになるか?
問われている内容は、一時所得を得た際の税金がいくらになるか?ということです。
総収入金額が1,200万円、支出した金額が500万円です。
与えられた情報から、収入が1,200万円で経費が500万円なので、差し引いて700万円という金額が算定されます。
一時所得には、特別控除額(最高50万円)があるので、700万円から更に差し引いて、
650万円と解答しました。

しかし、不正解でした💦
何が間違っているのか一緒に確認しましょう‼️
✅ 正解と解説の要点
所得税における一時所得に係る総収入金額が1,200万円で、その収入を得るために支出した金額が500万円である場合、総所得金額に算入される金額はいくらになるか?
正解:325万円
「325万円?え?なんで?」
と思われるかもしれません。
「一時所得」と「総所得金額に算入される一時所得」の金額はイコールではないというルールになっています。
まずはポイント解説を確認して、正解を導いてみましょう‼️
✅️ポイント解説
総所得金額に算入される一時所得の金額は、次の計算式で求めます:
一時所得の金額 =(総収入金額 - 収入を得るために支出した金額 - 特別控除額)÷ 2
この問題の条件を当てはめてみましょう。
- 総収入金額:1,200万円
- 支出した金額:500万円
- 特別控除:最高50万円(自動で差し引かれる)
よって、
(1,200万円 - 500万円 - 50万円)÷ 2
=(650万円)÷ 2
= 325万円
🔍 深掘り考察!!
今回は、以下の点について解説していきたいと思います。
- 一時所得とは何か?
→「たまに」「偶然に」得られる特別なお金のことです。
例えると一度きりのボーナスみたいなお金です。 - 総所得金額とは何か?
→1年間に得たすべての所得(もうけ)を合計した金額のことです。 - 「一時所得の金額」と「総所得金額に算入される一時所得の金額」は違うのか?
→違います。
「一時所得の金額」÷2 = 「総所得金額に算入される一時所得の金額」
一時所得とは何か?

一時所得とは、「たまに」「偶然に」得られる特別なお金のことです。
つまり、毎月もらうような給料とは違って、一度きりのボーナスみたいなお金です。
どんなものが「一時所得」になるの?
代表的なものは以下のようなものです:
一時所得になる例 | 内容 |
---|---|
懸賞やクイズの賞金 | テレビ番組や雑誌の応募で当たった現金など |
ふるさと納税の返礼品(高額すぎる場合) | 価値が高すぎる場合に課税対象になることも |
生命保険の満期保険金 | 払った保険料よりたくさんもらった場合 |
損害保険の満期返戻金 | 保険の満期で戻ってきたお金 |
競馬などの払戻金(一部) | 一定の条件下で所得とされる場合があります(※FP試験ではあまり出題されません) |
一時所得_計算方法
実際にいくらが「課税されるお金」になるのかは、以下の計算式で求めます:
(もらった金額 - かかった費用 - 特別控除50万円)÷ 2
一時所得_計算のポイント
- かかった費用=その収入を得るために直接支出したお金(例:払った保険料など)
- 特別控除50万円=だれでも使える“おまけの引き算”みたいなもの
- 「÷2」=実際に課税されるのは半分だけ!優遇されてます。
例:保険金を受け取った場合
- 満期保険金:1,000万円
- 今までに払った保険料:600万円
計算式はこうなります:
(1,000万円 - 600万円 - 50万円)÷2 = 175万円
→ この175万円が、一時所得として所得税の計算対象になります。
なぜ「半分」しか課税されないの?
一時所得は「まれな収入」だから、
全部に税金をかけると負担が重すぎるという考えから、半分だけ課税するというルールになっています。
これは他の所得にはない、特別な優遇です。
一時所得について_まとめ
- 一時所得は「たまに」「偶然」もらえる特別な収入のこと
- 代表例は懸賞金や満期保険金など
- 計算式は【収入-費用-50万円】
- 税金がかかるのはこの「半分=1/2」だけなので、優遇されている
総所得金額とは何か?
「総所得金額(そうしょとくきんがく)」とは、
1年間に得たすべての所得(もうけ)を合計した金額のことです。

もう少し具体的に言うと、
給与・事業・不動産・配当・一時・雑所得などなど……
いろんな種類の所得を1つにまとめたものが「総所得金額」です。
たとえばこんな感じです:
所得の種類 | 金額 |
---|---|
給与所得 | 400万円 |
事業所得 | 100万円 |
一時所得(課税対象分) | 25万円 |
雑所得 | 10万円 |
合計(総所得金額) | 535万円 |
何のために使うの?
この「総所得金額」が何に使われるかというと、
所得税を計算するための基礎となる金額なんです。
つまり、税金をいくら払うかを決めるために、
まずこの「総所得金額」を出してから、
そこから「所得控除(基礎控除や扶養控除など)」を引いて、
残った金額に対して税率をかけていきます。
よくある誤解に注意!
- 収入=総所得金額ではありません!
給料や売上などの「収入」から、必要経費や控除を引いた「もうけ」が所得です。
それを全部足したのが「総所得金額」なので、収入とは別物なんです。
総所得金額について_まとめ
- 総所得金額とは、いろいろな所得の「もうけ」を合計した金額です。
- 所得税を計算するための基準になります。
- 給料や事業所得など、複数の所得がある人ほどこの金額は大きくなります。
「一時所得の金額」と「総所得金額に算入される一時所得の金額」は違うのか?
結論:
「一時所得の金額」と「総所得金額に算入される一時所得の金額」は違います。
それぞれの違いをわかりやすく説明すると…
① 一時所得の金額
これは、まず最初に求める“もうけ”の額です。
以下の式で計算します:
一時所得の金額= 総収入金額 - 支出した金額 - 特別控除(最高50万円)
この時点ではまだ「÷2」はしません!
② 総所得金額に算入される一時所得の金額
こちらが、**実際に税金の計算に使う金額(課税対象額)**です。
つまり、
①の「一時所得の金額」 ÷ 2 = 総所得金額に算入される金額
▼ 具体例で確認!
【前提条件】
- 一時的に保険金を1,000万円受け取った
- それまでに払った保険料は600万円
- 特別控除:50万円
ステップ① 一時所得の金額
1,000万円 − 600万円 − 50万円 = 350万円
ステップ② 総所得金額に算入される一時所得の金額
350万円 ÷ 2 = 175万円
違いをまとめると…
名称 | 役割 | 計算式 |
---|---|---|
一時所得の金額 | 「いくら得したか」を計算する | 総収入 − 支出 − 50万円 |
総所得金額に算入される一時所得 | 実際に課税される部分 | (一時所得の金額)÷ 2 |
よくあるミス
- 「一時所得の金額」にそのまま課税されると誤解する
→ 必ず「÷2」する必要があります! - 特別控除の「50万円」を忘れる
→ 所得が少ない場合、税金がゼロになることもあります。
まとめ・今回の学び
- 一時所得とは何か?
→「たまに」「偶然に」得られる特別なお金のことです。
例えると一度きりのボーナスみたいなお金です。
→計算式は【収入-費用-50万円】です。 - 総所得金額とは何か?
→1年間に得たすべての所得(もうけ)を合計した金額のことです。
→所得税を計算するための基準になります。 - ①「一時所得の金額」と②「総所得金額に算入される一時所得の金額」は違うのか?
→違います。
「一時所得の金額」÷2 = 「総所得金額に算入される一時所得の金額」
→ ①=儲けた金額、②=課税対象の金額

上記を理解しておけば、税金を払う際に迷わなくて済みますね☺️
次回予告:損益通算のルール
「株で損したら、他の所得と相殺できるの?」
たとえば、上場株式を売って損をした場合、その損失は税金を減らすのに使えるのでしょうか?
次回は、「上場株式を譲渡したことによる損失」と「不動産所得などの他の所得」との損益通算について、確定申告のしくみとあわせてわかりやすく解説します!
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